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 キハ187系による特急スーパーいなば1号に乗車して鳥取へ向かいます[①]。智頭〜鳥取間は距離にして31.9km、普通列車でも50分前後で移動できる区間であり、また、次の8:38発の鳥取行きの普通列車でもその後の乗り継ぎが成立します。必ずしも特急列車に乗る必要性がある区間ではないのですが、まあ、そこは「特急列車に飢えていたから」ということで・・・。もっとも、距離と所要時間の関係上、さすがに自由席でしたが。

 先ほど乗車した快速列車では、那岐からの乗車が1人ありましたが、なんとその方もスーパーいなば1号に乗車しました。そして遠くからでも分かる緑色の乗車券は、私と同じ出札補充券。正直、「まあ青春18きっぷなのだろう」と思っていましたが、まさか「青春18きっぷを使わず」、「(短距離でも)特急列車に平気で乗る」という、私と同じ理念を共有されているとは・・・。しかも私と同じ出札補充券。良い酒が飲み交わせそうな人です。

 鳥取まではたったの27分ですが、その27分間は、一昨日の特急サンダーバード号を最後にずっと普通列車に乗り続けてきた身にとっては、まさにオアシスそのものでした。リクライニングシートに身を任せ、小駅は次々と飛ばしていくその時間は、快適そのものです。

 途中郡家にのみ停車して、列車は終点の鳥取に到着しました[⑤]。岡山で下りのサンライズ瀬戸・出雲号からスーパーいなば1号に乗り換えて鳥取を目指すという移動手段があるとかないとか言われていますが、乗り換えの手間があること、そして上郡〜岡山間の運賃は免除にならないということを考えると、それを実行する人は限りなく少なく、そしてかつての出雲号の代替にもなりはしません。





























 5年ぶりの鳥取駅です。2面4線の高架駅で、ホームの有効長は約285m(14両編成まで対応)が確保されていますが、山陰本線・因美線ともに非電化であり、架線が一切ないその様子は、駅の立派な構えとはやや不釣り合いです[②]。空がよく見えます。

 発車標を見てみると、「臨時快速 山陰海岸ジオライナー」なる列車が表示されていました[③]。鳥取〜豊岡間を直通で結ぶ臨時快速列車で、停車駅は同区間におけるはまかぜ号の停車駅に餘部駅を加えたのみという絞りよう。もっとも、観光案内放送があったり、景観の良い区間で徐行したりと、速達移動や輸送力の増強を目的とした列車ではなく、山陰海岸ジオパークの観光の利便性を上げることが目的の列車です。

 せっかくなので列車の入線を待ってみると、車両は専用のラッピングが施されたキハ126系でした[④]。行き先表示機は「臨時」などで済ますことはせず、行き先駅や列車名がきちんと入力されていました[⑤]。乗客は地元の方や観光客と見られる方も多かったですが、その一方で、やはり鉄道ファンも多く乗り込んでいました。1日1往復の運転ですが、時間が合えば、特に青春18きっぷ利用者には大きな味方となることでしょう。

 駅構内に、「名探偵コナン 鳥取ミステリーツアー」の実施に合わせた、名探偵コナンの登場人物の砂像が展示されていました[⑧]。「砂」像としたのは、やはりここが鳥取県だからなのでしょうか。当然、接触厳禁ですが、やたらと接近する小さな子供もいて、見ている側がヒヤヒヤ・・・。

 8月15日(今日)のみ運転される臨時特急、スーパーはくと96号の案内が貼り出されていました[⑨]。90台の号数を冠するスーパーはくと号の臨時列車、全車指定席、そして大阪行き(普通は京都行き)など、ちょっと興味を惹かれる列車です。ちなみにこの列車、智頭急行のツイッターアカウントが8月12日に「まだまだ空席がございます!」と叫ぶ程度の利用率だったようです。そもそも8月15日のみの運転じゃ認知されているかどうかが・・・。

 「鳥取県観光マップ」と称し、鳥取県の観光地を紹介するコーナーがありました[⑩]。そこにいたのは、またしてもHOT7000系でした[⑪]。たしかに、そのデザイン性などは、とても第三セクターの会社の車両とは思えないほどのものですが、それでも、この車両は智頭急行のものです。他社の車両を自社の宣伝コーナーに使っているというのも、なかなか滑稽です。キハ187系ではダメなのでしょうか。

 人口は約19万強で、日本の県庁所在地の中では最も人口の少ない鳥取市ですが、鳥取駅の周辺は、それなりに街になっています[⑫]。また、市を代表する駅である鳥取駅は、2面4線の高架駅となっており、その外観は岡山駅の東口側駅舎などと似ています[⑬]

 鳥取県の名産品のひとつは梨です。その梨の中でも、品種で言えば、「二十世紀」の生産量が最も多いです。北口の駅前では、二十世紀梨の木が植樹され、その栽培が行われています[⑰]。紙袋があり、また「実のりの頃(9月上・中旬)」とありましたから、もう実が大きくなり始めている頃合いなのでしょう。同じ鳥取県産の二十世紀梨を食べるなら、ここで生まれたものを食べたいものです。

 改札口付近のホワイトボードに、鳥取駅の社員が描いた絵とメッセージがありました[⑱]。「いつでも帰って来てください」とあったのは、今日からUターンラッシュが始まることを念頭に置いてのものでしょうか。ふるさと・鳥取を離れて生活の拠点へ戻っていく人たちを送り出す言葉です。

 次に乗る列車は、9:44発の特急スーパーおき3号です[⑲]。鳥取〜新山口間の距離は378.1kmにも達しています。





























 新山口行きのスーパーおき3号は、先ほどのスーパーいなば1号と同じキハ187系です[①]。形式は同じですが、前者が最高速度120km/hの0・10番代を使用するのに対し、後者は130km/hでの運転に対応した500番代が使用されます。もっとも、外装や内装に大きな違いはなく、「さっきと同じ車両じゃないか」という思いに至るのはやむを得ないところです。

 山陰本線の名車窓といえば日本海ですが、鳥取〜米子間でも、僅かではありますが、日本海が臨める区間があります。そこで私は、進行方向右側の席を確保しました[②]。キハ187系は番代によって座席配置が異なるので、A席とD席のどちらも海側になる可能性があり、残念ながら、「●席が海側である」と断言することはできません。特に指定席を利用される場合はご注意ください。

 キハ187系は、特急型車両としては地味ですが(デザイン性が皆無な平面的な外観、2両で1編成という短さ、チャイムがないなど)、実は車窓を眺めるのにはありがたい、とても大きな窓を持っています[③]。座席2列にかかる大きな窓ですが、その後ろ側の座席に座れば、この上ない眺望の良さがあることでしょう。なお、この大きさのため、高速で単線トンネルに入ると、窓が撓むのがはっきりと確認できます。

 最初の停車駅は鳥取大学前[⑤]。「大学前」とついていますが、駅周辺は住宅地が開発されていて、大学関係者以外の利用も多いかと思います。末恒〜宝木間で見られる小さな池は水尻池で[⑥]、水鳥の越冬地となっており、野鳥がよく飛来する池であるそうです。

 宝木を通過します[⑦]。この駅は山陰本線高速化事業において一線スルー化が行われなかったため、駅構内に進入する際には、大きく速度を落とします。列車の高速化にあたっては、駅間を速く走ることも大事ですが、駅構内を速く走ることも大切です。駅通過のために一度減速すれば、減速中・低速走行中・加速中の3つの時間において最高速度との乖離が生じ、時間のロスが発生します。

 列車は浜村に運転停車しました[⑨]。本来は通過駅のようですが、対向列車が遅れているために、ここで運転停車をして列車交換をすることとなりました。交換相手はキハ126系の快速とっとりライナー号[⑩]。定刻であれば、とっとりライナー号の方が先着してスーパーおき3号の通過を待ちますが、今日はその逆となりました。快速列車を待たされる特急列車・・・。

 青谷〜泊間で日本海がちらりと見えました[⑪]。鳥取〜米子間では、日本海が一望できると言えるほど際(きわ)を走ることはありませんが、所々で日本海が見えます。やや遅れて到着した倉吉で、京都行きの特急スーパーはくと号と出会いました[⑫]

 下市〜御来屋間で再度日本海が出現[⑬]。向こうに学校らしき建物が見えますが、これは2005年度をもって廃校となった光徳小学校の建物です。卒業生の方曰く、「日本で海に一番近い小学校」とのことで、後で衛星写真で詳細な位置を確認しましたが、たしかに海のすぐそばにありました。ここで学んでいた児童たちは、窓越しに広がる日本海を横目に学校生活を送っていたのでしょうか。羨ましいですね。

 名和〜大山口間には、風力発電用の風車が林立する地帯があります[⑭]。海沿いは風が強いですから、日本海からの強力な風を源にしているのでしょう。観光名所と言えるほどではないかもしれませんが、その眺めはなかなか壮観です。

 その大山口で運転停車し、倉吉行きの普通列車と列車交換[⑮]。 大山口駅は、その名の通り大山が近い駅で、駅から大山へ向かうバスも運行されています。このあたりまで来ると、進行方向左側の車窓からは大山が臨めます[⑯]

 適宜振り子を作動させながら[⑰]、列車は米子を目指します。米子の2つ手前の伯耆大山で伯備線と合流し[⑱]、電化区間に入ります。伯耆大山では、通常はその姿を見せることがないはずのキハ189系と遭遇[⑲]。「天空の城へ 竹田城跡」と書かれたヘッドマークを掲出していましたから、ここから播但線の竹田駅まで向かおうというつもりの団体列車だったのでしょうか? 結構遠いと思いますが・・・。

 こうして列車は米子に到着しました[⑳]。米子までは空いていましたが、米子で多くの人が乗り込んだようでした。


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