カシオペア号が推進回送で尾久へ行ってしまったので、北斗星号を見ておきます[①]。実際に乗ったときの快適さは別にして、外から見たときに、どちらの方がよりカッコいいと思うか、どちらの方がより魅力的な列車に見えるのかと言うと、そこは、やはり北斗星号に軍配が上がります。青い車体に金色の帯[③]。たった2色ですが、E26系のステンレス無塗装の車体にはない重厚感があります。
北斗星号のロビー・ソロ車には、半室ロビーの液晶テレビが上野寄りにある車両と札幌寄りにある車両の2種類があります。今日上野着の上りの北斗星号は、後者のタイプの車両・スハネ25-503を連結していました[④]。前者は24系が種車であるのに対して、後者は14系が種車です。遭遇確率で言えば、前者のタイプの車両の方が高いので、後者のタイプの車両に当たったら、ちょっと運が良かったと言えるかもしれません。
やがて北斗星号も、推進回送で13番線を後にしました[⑤]。一人旅ならやっぱり北斗星号・・・、でも、そこに乗れるチャンスがあるなら、カシオペア号にだって乗ってしまわなければ。風前の灯となっている寝台列車に関しては、今となっては、出し惜しみやためらいは厳禁であると思いました。
EF510形の遠くなっていくテールライト。ああ、これで北海道旅行も終わりなのかと思うと、やはり残念に思います。「北海道フリーパスの有効期間は7日間。これを目いっぱい使い倒すわけだから、これは日数もかかって”旅甲斐”のある旅になるだろう」と思っていましたが・・・、いやあ、本当に、長いようで短いというのはこういうことを言うのかと・・・。なんだか物足りなささえありますね。
JR北海道線は全線乗車してしまいましたので、北海道新幹線の新函館北斗開業までは、北海道には用事はありません。しかし、こうしてカシオペア号での夢のような時間を味わってしまうと、「あれをまた味わいたい」と、北斗星号に乗るためだけに、あるいはカシオペア号に乗るためだけに、目的もなく北海道へ行ってしまいたいとさえ思ってしまいます。
帰りにカシオペア号に乗車したときだけでなく、行きにはまなす号に乗車したときも思いましたが、やはり夜汽車は面白い。楽しい。素晴らしい。これほど魅惑的で興味を惹かれるものも、なかなかありません。改めて、私が追い続けなければならない存在であると思いました。
私には1つだけ、明確な夢があります(鉄道趣味においてのですよ)。それは、北斗星号、あるいはカシオペア号の食堂車でお酒を飲むこと。私は、2015年の4月に20歳になります。そのころには、トワイライトエクスプレス号はもう走っていませんが、北斗星号とカシオペア号なら、まだ3月のダイヤ改正を生き延びてくれる可能性があります。私はその可能性を信じます。
闇夜の街を駆ける夜行列車の食堂車で、ビールやワインを嗜む。どうか、どうか1度だけで構わないので、食堂車で大人を演じさせてください。「あの夢は、自分が生まれるのが遅かったばかりに叶えられなかった」と、そうならないように。
さて、こうして晩夏の北の大地を巡る大旅行が終了しました。
新たに乗車した路線は宗谷本線と日高本線の2路線にとどまりましたが、その分、全体的な日程に余裕があったので、
サロベツ湿原を訪れたり、利尻島を訪れたりと、一般的な観光を楽しむこともできました。
これまでは、旅と言っても、「いかにしてより多くの路線に乗るか」ということに偏重してしまい、
観光要素がほとんど含まれていませんでしたが、今回は観光要素もふんだんに取り入れることを意識して旅程を考案し、、
乗り潰し、秘境駅下車、観光、珍列車への乗車など、あらゆる方面の均衡がとれた、完成度の高い旅になったと自負しています。
もっとも、カシオペア号への乗車によって札幌の出発が早くなり、ファーム富田への訪問が叶わなかったことは残念です。
帰りはカシオペア号に1人で乗車しましたが・・・、皆さんは、「カシオペアひとり利用券」なるものがあったことはご存知でしょうか。
2009年2月〜4月に、上りのカシオペア号限定で利用できる企画券として販売され、19800円(別に乗車券を用意)という値段でした。
そういうことをしていた時期もあったわけですが、カシオペア号は、再び「おひとり様お断り」路線に戻ってしまいました。
ただ、2人分の特急料金と寝台料金を払ってでもカシオペア号に乗ったことに対しては、後悔はありません。
いずれは、50万円を積んでも、100万円を積んでも、「上野〜札幌間を走る寝台特急・カシオペア号」には乗れなくなります。
そう思うと、将来「あのとき乗っておけばよかった」と後悔してしまうくらいであれば、多少懐が痛くなろうが、
33580円の寝台券を買ってでもカシオペア号に乗車しておく方が、よほど賢い選択であると考えました。
今回は、このような1週間以上にも及ぶ大旅行となりましたが、「燃え尽き」のようなものはほとんど感じていません。
むしろ、今回の旅行を通して、鉄道旅行に対する情熱がより一層高まってきたように思います。
「次はどこへ行くことになるのだろうか」。まるで他人事のような言い回しですが、実際、どこへ行くことになるのかというのは、
そのときの気分と情勢次第です。「次は絶対にここだ」というのを今決めることは、簡単なことではありません。
さて、今回の旅日記は、計48ページにも及ぶ非常に長いものとなりました。
重要そうなところだけを取り上げ、最低限の必要な写真と必要な文章だけで構成すれば、ページ数はもっと減らせます。
ただ、その場の雰囲気、空気感、様子をよりリアルに、詳細に伝えるのが私の方針であるため、そのようなことはしませんでした。
48ものページがあると、読み切るのも大変なのではないかと拝察します。最後までお付き合いいただきありがとうございました。
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