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 さて、米子駅にやってきました。山陰本線・境線・伯備線直通列車が集う駅で、交通の要衝となっています。米子駅の駅舎は、鉄道の駅舎というよりは事務所という雰囲気がありますが、これはJR西日本の米子支社が同居しているためです[②]

 今日もなかなか暑い日ですが、駅前では、ミストの噴霧が行われていました[③]。しかし、そのための装置は、カラーコーンに巻き付けたホースの先から出る水を扇風機で拡散させるというやっつけ感極まりないもので、いかにも間に合わせで用意したと思わせるようなものでした。昔とは違い、もう今は毎年夏は暑いんですから、そろそろ専用の装置を配備しても良い頃合いでしょう。

 駅舎の広告掲示スペースに目をやると、サンライズ出雲号の広告がありました[⑥]。寝台列車の利用者が減っているのは、その車両の陳腐化なども原因でしょうが、利用促進のための宣伝や販促を一切していない(利用者に存在を認知させようとしない)ことも大きな原因です。ただ、サンライズ出雲号の宣伝をしていることは評価できますが、「一利用個室」だとか、サンライズツインを「一人用個室」だとか、何か空回り気味・・・[⑦]

 「いまどき寝台列車の宣伝を打ってくれるとは」とちょっと驚きましたが、この程度で驚いていたのは間違いでした。駅舎の中に入ると、「サンライズ出雲で東京へ行こう!」と題した専用の宣伝スペースが設けられていました[⑧]。机の上を285系のプラレールが駆け回り[⑨]、白板に手書きの東京の観光地案内が貼り出され[⑩]、「サンライズ出雲で東京へ行こう!!」と書かれたペナント風の飾りがいくつも吊り下がっています[⑪]

 左横に回ってみれば、白板で各個室と設備の写真付きの解説が行われていました[⑫]。これだけでも十分ですが、右横には「寝台特急サンライズ出雲が東京と出雲を結ぶ。」との題字が記されたチラシ、果ては子供用の塗り絵まで用意されていて、「何もそこまでやらなくても」と思わされました。ここまで力を入れてひとつの列車を宣伝することは、寝台列車はもとより、一般の列車でもそうそうありません。

 米子〜境港間を結ぶ境線。11:30発の境港行きの普通列車に乗り、ここを攻略していきましょう[⑬]。境線の列車は欠き取り式の専用ホーム・0番線から発車します[⑭]。どうやら列車は既にいるようですね。



















 境線が行き着く境港市は、ゲゲゲの鬼太郎の作家・水木しげるの出身地です。そんなわけで、境線にはゲゲゲの鬼太郎の登場人物のラッピングを施した「鬼太郎列車」が運転されています[①]。11:30発の境港行きは2両編成でしたが、境港寄りの車両が桃色基調の「ねこ娘列車」、米子寄りの車両が黄色基調の「ねずみ男列車」でした。今日はお盆の中の土曜日ということもあってか、ほぼ満席でした。

 車内の座席などは特に手は加えられていませんが、天井にはねずみ男がいました[②]。また、車内放送は、通常の自動放送が流れる前に、鬼太郎とねこ娘による放送が流れます。ただ、音質が悪すぎて(スピーカーのせいか?)、何を言っているのか非常に聞き取りにくかったのは内緒です。

 境線は弓ヶ浜半島の先端にある境港を目指していきますが、半島のほぼ中央を走るため、半島を走る路線でありながら、海を見ることができないという路線です。車窓には陸地の風景が広がります[③]。近くには山という山もなく、まさに平野を走っていきます。

 境線の各駅には、通常の駅名のほかに「妖怪駅名」が用意され、妖怪の絵と解説を載せた駅名標が用意されています[④]。この駅名標では、妖怪駅名の方が正規の駅名よりも大きな字で書かれます。

 平野か住宅地かという単調な車窓が続く中、突如として空港が現れました[⑤]。米子市の空の玄関口、米子空港は、境線の沿線にあります。視界に現れたプロペラ機は島嶼部と米子空港とを結ぶ路線の機体か・・・、と思いましたが、車体には「海上保安庁」と書かれていました[⑥]。現在、国内線の定期便は、対羽田空港の路線しかありません(地方空港あるある)。

 米子空港への連絡橋が見えてきて[⑦]、列車は米子空港に到着します[⑧]。米子空港は駅から250mもないような非常に近いところにあり、また、境線の列車も1時間に1〜2本はあるため、あまり知られていないことかもしれませんが、境線は、実は空港アクセスの手段としての実用性を十分に備えている路線です。米子へも30分程度で行けますしね。

 そして列車は終点の境港に到着[⑨]。隣の番線にはキハ121形が停車しており、キハ40形との並びが見られました[⑩]






















 終点の境港にやってきました[①]。境港行きの普通列車から降りてきた人も結構な数でしたが、それ以上に、まぁ駅の周辺にいる観光客の数がなんと多いことか。鳥取砂丘にたくさんの人がいても決して驚かないでしょうが、境線というローカル線の終端にある境港がこれほどにも賑わうものだとは思ってもいませんでした。境港市はゲゲゲの鬼太郎を観光資源にしている街ですが、これはゲゲゲの鬼太郎の吸引力の表れなのか?

 昼食が食べたくなる頃合いの時間帯ですが、駅のすぐ近くに、「大漁丸」なる回転寿司がありました[⑥]。旅行中の食事はコンビニの弁当やおにぎりなどで済ませてしまうことが多いのですが、次の列車まで1時間30分はあること、1人でも入りやすい回転寿司であることなどの状況を踏まえ、ここで昼食を食べることにしました。味はもちろん素晴らしいものでしたが、それ以上に、各ネタの大きさにたまげました[⑦]

 昼食の寿司を食べ終えて、駅すぐ近くの港にやってきました。ここは「弓ヶ浜半島」ですが、その先端は海に突き出しているような状態にはなっておらず、境水道を挟んで、対岸に島根半島が聳えています[⑧]。そんなわけで、境港市は、島根県とのまさに県境のところに位置しています。

 境港からは、隠岐の島へ向かうフェリーが出ています。今、ちょうど隠岐の島からやってきた船便が到着したところのようです[⑨]。物流のトラックが下船してきたのに続いて、一般の乗用車が次々と出てきました[⑩]。神戸ナンバーあり、和泉ナンバーあり、なにわナンバーあり。お盆ということで、車で隠岐の島を巡るような旅行でもしていたのでしょうか(どうも関西から来る人が多いようですね)。

 境線は盲腸線なので、鉄道で米子に帰還するならば、帰りもまた境線に乗車するほかありません。とはいえ、全く同じように引き返すのでは芸がない、というより、単純につまらない。そこで「何か変化をつけることはできないだろうか」と思っていたら、そんな私の願いを叶える列車がありました。8月15日・16日のみに運転される臨時の快速列車、みなとライナー号です[⑬]。こんなものがあると分かれば、それに乗らない手はありませんね。


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