天塩中川駅は、中川町の玄関口となる駅で、特急列車も停車する駅です。もっとも、残念ながら「町の代表駅」という感じはあまりありません。ホームは未舗装の砂利が露出している部分が多いほか、屋根がありません。駅舎とは反対側にあるホームは、足場がスカスカになっている部分があり、そこがホームを延長するために後から追設したところだということが丸わかりです[①]。
駅舎は改装工事中で、代替の仮の待合室が設置されているとのことです[③]。その仮の待合室は、工事現場などに設置されているスーパーハウスであり、いかにも「仮」という雰囲気が漂っていました[④]。糠南駅の物置待合室には及びませんが、仮のものとはいえ、特急列車が停車する駅の待合室がスーパーハウスだというのは・・・。まあ、物置と違って、人が入ることが前提のものですから、その点では幾分マシなのはたしかです。
ホームには花壇が整備されています[⑤]。都市部では、駅は列車を乗り降りするための「施設」の扱いのようである一方、このような花壇が整備されている地方の駅は、まるでそこの町民が持つ「みんなのもの」のように感じられます。もちろん、都市部においても、駅は「公共物」で「みんなもの」ですが、このような駅は、いかにも「町民のもの」というように思えてくるんです。
本当の駅舎は、現在幕に覆われていて改修中です[⑦]。天塩中川駅の駅舎は、特徴があったり、有名であったりするわけではありませんが、せっかく下車して目にしたものが「スーパーハウス」と「幕で囲われた何か」ではがっかりです。工事に携わっている方が喫煙のためにふらっと出て私に一言、「(茨城から来たと聞いた上で)遠くから来たのに駅がこんなんじゃ残念だろ?」。本当にその通りです。
特急列車も停車する駅ですが、駅自体は無人駅です。ただし、切符は駅前の農協で販売されています。また、駅のすぐ近くに「天塩中川駅事務室」の札を掲げた保線基地があり、指定席券類をここで購入することもできます[⑨]。もっとも、みどりの窓口のように常時指定券類を売ってくれるというわけではなく、あくまでも「予約販売」のみを取り扱っていて、指定券類の購入にあたっては、事前の予約が必要だそうです。
中川町の人口は約1700人。天塩中川駅がその玄関口というわけですが、車通りも人通りも少ないものです[⑩]。「閑静な住宅街」という定型文がありますが、中川町に関しては、町全体が閑静だと言っても差し支えないでしょう。もっとも、ここで言う「閑静」は、決して町が廃れ寂れていることをバカにするための言葉ではありません。旅人を落ち着かせるどこか不思議な静けさ、とでも申し上げておきましょうか。
駅周辺を適当に見て回って、駅に戻ってきました[⑭]。「元気発信!なかがわ」というスローガン(?)が掲げられています。人口減少という問題に関しては、中川町に限らず、全国の多くの市町村が悩まされているところです。超長期的な視点で見れば、宗谷本線に関しても、特に宗谷北線は、果たして存続することができるのでしょうか。稚内へ至る唯一の路線となった以上、利益の出る出ないを無視した判断も必要かとは思いますが・・・。
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