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 ホームに降り立った瞬間から感じる潮風。海が見える、というよりは、もはや「海に手が届く」と言った方が適切かもしれません。駅に停車するキハ40形の後ろには、太平洋が大きく広がっています[①]。海岸線という海岸線に線路を敷設し、海岸線という海岸線に建てられた大狩部駅。私は今、北海道の形を形成する線の上、まさに北の大地の淵に立っています。

 さて、大狩部駅にやってきました。大狩部駅は、太平洋をすぐそこに臨む海岸線にある秘境駅です[④]。線路やホームがあるところと海を仕切っているものは木製の塀だけと言っても過言ではなく[⑤]、吹き付ける潮風を一身に浴びつつ、打ち寄せる波の音を聞くこともできます。

 ホームは地上から一段下がったところにあり、階段を使って降りてきます[⑥]。待合室はホームから階段を上がった地上レベルのところにあり、コンクリート製の待合室となっています[⑦]。待合室の外壁に色は付けられておらず、ほぼ全体が灰色という中、青色の「ここの地盤は 海抜6m」というプレートがやけに目立ちます。潮風のせいもあってか、コンクリートは劣化気味でした。

 待合室の内部[⑧]。木製のベンチが設置されていますが、これも灰色のような色合いでした。わざとそういう色に塗っているのではなく、単純に使用している木材の問題なんでしょうが、もしこれが茶色なら、また印象も違っていたでしょうに・・・。ベンチまでもが灰色なせいで、待合室の内部を見ると、一瞬廃墟ではないかと勘違いしてしまいます。なんか、心なしか入りづらさも感じるような・・・。

 ホームと海を見てみます[⑫]。たいへん残念だったことは、今日の天気が曇天だったということです。海景色は、やはり晴れている日に見るものこそが至高です。せっかく海に近い駅に来たわけですから、やはり青空が広がる晴天の下で海を見たかったですね。空が曇天で灰色だと、海水も灰色になってしまうので、灰色のホームとも相まって、見栄えのしない地味な景色に見えてしまいます。

 さて、せっかくこれほど海が近い駅に来たわけです。海にもっと近づきたいと思うのが本心というものです。すると、線路を渡って海岸に降りられそうな通路があるのを発見しました[⑮]。ただ、開いてはいるものの門があり、踏切の設備も全くないという、怪しさ満点の通路です。案の定、ここは普通の人間が通れる場所ではなく、「ここから先は鉄道用地なので立ち入り禁止云々」の表示があったので、ここを渡るのはやめておきました。

 大狩部駅が「太平洋を臨み、打ち寄せる波の音が聞こえる秘境駅・・・」であれば嬉しいんですが、残念ながら、実際にはそうではありません。駅のすぐ近くを、比較的交通量のある国道235号が通っており、そこを往来する車の音がなかなか絶えません[⑯] [⑰]

 他には誰もいません。今、大狩部駅にいるのは私だけです。ひとりホームに座り、打ち寄せては消える波をぼーっと眺める[⑳]。一人旅の良さをひとつ挙げるなら、それは「無為に過ごす時間を作れること」でしょうか。次の列車が来るまで、しばし無意識で無為な時間を・・・。














 上り列車に乗車して日高門別へ向かいます[①]。大狩部駅で次の下り列車を待つのは無理がある(2時間12分待ち)ので、上り列車に乗車して、下り列車を”迎え”に行きます。大狩部駅とその前後の区間は、日高本線の中でも特に海に近いところに線路が敷設されていて、日高本線の絶景のひとつとなっています[②]。ただ、このように天気が悪いと、とても夏の海には見えません。

 窓には水滴がついていました[③]。大狩部駅にいたときは、まだ雨は降っていませんでしたが、大狩部よりも先の区間(下り方向)では雨が降っているのかもしれません。さすがに毎日毎日晴天というわけにはいきませんね。

 日高門別には10:20に到着します[④]。かつての急行えりも号の一部列車が停車していた駅です。




















 日高門別駅にやってきました。もっとも、降りたいと思って降りたのではなく、下り列車を迎えるために降りただけなんですが・・・。旧門別町の中心駅であり、駅周辺には、町役場や保育所、郵便局などがあり、ある程度の町が形成されています。都市の駅でも秘境の駅でもない以上、残念ながら、日高門別駅とその周辺には、特に見どころはなさそうです。

 一応、旧門別町の中心駅で、今でも合併後の日高町の役場が近くにあるくらいなんですが・・・、1990年に竣工した立派な駅舎を持ちつつも、駅は無人駅で、駅舎内も閑散としています[⑥] [⑦]。2010年3月末までは、売店としてキヨスクが営業していたようですが、それも今はありません。駅舎の中に入るといきなり不自然な空きスペースが目につくのは、そのためでしょう。

 特にすることもないので、結局、駅の近くにあるコンビニに出向いてスナックを購入し、軽くお腹を満たしておきました。旅先では、たまに猫に出会いますが、そういうときはとりあえず慎重に近づいてみて、人懐っこさがあるのかどうか確かめるようにしています[⑩]


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