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 石北本線と釧網本線が接続する駅、それが網走駅です。しかし、どちらの路線にとっても、この網走駅は起(終)点駅にあたります。かつては湧網線も接続していましたが、その湧網線も、網走は起(終)点駅でした。そのため、網走駅は、「全ての路線にとって起(終)点駅」という、珍しい駅となっています。道内では、他には、旭川駅が該当します(函館本線・富良野線・宗谷本線)。

 駅に着いた時点で風が非常に強く、重さのない粉雪は、風に乗って吹き飛ばされるような状況でした。駅前も猛烈な吹雪で、氷点下3度という気温の低さもあり、これぞ北海道というような厳しさを体験する羽目になりました。

 知床斜里駅で北斗星号のデュエットの寝台券の返金を受け取れなかったので、網走駅のみどりの窓口でお金を受け取りました。さすがに網走駅で「お金がない」ということはなく、14700円が返ってきました。ずっと勘違いしていたんですが、寝台券を払い戻す場合、30%の払い戻し手数料は、寝台料金の部分にだけかかるんですね。そのため、特急料金全額+寝台料金の70%が返ってきました。

 これまで、私は、単純に「切符の額面の70%が返ってくる」ものだと思っていました。ただ、考えてみれば、寝台券における特急料金は、特急列車を使うことへの対価であって、特急料金をもって座席(寝台)を指定しているわけではありません。寝台料金をもって座席を指定しているのであって、ここに、指定券代(510円)が内包されているようなものです。ですから、特急券+グリーン券の場合も、手数料はグリーン料金だけにかかります。

 網走駅は同市の代表駅ですが、市の中心部から2qほど離れたところにあるとされています。ただ、駅前の様子を見た限りでは、「だからと言って、町はずれにあるというほどの印象ではない」と思いました。駅を出たその正面のすぐそこに、東横インとルートインという、全国に店舗を展開する二大チェーンホテルが並んでいます。

 駅名を書いた看板は、だいたいは横書きとなっているものですが、網走駅には、縦書きの駅名看板があります。「網走刑務所を出所した者たちが、この縦書き看板のように、横道にそれることなく生きてほしい」という願いを込めてのものだそうです。その一方、駅には、監獄内の囚人になりきれる記念撮影用のパネルもあり、網走刑務所というものが「重い」のか「軽い」のかよく分かりません(笑)

 網走からは、9:30発の特急オホーツク4号に乗車します。以前は、両端の先頭車が初期型のスラントノーズ車でしたが、現在は、遠軽方の先頭車が、かつての特急とかち号から回されてきた貫通型車両になっています。一方、網走方は、現在もスラントノーズ車が健在で、直線のみで構成される、角張った独特の形状の先頭部分を拝むことができます。





























 旭川まで、特急オホーツク4号で一気に移動します。「一気に」と言っても、旭川まででさえ、その所要時間は3時間41分にもなります。車両は旧型のキハ183系のままで、線路(石北本線)の方も、特に高速化を指向した改良は行っていません。札幌から旭川・稚内・函館・帯広・釧路への特急の平均所要時間は、いずれも国鉄時代より短くなりましたが、北見・網走だけは、何と国鉄時代よりも長くなっています。

 今日のオホーツク4号は4両編成。手元にある指定席券では、2号車が指定されていますが、この2号車は、1つの車内に自由席と指定席が混在しているという車両です。指定席の座席のカバーには「Reserved Seat」の刺繍が施され、その座席が指定席のものであることが分かりやすくなるようになっています。なお、3号車も、指定席とグリーン席が混在していますが、これはさすがにデッキで仕切られています。

 旅行中、どこかで1回はグリーン車に乗ることが、私の旅行のある意味でのお約束になっています。北海道フリーパスも、以前はグリーン車用の設定がありましたが、現在は普通車指定席用の設定しかありません。行きの北斗星号では、A寝台個室であるロイヤルに乗車しましたが、普通の座席のグリーン車には、まだ乗車していません。

 「そこそこの時間乗れて」かつ「なるべく料金を抑えられる区間」(グリーン車に乗る場合、北海道フリーパスは、乗車券としてしか機能しません)を探索した結果、オホーツク4号の留辺蘂〜旭川間で乗車するのが、最も賢い選択であると分かりました。同区間の換算キロは178.1km、乗車時間は2時間33分です。そのため、網走〜留辺蘂の指定席のノミ券と、留辺蘂〜旭川のグリーン券を用意しました。

 石北本線における最大の主要駅、北見駅。道内第8位となる約12万3000人の人口を持つ北見市の中心駅です。「ここは降りる人も乗る人も多いんだろうな・・・」とは思っていましたが、ホームでオホーツク4号を待っていた人の数のなんと多いことか。指定席にも自由席にどんどん人が乗ってくるわで、「この列車の指定席は満席です、自由席が大変混み合いまして・・・」という放送まで入りました。

 北見駅は、網走方を高架、旭川方を地下とすることによって立体交差化を図った、前後でその方法が異なるという、珍しい駅です。これにより、北見駅は、その前後の踏切を全廃することに成功しています。なお、トンネル部分(北見トンネルという名前です)は、日本で最も北にある地下線です。

 北見の次の留辺蘂には、10:38に到着します。それに合わせて、私も、2号車指定席から、3号車グリーン車へと移動しました。最初、本当は2番C席なのに、6番C席に座るという失態(端から2番目の席としか考えていなかった。グリーン車は7列)をやらかしてしまいましたが(笑)

 そして、私は、地獄への引き金を引いてしまったのです・・・! 留辺蘂から、私のすぐ近くの席である1番B席に、初老の女性が乗車してきました。彼女はまず便所へ行き、戻ってきた後、「ドリンクサービスはもう来たのか」と私に尋ねてきました。それに対して「まだ来ていません」と私が答えたのを皮切りに、「どこから来たのか」「私の息子は○○大の医学部を出て云々」「実は札幌の5000万円のマンションを買った」などの質問や自慢を連発。

 会話らしい会話ができたのならまだしも、どうも彼女はかなりの富豪らしく、話の8割はお金に関する自慢話と、そのお金を狙う悪い奴らについての愚痴で、一億総中流のど真ん中にいるような、ごく一般的な家庭の子である私は、その話をただ聞くことしかできませんでした(次元と土俵が違いすぎて、話すこと全てが富豪の別世界のことにしか思えない)。それが旭川に到着する直前まで延々と続いたんですよ・・・!

 その一方、(たぶんお金持ちだということを示したくてのことでしょうが)私にいきなりごまアイスをおごるなどの一面もありました。ただ、アイスを買った後、「ハーゲンダッツは取り扱わないのか」と車内販売の人にしつこく要望する姿を見て、やっぱり醜いわ、とは思いましたが。

 ちなみに、その方は、月に2回、留辺蘂〜札幌を往復する(もちろんグリーン車)らしく、「最も端の席の足置きは高さ調節ができる」ということを知っていて、乗るときはいつもデッキ寄りの席を選ぶ、と言っていました。はは、さすがはグリーン車に繰り返し乗るだけはあるわ。いくら鉄道好きな私でも、そのような細かいところの事実までは知らなかったので、この点に関しては、一本取られたな、というところでした。

 列車は遠軽で進行方向が変わります。ここまで、私は2番C席に座っていましたが、例の女性が「デッキ寄りの席(1番席)は足置きの高さ調節ができるから、こっちに来たら」というので、1番C席に移動させられました。遠軽〜上川間は人口希薄地帯で、駅間では、人家はほとんど見られません。極めつけは上白滝〜上川間で、駅間距離はなんと34.0km。その間、列車はひたすら森の中だけを走ります。

 上川に辿り着くと、峠越えの区間は終了し、上川から(新)旭川までは、走行する区間の大部分は平地となります。新旭川で旭川〜稚内間を結ぶ宗谷本線と合流し、石北本線が終了。やがて列車は旭川駅の前後の高架区間に入り、旭川市の市街地を見ながら、下車駅の旭川に到着します。





















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