静内では、32分もの停車時間が設けられています。駅に到着して乗降扉が開くと、降りる人は当然いますが、この段階では乗る人はいません。乗る人は、やはり発車の数分前になってから乗り込んでいきます。しとしとと雨が降る暗がりで、キハ40形が発車のときを待ちます[③]。
改札口を通るとき、駅員氏から「苫小牧行きの発車は18:29です」と言われました。それも、私が北海道フリーパスを見せる前に。もちろん、このまま静内駅で下車する人もいるはずですが、やはり、32分もの間列車内に留まる人はいないということなんでしょうね。ここでホームから改札口に来る人=引き続き苫小牧行きに乗るが、発車まで駅の中で待つつもりの人、という図式が成立しているのでしょう。
駅舎の中に、夜行列車の運休のお知らせが貼り出されていました[⑤]。要するに、北海道新幹線の工事のために北斗星号とはまなす号を運休・時刻変更する日がありますよということですが、驚いたのは、運休期間として12月28日〜翌年1月5日が設定されていることでした。年末年始というのは、夜行列車も含めて公共交通機関の需要が高まる期間ですが、そのときにあえて運休させてくるとは。
これまでに廃止されてきた各種夜行列車は、通常期の利用率はいかんせん芳しいものではありませんでしたが、そのような夜行列車でも、年末年始はさすがに満席になりました。普段はそう利用されない列車でさえ満席になるような需要が発生する時期・・・、それが年末年始ですが、需要が高い時期に運休するというのはどうもよく分かりません。
もっとも、北斗星号1往復分とはまなす号1往復分で運べる乗客の数はたかが知れています。それらを運休させたところで、輸送力的には特に問題はないという判断が下されているのでしょう。北海道新幹線の各種試験・工事のために列車を走らせない時間を拡大する必要があると言っても、もし夜行列車が輸送の一翼を担うものとして重要視されているならば、これほどの思い切った措置はとられなかったでしょう。
夜行列車の「輸送力」の計算の中に占める割合が低下していること、夜行列車の地位が低下していることを感じずにはいられませんね。
暗い、降雨、肌寒いとなると、32分の停車時間があると言っても、駅の近くをうろつく気にはなりません。駅舎の中で「早く発車時刻になってくれないかな」と思いつつ、特に何をするということもなく時間を潰しました。再び2238Dに乗車するために改札口を通ると、僅かに残っていた明るさも消え失せ、すっかり夜の世界になっていました。キハ40形の車内の白い蛍光灯の光が眩しくさえ感じられます[⑥] [⑦]。
鵜苫〜静内間では、日高本線色の2両目に乗車したので、残りの静内〜苫小牧間では、JR北海道標準色の1両目に乗車することにしました。両車の間には大きな違いはなく、JR北海道標準色の車両は、日高本線の車窓などを紹介するポスターがなく、座席のモケットの色が紫色ではなく青色となっているという程度の違いしかありません[⑧]。
朝に下ってきたところを引き返す形で苫小牧へと向かいます。朝に下ってきたときと違うところをひとつだけ挙げるとすれば、それは、2238Dは途中の浜田浦駅を通過するということですが、何せ真っ暗にして真っ暗なので、浜田浦を通過したことに気がつくことは不可能でした。見るものもすることもないという地獄のような時間を耐え忍ぶと、列車は苫小牧の市街地に入り[⑨]、20:05に終点の苫小牧に到着しました[⑩]。
どうでもいいことですが、駅舎内に設置されているLEDの発車標を眺めていると、なぜか「萩野」が英語にならないことに気がつきました[⑬]。他の項目は、英語表示のときはきちんと英語になるんですが・・・。札幌や函館といった主要駅と違い、萩野は、普通の外国人はまず降りそうにもない小さな駅ですから、英語で案内してやることもなかろうという判断でもされているのかもしれません。
さて、今日の移動はこれで終了です。駅前の東横インに入り、夜を明かします[⑭]。なんというか・・・、本当に疲れました、今日は。
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