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 石狩当別発浦臼行きの列車が1日に4本、石狩月形行きの列車が1日に1本ありますが、終点の新十津川まで足を延ばす列車は、1日に3本しかありません。1日に3本しか走らないとなると、末端区間(浦臼〜新十津川)は、いったいどんな秘境なのだろうかと勘繰ってしまいますが、民家はたしかに少ないものの、走っているところ自体はただの平地ですし、道路はいくらでも近くにあります。

 とはいえ、石狩当別〜新十津川間は、本当に人口希薄地帯です。まとまった集落があるのは、石狩月形、浦臼、新十津川くらいで、あとの駅は、近くに民家はほとんどありません。進行方向左側を見てみれば、山などが見えますが、右側を見てみれば、そこにあるのはただの雪原(なにせ田園地帯なので・・・)。雪景色は元々単調なものですが、石狩当別〜新十津川間では、本当にずっと同じ景色しか広がりません。

 途中駅で降りる人が何人かいましたが、そういう人は、いずれも、地元の人という感じがありました。終点の新十津川まで行くのはやはり鉄道ファンだけというところで、残念ながら、既に「そういう人頼り」になっている感は否めません。本数=需要から考えても、特に浦臼〜新十津川間は、かなり危ないのではないかと思いますが・・・。

 さて、乗っていて思うのは、「とにかく遅い」。それもそのはず、石狩当別〜新十津川間の最高速度は65km/hという、鉄道にはあるまじき極めて低い数値になっています。線形はそんなにひどくはありません。桑園〜石狩当別でさえ85km/hしかありませんが、それよりも20km/hも低いです。鉄道の列車でありながら、横に見える車にどんどん抜かれるという、かなり珍しい体験ができます。

 北海道医療大学〜新十津川間は、学園都市線という言葉が似つかわしくないようなローカル線風の区間ですが、一応、終点の新十津川まで、札沼線は、全区間が学園都市線の愛称の付与の対象となっています。知来乙、浦臼といったローカル線区間にある駅の駅名標でも、その上部に、黄色で「-学園都市線-」と書かれていますが、「そういう冗談は・・・」と言いたくなってしまいます。

 終点の新十津川には12:37に到着します。私以外にここで降りたのは2人でした。まあ、当然、見るからの鉄道ファンでしたが。

















 札沼線の終着駅、新十津川駅。札幌寄りの区間とは打って変わって、いかにもローカル線の終着駅という雰囲気の漂う駅です。新十津川という駅名ですが、では十津川という駅もあったのかいうと、そんなことはありません。なぜなら、地名自体が、「北海道新十津川町」だからです。この新十津川という町名は、ここに入植した人たちが、奈良県の十津川村の出身だったことに由来しています。

 12:37に到着した列車の折り返しが12:59発の石狩当別行きですが、4人ほどの人が乗車しました。やはり全員鉄道ファンと思われる人たちでした。「札幌近郊の手軽に行けるローカル線」として、土曜・休日には、札沼線の末端区間に乗りに来る人もいるということなのでしょうか。

 ホームから数段の階段を降りて駅舎の中に入りますが、やはり、時刻表が衝撃的です。「発車時刻表」には、9:41発、12:59発、19:22発の3本しか掲載されていません。これではあまりにも不便すぎるのでは・・・、と思いたくなりますが、地元の方々は、特にそうは思っていないでしょう。皆さんもご存知のように、石狩川を渡った先に、函館本線の滝川駅がありますからね(直線距離で約2.4kmの地点)。

 新十津川駅には、駅ノートが設置されています。実は、私は、駅ノートというものがあまり好きではありません。なんというか、「自分以外にもたくさんの人が来ている」ことが気に入らないというか・・・。その「手垢」が付いているような感じが好きではないというか・・・。分かりにくい説明で申し訳ないんですが、私としては、駅ノートすら置かれないような、そんな「誰にも注目されず、誰にも利用されず」という駅の方が好きです。

 12:59発の石狩当別行きが発車して、この駅にいるのはいよいよ私だけに・・・、なるかと思っていたんですが、駅の様子の撮影にだけ来たと思われる女性の方がいて、私1人に、とはなりませんでした。やはり、土曜・休日は、列車には乗らず、駅を来訪するだけの人も含め、新十津川駅に来る人が、割といるのかもしれません(平日だとどうなんでしょう。通勤や通学で定期的に利用する人はいるのかどうか)。

 新十津川駅はたしかに1日に3本の列車しか発車しないという駅ですが、新十津川町の市街地にありますし、また、駅前のすぐそこに空知中央病院があるので、実は、そんなに秘境めいた駅ではありません。駅舎の中も、鉄道ファンに人気があるということに対応してか、駅ノート、スタンプ、絵、新十津川駅を取り上げた新聞記事、町の案内パンフレットなど、様々なものがあります。清掃もそれなりにされているのか、駅舎内もきれいです。

 12:59発の次は19:22発。当然のことですが、そこまで待ってなんていられません。これから、徒歩とバスを組み合わせて、滝川駅に向かいます。

























 札沼線の列車で引き返していくという選択はありえないので、新十津川駅から直線距離にして2.4kmのところにある、函館本線の滝川駅へ向かいます。この後は札幌駅へ向かいますが、滝川駅ならば、特急スーパーカムイ号が30分〜1時間に1本あり、時間帯によっては、オホーツク号やスーパー宗谷号もあるので、札幌へ行くのも楽ちんです。

 そんなわけで、まずは滝川駅へ向かいます。荷物が少なく、かつ夏であれば、滝川駅まで歩いて行くという選択も十分にありだと思いますが、今回は荷物が多く、しかも冬で雪道しか通りようがないので、バスで滝川駅へ向かいます。

 手持ちの時刻表によると、「新十津川役場」を13:47に発車して、「滝川ターミナル」に14:00に到着バスがあるようです。このバスに乗車するべく、市街地の方へ行き、町役場まで向かったんですが・・・、ここで大問題が発生。役場にあるバス停の発車時刻表を見ても、13:47発の滝川ターミナル行きというバスが存在していないんです。

 「同じ役場の中にまた違うバス停があるのかもしれない」と考えて、役場の周囲をざっと見て回りましたが・・・、2つ目のバス停など、あるはずがありません。「時刻が変更になったのか」とも思いましたが、持参していた時刻表は最新版。そんなはずもありません。「よく分からんけど、とりあえず、バス停の発車時刻表にある、次の14:12発に乗るか」と思いかけるも、それだと、滝川14:27発のスーパーカムイ号に間に合うか、極めて怪しい。

 そもそも、手持ちの時刻表だと、新十津川役場から滝川ターミナルへ向かうバスは1日に4〜5本しかないのに、役場のバス停の発車時刻表では、1日に13〜14本運転されることになっています。整合性がとれません。ここは潔く、いったいどういうことなのか、役場の人にでも聞いてみようとしましたが、あいにく、今日は土曜日。役場は閉鎖されていました。

 ”どうやったら13:47発のバスに乗れるのか”、その疑問が解けないまま、時間だけが進んでいきます。今だからこそ言えますが、このときの私は、半ば発狂しかけていました。顔を紅潮させて、携帯電話を荒々しく操作していたかと・・・。

 結局、ひたすらインターネットで調べた結果、役場の近くに「新十津川農協前バス停(ピンネ農協前)」というバス停があり、13:47発のバスは、そこから出るということが分かりました。その農協前のバス停とやらは、たしかに役場のほど近くにありましたが、だからと言って、それを「新十津川役場」と称しますかね? 役場内にバス停がなく、それが実質役場のバス停として機能するのならともかく。とにかく、このときは本当に腹が立ちました。













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