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 これはサンライズ瀬戸・出雲号に限らず、全ての寝台列車に共通して言えることですが、寝台(個室)に入ると、何だかほっとするんですよね。「これだけ散らかしていても、誰にも文句を言われない[①]」とか、「思いっきり横になれる」、「一晩中のんびりしていられる」と思ってしまって、つい。

 それにしても、285系のソロの入り口部分の床は、狭いことこの上ないですね[②]。同じソロでも、富士・はやぶさ号で使われていた14系のソロは、これだけの床の広さがあります(ブルートレインたらぎのもので撮影)。前者は立つだけの広さしかありませんが、後者なら、床の部分を歩き回ることさえ可能です。なんというか・・・、”ダンチ”という言葉がふさわしいなあ、と・・・。

 だいぶ疲れているので、眠ってしまおうと思えば、もう今すぐにでも眠れそうだったんですが、そうはせず、とりあえず10号車の車端部にあるミニサロンにやってきました。ミニサロンは、3号車/10号車(ソロの車両)の車端部に設けられているもので、簡単な椅子が車内の左右に4脚ずつ、計8脚設置されています[③]。座面にはシートが貼り付けられていますが、厚みも詰め物も全くないので、ただの硬いシートに過ぎません。ぶっちゃけ無意味。

 ただ椅子に座って流れゆく車窓を眺めているだけではつまらないので、コーラを飲みながら車窓を眺めることにしました[④]。このコーラは、車内にある自動販売機で購入したものです(自動販売機はミニサロンと同じ車両に設置)。
 もし私が20歳以上であったならば、今ここで手にしている飲み物は、恐らくコーラではなくビールだったと思われますが、まあ、18歳ですから・・・。ここは法令順守で、”炭酸”という要素だけ真似することにしておきましょう。ノンアルコールという手段もありますが、さすがにそんなことはしませんよ。

 0:12に到着するのは三ノ宮[⑤]。上りのサンライズ瀬戸・出雲号は、下りと違い、下りでは通過する三ノ宮と大阪にも停車します。急行銀河号が廃止されてから久しいですが、上りだけではあるものの、大阪地区〜東京の列車による夜行移動は、現在でも可能です。

 その20分後の0:32には、大阪に到着します[⑦]。車内から大阪駅の別のホームを見てみると、人が全然おらず、やけにひっそりとしていますが、それもそのはずで、東海道本線も大阪環状線も、既に最終列車は出発してしまっています。このサンライズ瀬戸・出雲号が、大阪駅を発車する最後の列車なんですね(大阪止まりの列車は、この後何本か来ます)。

 深夜1時ごろ、京都駅を通過します[⑧]。列車はホームに接する線路ではなく、中線(通過線)を通って通過します。サンライズ瀬戸・出雲号以外の列車(日中の列車)は、在来線も新幹線も全て京都駅に停車するため、サンライズ瀬戸・出雲号は、他の列車では体験できない、京都駅の通過を(上下とも。運転停車もしない)体験することができるという貴重な列車です。

 そろそろ床に就こうかというころ。個室内にある操作盤の「常夜灯」のスイッチの上にある緑色のLEDが、普通とはちょっと違うということに気が付きました[⑨]。何がどう違うのか、ということですが、この緑色のLEDは、普通はこのようになっているんですね。緑色のLEDの部分に付けるカバーが、何らかの原因で外れてしまったんでしょうか。
 本当に些細なことではあるんですが、285系にはもう何回も乗っているので、こういった小さな点にも、ついつい気が付いてしまいます。  





















 朝。目覚めると、時刻は既に6時を回っていました。辺りはすっかり明るくなり、そして、走っている場所もすっかり変わってしまいました[①]。列車は既にJR東日本管内に入り、神奈川県内を走行しているところです。

 今日は8月19日ですが、曜日は月曜日です。やはり平日ということもあってか、遭遇する通勤列車たち[②] [④]は、いずれも混雑していました。そんな混雑した通勤列車とは対照的に、こちらでは、寝台列車の優雅な朝の時間(ソロ風情が何を言ってんだというところですが)が流れています。

 1両の”車内”という空間を、数多の他人と押し合いになりながら共有する通勤列車に対し、寝台個室という自分だけの空間を、他の誰とも共有することなく1人で独占できる寝台列車。まさに対極的な存在と言えるかもしれません。

 やがて東京都内に入り、見慣れた街並み、見慣れた駅、見慣れた車両を見ながら、7:08、列車は定刻に終点の東京に到着しました[⑤]。8月15日〜19日に渡って展開された2013年夏の九州旅行が、ついに終わりました。月並みな感じ方ですが、やっぱり、時間というものは、意外と早く流れてしまうものですね。旅に出る前は「15日〜19日って、結構長いぞ」と思っていましたが、今は「なんだ、もう終わりか」という感じで・・・。

 「サンライズエクスプレス」の愛称を持つ285系ですが、今、太陽はまさに輝きながら昇っている最中です[⑥]。新しい1日の始まりを告げた太陽が、雲1つないような快晴の青空に向かって上昇していくという状況下で、「”サンライズ”瀬戸号で朝を迎えた」というのは、実に良い気分です。

 新型寝台電車・285系によるサンライズ瀬戸・出雲号の運転が始まったのは1998年のこと。今年でもう16年目になるんですね。内装は15年という年月の経過をあまり感じさせませんが、外装(車体)は、さすがに劣化やくたびれも多少はあるのか、パッチワークの痕跡がありました[⑧]。このパッチワークを見て、廃止や廃車が近いかもなんて考えるのは早計だということは分かっていますが、でもこれは見たくなかったなあ・・・。

 ま、そうは言っても、この凛々しい顔は健在です[⑨]。サンライズ瀬戸・出雲号が走り続ける限り、今後も、私は幾度となく世話になるでしょう(笑)

 というわけで、今回の九州旅行はこれで終わりです。九州島内にいた3日間で、九州を縦横無尽に駆け巡ったつもりですが、それでも、九州のJR線でまだ乗車していないところはたくさんあります。

 ですから、いつかまた、九州を訪れなければならないときが必ずやってきます。それは何年後のことでしょうか。いや、ひょっとしたら十数年後かもしれませんし、数か月後かもしれません。いずれにしても、次に九州を訪れるときには、今回とはまた違った”九州”に出会えるはずです。

 次回の九州旅行では、いったいどんな車両・路線・風景に出会えるのだろうか?それを楽しみにしつつ、旅は幕を閉じる・・・。









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