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 長万部駅にやってきました。この旅を行う以前の段階で、函館本線の未乗車の区間は、長万部〜小樽間のみとなっていました。そのような状態で、今、小樽〜長万部間を乗車してきたので、これをもって、函館本線の全線乗車が完了しました。

 19:46に、今しがた到着した長万部行きの普通列車と入れ替わるように発車していくのは、札幌行きの普通列車です。キハ40形による運転で、室蘭本線ではなく、函館本線の山線を経由して札幌まで直通するという列車です。列車番号は2953Dですが、この2953Dは、長万部〜札幌間を山線経由で通しで走る、唯一の列車です。札幌までの各駅に停車し、その全ての駅において、札幌方面への最終列車を兼ねています。

 長万部は、特急列車が停車し、函館本線と室蘭本線が分岐する主要駅ですが、夜にもなれば、駅構内も、駅の外も、ともに閑散としています。そういう状況でも、駅前にはタクシーが待機していますが、当分の間は暇を持て余すことでしょう。

 さて・・・、長万部からは、19:56発の上野行きの北斗星号に乗車します。いよいよ、今回の旅の最後の列車です。北斗星号に始まり、北斗星号で終わる。道内で乗車した列車の数は計39本。1月26日〜2月2日、往復車中泊、道内5泊という壮絶な旅の終章への道筋が、見えてきました。

 誰もいない駅構内を歩き、ホームへ降り立ち、北斗星号の乗車位置へと向かいます。ホームを隅々まで見渡してみても、私以外には、ホームに人はいませんでした。今日、長万部から上りの北斗星号に乗車するのは、どうやら私だけのようですね。列車が到着するという放送が流されることもないまま、やがて、闇の中に2つの閃光が浮かび、徹頭徹尾青色で統一された「ブルートレイン」が、ゆっくりと迫ってきました。



















 さてさて・・・、とうとう、今回の旅の最後を飾る列車に乗車してしまいました。上野行きの寝台特急北斗星号です。今回の旅は、北海道への行き帰りは往復とも北斗星号ということで、そういう意味では、面白みにはちょっと欠けていますが、やっていることは、我ながら、かなり贅沢なことだと思っています(特に三セク区間の運賃が負担増に拍車をかける。全区間JR線ならもう少し庶民的)。

 行きは最高峰の寝台・A寝台個室ロイヤルでしたが、この帰りはB寝台個室ソロです。9号車の4番の部屋が指定された寝台券でしたが、そこへ向かう段階で目に入る「A個室1」の文字。行きの北斗星号に乗車したときに感じた、この扉を開けたときの感動と驚きといったら、もうとにかく相当なものでした。あの感動をもう一度!となれば良かったものですが・・・、今夜の私は平民です。

 ソロの室内を見てまず最初に思うことは、「狭い、いや本当に狭い」。あのロイヤルの広さを知っているだけに、「こんなところで上野まで過ごすことができるのか?」とさえ思ってしまいます。また、ソロには、JR北海道タイプとJR東日本タイプの2つがありますが、9号車のソロは、前者よりも狭いという評判の後者のもので、そのことを知っているので、狭さをより一層痛感してしまいます。さらに、基本的に進行方向逆向きというおまけ付き・・・。

 ロイヤルでは、荷物をどう置こうが、部屋の広さが損なわれることはありませんでしたが、このソロでは、携行している大量の荷物を持ち込むと、いよいよここは棺桶か、という感じがしてきます。まあ、粗探しばかりしていても仕方がないので、「それでも、開放式B寝台よりは幾分マシじゃないか」と言い聞かせることにしました。あと、上段の部屋だったので、夜空はきれいに見えましたね。

 検札はすぐ来るものかと思っていましたが、意外と時間がかかり、長万部を発車してから15分以上が経過して、ようやくやってきました。8号車・9号車・10号車(JR東日本車)の各寝台個室の鍵はカードによるもので、これは、検札時に配布されます。これを受け取らないことには、部屋の外に出ることもできないので、「早く食堂車に行きたいんだが・・・」と思っていた私には、15分以上の待ち時間は辛かったです。  
























 検札で鍵を受け取ったことで、部屋に荷物を残して外に出られるようになったので、食堂車へ向かいました。まだパブタイムは開始されていないというのに、なぜ食堂車へ向かったのか?それは、シャワー券の購入&シャワー利用の予約を行うためです。ロイヤルでは、シャワーが部屋に併設されていましたが、当たり前ながら、ソロにはそんな良いものはありません。さっそく感じた、ロイヤルとソロの格差・・・。

 北斗星号には、6号車に、シャワー室が2室あります。これを利用するためには、予め、食堂車でシャワー券を購入するとともに、30分ごとに区切られた利用時間帯に、予約を入れる必要があります。今回、私は、21:00〜21:30でB室に予約を入れました。前述の時間帯でシャワーを浴びておき、21:36到着の函館でホームに降り、最後に北海道の空気を味わい、その後、食堂車のパブタイムへ向かう、という考えがありました。

 しかし、いざ購入したシャワーカードがカシオペア号と共通のデザインだったのには、正直なところ、幻滅しました。特に、旅行で北斗星号を利用しに来た人にとっては、かなり残念なことでしょう。シャワーカードは記念に持ち帰ることができますが、そのシャワーカードの表面のデザインが、乗ってもいないカシオペア号のものというのは・・・。(●2008年1月に入手した北斗星号デザインのシャワーカードはこちらをクリック●)

 シャワーカード(と北斗星サブレ笑)を購入した後は、いったん自室に戻りました。そして、替えの下着やバスタオル、シャンプー類などを用意して、21:00過ぎにシャワー室へ向かいました。シャワー室は、入ってすぐのところが脱衣場となっていて、籠やドライヤーもあります(それにしても・・・、足拭きタオルは、是非大量に用意してもらいたいものですね。誰かが使った濡れ濡れのタオルで足を拭くのは気持ちのいいものではありません)。

 お湯が出る時間は6分間。1人あたりの割り当て時間は30分なので、この時間の中で、更衣や洗髪などを済ませることになります。シャワー終了後、部屋に帰ると、ほどなくして車内販売が回ってきたので、ついアイスクリームを買ってしまいました。風呂上がりに牛乳・・・、とはいきませんでしたが、まあ、アイスクリームも乳製品ですから、その代替ということで。

 21:36に到着するのは函館です。ここは道内最後の停車駅で、次の停車駅は、海峡を越えた先の本州・宮城は仙台です。「北海道を離れる前に、最後に北海道の空気を味わっておこう」ということで、ホームに出てみました。風が吹いているとなれば話は変わりますが、夜の北海道の寒さは、無風であるならば、寒いというよりは、程よく気持ちいいという感じです。函館の空気を服と体に染み込ませて、北斗星号で函館を離れます。













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