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 16:35発の隼人行きの4235Dは1両編成でした。発車の5分ほど前に車内に入りましたが、その時点では、他の乗客は誰もいませんでした[①]。このまま貸切状態で吉松を発車するかなと思いましたが、発車直前に、別のお客が1人乗り込んできました。まあ、結局計2人だったわけですが。

 大隅横川で吉都線経由の都城行きの普通列車と列車交換[②]。この写真を見て、ちょっと違和感を覚えるという方もいらっしゃるのではないでしょうか。大隅横川は2面2線の駅ですが、この写真のように、”相対式の2面2線”ではなく、”単式1面1線が2つある”という駅なんですね。そのため、2面あるホームのどちらを使用しても、乗降扉を開ける側は一緒になります。

 鉄道は24時間動いて(深夜はさすがに夜行列車と貨物列車だけですが)います。早朝〜深夜まで、様々な時間帯で様々な車窓が展開されますが、私が好きな時間帯・車窓の1つは、夕暮れ時です。太陽の位置がだんだんと低くなって、陽光の色に橙色がかかってきたときの感じが、私としては何とも言えず好きなんですね。そのときの、柔らかな日差しが車内に差し込んでいる状態もまた好きです[④]

 それにしても、今日という日は辛いですね。吉松→都城、都城→隼人、隼人→吉松、吉松→隼人と、4連続で普通列車への乗車が続いています。いさぶろう号も厳密には普通列車ですから、これも含めれば5連続です。特急や急行が走っていれば、こちらとしては、追加料金を払ってでもどんどん乗っていくつもりではあるんですが、そもそもそういう列車の設定がなかったり、ちょうど良い時間帯に走っていなかったりで・・・。

 そういうわけで、ややげんなりしながら隼人駅に到着[⑤]。所要時間は52分で、行き(吉松へ向かうとき)より11分も短かったです。
























 肥薩線4235Dは隼人に17:27に到着しましたが、それに接続する列車として、17:28発の鹿児島中央行きの普通列車があります[①]。1分という待ち時間で乗り継げる列車が設定されているというのは、利用客の利便性が考慮されていると言え、これは良いことだと思います。しかし、私もこの後は鹿児島中央へ向かいますが、私はこの普通列車には乗りません。どうしてって、いや、また普通列車なんていうのは嫌なので・・・。

 駅の外からホームを眺めてみます[④]。キハ40形が2両停車していました。国鉄が分割民営化され、旅客JR6社はそれぞれ自社の環境や状況にあった車両を造るようになり、各社で個性ある様々な車両が誕生しましたが、そういえば、キハ40系は唯一、旅客JR6社全てが保有している車両なんですよね。つまり、北海道だろうがどこだろうが、全国どこでも見られる車両である、と。ローカル線での運用が主ですから(どこの会社も、基本的にはローカル線にお金をかけて新車を入れたがりはしない)、廃車の発生も少ないですし、まだ数十年単位での活躍が見込まれそうです。

 そうこうしていると、4両編成の415系が姿を現しました[⑤]。繰り返しになりますが、本当に”常磐線”にしか見えないですね、これ・・・。幕板部の青帯さえなければ、常磐線を走っていた鋼製の415系そのものと言っても過言ではなく、モーターの音やブレーキの音を聞いていると、この鋼製の415系が常磐線を走り、日常的に見られたころの日々が思い出されます。

 地面で眠っている猫がいたので、写真を撮ろうと近づくと、その猫は目が覚めてしまったようで、起き上がってしまいました。「こりゃ逃げられるな」と思いましたが、その予想に反して、猫はむしろ私の方に近づいてきました[⑥]。しかも、ただ近づいてくるだけでなく、私の足にすり寄る始末[⑦]。首輪がついていたので、飼い猫ではあったんでしょうが、それでも、普通外にいる猫は、見知らぬ人間にここまで親しくはしません。猫を飼っている、あるいは猫をよく知っている方なら分かっていただけるかと思いますが、外にいる猫は、たとえ飼い猫であっても、人間が近づけば逃げていきますよね。

 次に乗る列車の発車時刻が近づいてきたので、猫との戯れをやめて、隼人駅に戻ることにしました。駅の方向へ向かってちょっと歩き、そして振り返ると、その猫と目が合ってしまいました。すると、なんと私の方に向かっててくてくと・・・[⑧]。目が合ったらついてくるなんて、こんな猫、見たことがありません。「適当なタイミングで目を合わせるのを繰り返したら、ひょっとしたら駅に来させることも可能なんじゃないか」と思いましたが、そうなったらさすがに困るので、後ろを振り返ることはせず、猫と目を合わせないように歩くことにしました。

 駅舎の中に入ると、ちょうどそのとき、宮崎行きの787系のにちりん号がやってきました。しかしまあ・・・、状態が悪いですねえ[⑨]。外板のはがれ、浮き上がり、パッチワークのシールなど、お世辞にも、特急列車として乗客を迎えるにふさわしいとは言えません。
 787系は、かつては特急(リレー)つばめ号として、JR九州を代表する列車として走っていましたが、九州新幹線の全通により、宮崎地区の特急に回される編成が発生しました。”表側”から”裏側”に回されたことで、車両整備の質が落ちたとか、整備にかける時間やお金が削減されたとかいうことでなければ良いんですが。

 さて、私が乗るのは17:58発の特急きりしま15号です[⑩]。今日はここまで普通列車ばかりで、乗っていても退屈で辛いうえに、また1日の旅程が地味になってしまっていました。そこで、隼人〜鹿児島中央間では、先ほど見た17:28発の普通列車ではなく、その1本後の特急に乗ることにしました。

 きりしま15号は3番線から発車するということなので、3番線で列車の到着を待ちます。「特急きりしま 4両編成 1号車」の乗車位置案内のところで列車の到着を待ちます[⑪]。そして、4両編成の787系がやってきました[⑫]























 地味〜な旅程に花を添えるべく乗車したきりしま15号ですが、「どうせならより花を」ということで、今回はグリーン車を選択しました[①]。32分しか乗車しないので、本来ならグリーン車を選ぶようなところではないんですが、まあ、いいでしょう。

 ちなみに、隼人〜鹿児島中央の自由(グリーン)席特急料金は、本来ならば600円ですが、ここでは、「国分〜鹿児島中央間の自由席特急料金は例外的に300円」という規則が適用されます。そのため、今回隼人〜鹿児島中央で乗車したきりしま15号の料金は、300円(特急料金)+1000円(グリーン料金)の合計1300円です。

 隼人を出た後の最初の停車駅は加治木[③]。隣の駅です。最速達便の1往復を除く全てのきりしま号は、霧島神宮、国分、隼人、加治木と4駅連続で停車します。極め付きとも言うべき存在は、下りのきりしま1号と上りのきりしま18号で、きりしま1号は霧島神宮〜鹿児島中央間において、霧島神宮、国分、隼人、加治木、(錦江通過)、帖佐、姶良、重富、(竜ヶ水通過)、鹿児島、鹿児島中央・・・と停車します(18号はその逆)。竜ヶ水は普通列車でも通過する場合があるので、”特急として通過する”と言えるのは実質、錦江だけ。さすがに停車しすぎでしょう、これは。

 787系の荷物棚は、ふたがついている、いわゆるハットラック式です[④]。ハットラック式だと、車内全体を見渡したときに、荷物棚付近に天井や壁との一体感が生まれ、また棚に収めている荷物が見えないので、綺麗ですっきりとした感じが生まれます。ただ、その代わり、ふたがついているために、大きな荷物は入りません。それこそ、スーツケースなんて入らないので、私はこのように隣の座席の前に置いていました。

 日豊本線の南端の区間を乗車するときの楽しみといえば何でしょう。それはもちろん、海ですね[⑤]。重富〜鹿児島間では、日豊本線はほぼずっと海岸線に沿っていて、車内からは海を眺めることができます。なお、日豊本線を走る特急列車の海側の座席はA席ですので、乗車中に海を見たいという方は、A席を指定して指定席券を購入されると良いでしょう。

 列車交換のために、時刻表上は通過駅である竜ヶ水に停車します[⑥]。竜ヶ水は特急列車はもちろん、普通列車でも通過する列車が多く設定されていますが、列車交換を行う場所として活用されているため、竜ヶ水では、こうした運転停車が頻繁に行われるようです。

 先ほど、「日豊本線の南端区間における楽しみは海だ」とご案内しましたが、車窓のハイライトは、やはり桜島でしょう[⑦]。夕暮れ時の、もうすぐ夜の闇が辺りを支配しようかというころの微妙な明るさの中で見る桜島は、「ある」と言うよりも「そびえる」と言った方が適切かもしれません。なんというか、こう言葉では上手く言い表せないような、ある種の威圧感、存在感を放っているような感じがしましたね。

 この桜島ですが、翌日8月18日に噴火を起こしました。ということは、私が見た桜島は、まさに「噴火直前」と言うべきときの姿だったんですね。「ある種の威圧感、存在感を放っているような感じ」がしたのは、そのためだったんでしょうか・・・。

 鹿児島駅の手前では、JR貨物の鹿児島貨物ターミナル駅に停車する機関車や貨車の姿を見ることができます[⑨]。その鹿児島は最後の途中停車駅で、また日豊本線の終点の駅。鹿児島から先は鹿児島本線で、次は終点の鹿児島中央です。

 18:30、列車は終点の鹿児島中央に到着しました[⑩]。32分しか乗っていられませんでしたが、このとき思ったことは、「やっぱり特急っていいね」。こうして、私はまた特急の魅力に引き込まれていってしまうわけです(笑)


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