●9月6日●
Page:37

−Day:7 嗚呼、北海道!−

※各画像はクリックすると拡大します。

















 おはようございます。今日はいよいよ道内7日目で、今日の夕方に札幌を発つ上りのカシオペア号で上野へ帰ります。北海道フリーパスの有効期間は7日間ですから、その有効期間を目いっぱいに活用できることは、元を取るという点でも、非常に大きなことです。

 今日はまず、特急すずらん1号に乗車して札幌へ向かいます[②]。昨日のようにはまなす号に乗車するという選択肢もありましたが、札幌行きのはまなす号の苫小牧の発車は5:01です。相当の早起きを強いられます。2日連続で4時台起きは嫌だったので、7:51発のすずらん1号にしました。

 すずらん1号が785系でやってきました[③]。今回、私はその指定席に乗車します。自由席の座席よりも大きくて快適なuシートの座席は[④]、背もたれの上部に出っ張りを設けることで、頭の位置が安定しやすくなり、特に座席に座ったままうたた寝してしまうようなときに、その威力を発揮してくれます。なお、789系1000番代のuシートでは、この出っ張りはなく、代わりに枕がつけられています。

 沼ノ端駅で731系の普通列車とすれ違います[⑦]。北斗号やスーパー北斗号であれば、沼ノ端には停車せず、そのまま通過してしまっているところですが、すずらん号では、沼ノ端駅は停車駅のひとつとなっています。札幌〜東室蘭間で運転区間が重なるすずらん号と(スーパー)北斗号ですが、前者はこまめに停車して地域間輸送の役割を担い、後者は停車駅を絞って広域輸送の役割を担うという棲み分けができています。

 沼ノ端〜美々間は、街らしい街もなく、「北海道」という3文字からよく想像されるような広大な平原が見られるところもあります[⑧]。列車は南千歳、千歳と停車して、8:29に新札幌に停車[⑨]。そして8:37、終点の札幌に到着します[⑩]

 ・・・とここで、3番線に、あろうことか711系が停車しているのを発見しました[⑪]。711系は2014年度のうちに全廃されることが発表されており、次回北海道を訪れるときには、恐らく姿を消しています。旅程の都合上、今日この後711系に乗車する可能性は完全にゼロです。そして、711系を見られるのはこれが最後かもしれないと思い、そそくさと3番線に移動しました。

 3番線に停車していた711系は6両編成で、回送列車でした[⑫]。私は711系の運用は全く知りませんが、札幌行きの何らかの列車に充当された後の状態だったのでしょうか。国鉄色に塗り戻された編成でなかったことは残念でしたが、もはやそんな贅沢を言っていられるときではありません。この時間帯に札幌駅で711系を見られることは全く知りませんでしたから、とにかく711系を見られたことに感謝しておきましょう。
























 札幌から乗車するのは、9:05発の富良野行きの臨時特急・フラノ紅葉エクスプレス号です[①]。「停車駅は岩見沢・滝川・芦別です。」という表示からも分かるように、この列車は、滝川・根室本線経由で富良野へ向かいます。

 函館本線の山線区間と同様に、根室本線の滝川〜新得間も、定期の優等列車の設定がありません。昨日乗車したヌプリ号は、山線区間を走る特急列車として見逃せない存在でした。これから乗車するフラノ紅葉エクスプレス号も、滝川〜富良野間のみではありますが、”根室本線の滝川〜富良野(新得)を走る特急列車”として、鉄道好きとしては見逃せない存在です。そこで、これは乗らねばと思い、乗車してみることとしました。

 5番線に列車が入線してきました[②]。ジョイフルトレイン・クリスタルエクスプレスでの運転です。私が所持している指定席券では、2号車の座席が指定されていますが、その2号車は、900mmもの床面嵩上げがなされた超ハイデッカー車両「ドームカー」です。車両の高さは2階建て車両並みで、駅に停車しているところを見ても、座席がいかに高いところにあるかがよく分かります(左の車両)[③]

 平屋建ての車両なのに階段を上がる、という行為を経て客室内へ。ドームカーは、ただ座席が高い位置にあることで見晴らしが良いだけではありません。なんと、壁と天井の接続部にまで窓が設けられています[⑤]。北の大地の空を見てくれというわけではないはず(恐らくUVカットガラスなので、窓越しに物を眺めるのには不向きは)ですが、天窓まで備えるドームカーは、クリスタルエクスプレスを象徴する車両となっています。

 天井にはモニターが設置されていて、札幌停車時は、前面展望の映像が流されていました[⑥]。その後、札幌を発車したあとの車内放送で、車掌から「富良野の観光案内ビデオを流す」との案内がされ、富良野の観光案内ビデオが流れ始めました[⑦]。しかし、モニターが老朽化しているのか、それとも設定が悪いのか、画面が暗いうえに色がまともに出ておらず、とても視聴できたものではありませんでした。

 9:05に札幌を発車した列車は、まずは函館本線を下っていきます。札幌〜滝川間は、現在もスーパーカムイ号をはじめとする特急列車が何往復も走っているので、そこをこうして特急列車で通過しても、特に真新しさはありません。今日は良い天気で晴れていますが、ドームカーは、天窓越しにも太陽の光が入ってくるということもあってか、一般的な車両と比較してみても、車内が非常に明るかったです[⑧]

 クリスタルエクスプレスでは、全座席にオーディオパネルが取り付けられ、各種放送を楽しめます[⑩]。各座席にはイヤホンも用意されていますが、このイヤホン、どこかおかしいとは思いませんか[⑪]。よく見ると、機器との接続部が一般的な金属プラグではありません。その理由は、「列車内のオーディオパネルにしか挿せない特殊なプラグ形状とすることで汎用性を潰す=持ち帰っても使えない=持ち帰りを防ぐ」ためらしいです。

 2号車のドームカーが象徴的なクリスタルエクスプレスですが、3号車には二階建て車両が連結されています。2階はグループでの利用に向いたボックス席となっていて、1階には4人用の個室が3室設置されています[⑫]。E26系や100系の食堂車を思わせる側通路式の1階にそれらの個室はありますが、フラノ紅葉エクスプレス号では、個室の販売はなく、3号車の個室は多目的室として使われていました[⑬]

 個室の扉の窓は、室内のスイッチで透明にしたりスモークにしたりできますが、1室だけスモークがかかっていなかったので、ちょっと中を覗いてみました[⑭]。2人掛けのソファーが木製のテーブルと液晶モニターを挟んで向かい合わせに配置されているという構造で、壁面にはコントロールパネルがありました[⑮]。登場時はグリーン個室でしたが、現在は普通個室となっています。























 行き先表示機を持たないクリスタルエクスプレスでは、シールによって列車名や行き先を案内しています[①]。しかし、先頭車両の先頭部にLEDの電光掲示板を取り付けておくだけの余裕があるのなら、車両の側面に方向幕やLEDくらいあっても良いと思うんですが。サボならいざ知らず、シールというのは、傍目から見ればなかなかみっともなく見えてしまいます。

 10:04に滝川に到着します[②]。ここまで岩見沢、滝川と停車してきましたが、それらの駅で降りる人はいませんでした。「クリスタルエクスプレス目当ての鉄道ファンがチョイ乗りしているかも」とも思っていましたが、そういう人はいなかったようです。まあ、せっかく根室本線経由で富良野まで行くわけですから、事情の分かる鉄道ファンなら、なおさら全区間乗って然るべきですね。

 滝川で複線電化の函館本線と別れ、単線非電化の根室本線に入ります[③]。私としては、「ここからが真髄」というところです。何せ、滝川〜富良野(新得)間は、かつては定期の優等列車の設定がありながらも、現在ではその設定がなくなったという区間です。普段は特急列車が走らない区間を、今日はフラノ紅葉エクスプレス号が走ります。滝川経由時代の特急おおぞら号を重ね合わせ・・・るのはちょっと無理そうですけどね。

 田園地帯を進みます[④]。函館本線内は最高速度120km/hで走ってきましたが、根室本線内では、95km/hに制限されます。また、全体的な線形を比較してみても、根室本線内は、函館本線内のそれよりも劣ります。通過駅の分岐器もY字分岐器が基本なので、函館本線内と異なり、高い速度を出したまま通過することはできません。それでも、滝川〜富良野間の停車駅が芦別のみというところに、特急列車らしさがあります。

 クリスタルエクスプレスの座席には背面テーブルがありませんが、背もたれの裏側に、妙な空きスペースがあります[⑤]。凸型となっているその下側は網ポケットに物を入れるための空きスペースだとして・・・、その上側のものはいったい何でしょうか。実は、2003年に撤去されるまで、クリスタルエクスプレスでは、各座席に5インチの液晶画面が取り付けられていました。それがあった名残であると思われます。

 芦別駅の手前で、進行方向左側に謎の観音像が見えてきます[⑥]。「北海道天徳大観音」と呼ばれるこの像は、1989年に完成した全高88mの大観音像で、世界平和や北海道の発展を祈念して造られたとされています。この像が見えると、間もなく芦別です[⑦]。ドームカーは、2階建て車両の2階部分と同等の高さに客室があるだけに、窓越しの物の見え方は、2階席にいる場合と遜色ありません[⑧]

 野花南〜島ノ下間は13.9kmもの距離がありますが、この区間には、長さ5595mの滝里トンネル[⑨]と、長さ約2800mの島ノ下トンネルがあります。この2つのトンネルは、短いスノーシェルターによって接続されているため、実質、約8.5kmに渡ってトンネルが連続することとなります。8.5kmという長さのトンネルは、在来線としては長めの部類に入ってくるところでしょう。

 そして11:00ちょうど、終点の富良野に到着しました[⑪]。札幌〜富良野間は、滝川経由で138.1kmほどの距離しかありませんが、普段は直通列車の設定がありません。札幌から乗り換えなしで富良野へ行けるという利便性は、多くの観光客に支持を受けています。


                  10  11  12  13  14  15  16  17  18  19  20  21  22  23  24  25
26  27  28  29  30  31  32  33  34  35  36  37  38  39  40  41  42  43  44  45  46  47  48


DISCOVER どこかのトップへ

66.7‰のトップへ