行き先表示機を持たないクリスタルエクスプレスでは、シールによって列車名や行き先を案内しています[①]。しかし、先頭車両の先頭部にLEDの電光掲示板を取り付けておくだけの余裕があるのなら、車両の側面に方向幕やLEDくらいあっても良いと思うんですが。サボならいざ知らず、シールというのは、傍目から見ればなかなかみっともなく見えてしまいます。
10:04に滝川に到着します[②]。ここまで岩見沢、滝川と停車してきましたが、それらの駅で降りる人はいませんでした。「クリスタルエクスプレス目当ての鉄道ファンがチョイ乗りしているかも」とも思っていましたが、そういう人はいなかったようです。まあ、せっかく根室本線経由で富良野まで行くわけですから、事情の分かる鉄道ファンなら、なおさら全区間乗って然るべきですね。
滝川で複線電化の函館本線と別れ、単線非電化の根室本線に入ります[③]。私としては、「ここからが真髄」というところです。何せ、滝川〜富良野(新得)間は、かつては定期の優等列車の設定がありながらも、現在ではその設定がなくなったという区間です。普段は特急列車が走らない区間を、今日はフラノ紅葉エクスプレス号が走ります。滝川経由時代の特急おおぞら号を重ね合わせ・・・るのはちょっと無理そうですけどね。
田園地帯を進みます[④]。函館本線内は最高速度120km/hで走ってきましたが、根室本線内では、95km/hに制限されます。また、全体的な線形を比較してみても、根室本線内は、函館本線内のそれよりも劣ります。通過駅の分岐器もY字分岐器が基本なので、函館本線内と異なり、高い速度を出したまま通過することはできません。それでも、滝川〜富良野間の停車駅が芦別のみというところに、特急列車らしさがあります。
クリスタルエクスプレスの座席には背面テーブルがありませんが、背もたれの裏側に、妙な空きスペースがあります[⑤]。凸型となっているその下側は網ポケットに物を入れるための空きスペースだとして・・・、その上側のものはいったい何でしょうか。実は、2003年に撤去されるまで、クリスタルエクスプレスでは、各座席に5インチの液晶画面が取り付けられていました。それがあった名残であると思われます。
芦別駅の手前で、進行方向左側に謎の観音像が見えてきます[⑥]。「北海道天徳大観音」と呼ばれるこの像は、1989年に完成した全高88mの大観音像で、世界平和や北海道の発展を祈念して造られたとされています。この像が見えると、間もなく芦別です[⑦]。ドームカーは、2階建て車両の2階部分と同等の高さに客室があるだけに、窓越しの物の見え方は、2階席にいる場合と遜色ありません[⑧]。
野花南〜島ノ下間は13.9kmもの距離がありますが、この区間には、長さ5595mの滝里トンネル[⑨]と、長さ約2800mの島ノ下トンネルがあります。この2つのトンネルは、短いスノーシェルターによって接続されているため、実質、約8.5kmに渡ってトンネルが連続することとなります。8.5kmという長さのトンネルは、在来線としては長めの部類に入ってくるところでしょう。
そして11:00ちょうど、終点の富良野に到着しました[⑪]。札幌〜富良野間は、滝川経由で138.1kmほどの距離しかありませんが、普段は直通列車の設定がありません。札幌から乗り換えなしで富良野へ行けるという利便性は、多くの観光客に支持を受けています。
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