小樽を出ると、いよいよ山線区間に入ります。今回、札幌〜長万部間でヌプリ号に乗車しますが、山線区間を含む区間で乗車することに大きな意味があります。なんと言っても、「定期の優等列車がない区間」ですからね。私はそういう世代ではありませんが、山線区間を走る特急列車というものに、かつての特急北海号を重ね合わせる方も多いのではないでしょうか。車両は当時とはちょっと違いますが・・・。
小樽を出て最初に通過する駅は塩谷です[③]。小樽〜長万部間の山線区間は、定期の優等列車の設定がないだけでなく、「通過駅がある定期列車」の設定もありません。山線区間で駅を通過するという体験に、一種の新鮮さを感じます。しかし、山線区間はもとより線形が悪く、また高速化工事などもされていないため、平均的にスピードが出ないほか、駅を通過するときは、ヨタヨタと分岐器を通過してゆっくりと通過していきます。
塩谷の隣の蘭島で運転停車。下りの小樽行きの普通列車の到着を待ち、列車交換を行います[④]。特急列車と言っても、ヌプリ号は定期列車の合間を縫って走る臨時列車であり、また山線経由という”お遊び列車”だからか、特急列車であるヌプリ号が普通列車を待つというひどい扱いです。こちらは”特別急行”ですから、定期列車と言えども、普通列車側がダイヤ変更をしてでも待ってくれるぐらいでないと・・・と思うんですが。
9:05、小樽を出てから最初の停車駅、余市に到着します[⑤]。余市は、かつての特急北海号も停車駅としていました。発車時刻は9:20であり、15分の停車時間が設けられています。それだけの停車時間があるので、もちろんいったんホームに降りますが、ホームでは、「歓 迎 特急ヌプリ・ワッカ号」と書かれた看板[⑧]と、余市町のご当地キャラ「ソーラン武士」に出迎えられました[⑨]。
ニセコエクスプレスには、行き先表示機やサボ受けがありません。そのため、列車名や座席種別は、乗降扉の窓に貼られたシールによって案内されています[⑩]。このようにせざるを得ないというのは理解しますが、そうするのであれば、シールは丁寧に貼っていただきたかったですね。シールの粘着部に入り込んで泡になった空気が見えてしまっています。
この車両は、ある「JR初」を持っています。それはいったい何でしょうか。ニセコエクスプレスが持つ「JR初」とは、「JR初のプラグドア採用車両」ということです[⑪]。ニセコエクスプレスでは、外吊り式のプラグドアが採用され、冬季の着雪による扉開閉のトラブルの可能性を軽減させるとともに、戸袋を廃止することに成功しています[⑫]。
背面テーブルの引き出し方が特徴的なニセコエクスプレスですが、新たな特徴を発見しました。それは、車両間の貫通扉がボタンによって開くものということです[⑮]。このボタンを押すと貫通扉が開くというわけですが・・・、反対側の車両の貫通扉もボタンの押下に連動して開くのかと思えばそうではなく、反対側のものは、なぜか普通の人感センサーで開くようになっています。
そのため、渡り板の上で一瞬待たされる時間があり、歩きながらボタンを押したり、ボタンを押してすぐに反対側の車両へ移動しようとしたりすると、反対側の車両の貫通扉に激突する羽目になります。特徴的な背面テーブルの引き出し方にしてもそうですが、意欲的で独創的なことはたしかであるものの、さりとてその利点と目的が見えてきません・・・。
ホームでは、地元産品を販売する出店が営業し、余市名物のりんごを使用したアップルパイやチョコレートなどの販売を行っていました。そこで、とりあえずチョコレートとグミを購入してみました[⑰]。グミはともかくとして、チョコレートはりんごゼリーが入っており、なかなかおいしかったです。
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