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 臨時寝台特急サンライズ出雲92号がやってきました[①]。285系7両編成という出で立ちは、定期の上りサンライズ出雲号と変わりませんが、このような明るい時間帯に上りサンライズ出雲号が米子駅に現れるのは、米子16:38発の92号ならでは。行き先はもちろん東京ですが[②]、東京行きの夜行列車・サンライズ出雲92号に乗車するとなると、もう旅を終えて帰路についているような感じがしてしまいます。

 今回はノビノビ座席を選択しました。さすがに新見まで寝台車に乗るほどにお金を”余して”はいないので・・・。サンライズ瀬戸・出雲号に乗車するのは、今回が22回目になりますが、実は、これまでの21回は全て寝台の利用で、ノビノビ座席に乗車するのは初めてです。

 ノビノビ座席は絨毯敷きで、指定席特急料金で横になれることが特徴の設備。枕元には隣の区画との仕切りがあり、寝顔を見られないで済むような配慮がなされています[③]。天井にはカーテンレールが準備されており、実際にはカーテンはないものの、計画段階ではカーテンで隣の区画とを仕切ることが予定されていたことが窺い知れます[④]

 枕はありませんが、シーツと掛け布団は用意されています[⑤]。私は、これらの寝具類はもちろん使わず、また触れもしませんでした。今日のサンライズ出雲92号のノビノビ座席は、出雲市〜東京などの長距離では満席となっており、この後、私の区画に岡山や姫路などからの乗車があることが予想されます。米子〜新見間のみなどというふざけたことをする人間がしなければならない配慮です。

 定期の上りサンライズ出雲号は米子19:56発ですが、臨時の92号は16:38発。それゆえ、外はまだまだ明るいです[⑥]。まるで昼行特急に乗っているかのような気分の中、伯耆大山を通過して伯備線へ進入。列車は岸本を米子行きの普通列車との列車交換をしつつ通過します[⑦]

 ところが、その次の伯耆溝口で運転停車となりました[⑧]。定期のサンライズ出雲号なら下り1時間19分、上り1時間23分で走る米子〜新見間を、1時間38分かけて走るという「臨時列車」ですから、定期列車優先による運転停車は多々あるだろうと思っていましたが、早速それがやってきました。

 10分近く経っても対向列車が来ないので、気分転換に同じ5号車の車端部にあるシングル個室を覗きに行ってみました[⑨]。5号車の車端部には、シングル個室が2室ありますが、どちらもまだ空いていました。ノビノビ座席も含め、米子を発車した段階では、列車は全体的に空いていましたから、この先の岡山・姫路・三ノ宮・大阪といった駅からの乗車が多いようです。

 日野川を右手に見つつ、列車は伯備線を進みます[⑩]。大柄な2階建て車両、非振り子車両、そして臨時列車ということもあり、その足取りは結構のんびりとしたものです。列車は黒坂に運転停車し、ここで西出雲行きの普通列車と列車交換します[⑪]

 黒坂を発車し、「寝具類は使っちゃいけないが、横になるだけなら構わないだろう」と、仰向け姿勢から眺めを楽しんでいたら[⑫]、10分もしないうちに、今度は生山に運転停車[⑬]。こちらが先着して待っているところを、特急やくも19号が通過していきました[⑭]

 芸備線との接続駅、備中神代を通過[⑮]。ここではなんと新見行きの普通列車を追い越しました。サンライズ出雲92号を優先するために普通列車が時刻を変更して待っていたというわけではなく、もとより備中神代では12分の停車時間が設けられているようですが、もう間もなく新見につくという段階で、ようやく特急列車らしさを見せてくれました。

 くねった線路の先に小さな駅が見えます[⑯]。その名は、秘境駅・布原。サンライズ出雲92号はこの布原にも運転停車し、時刻表上は米子〜新見間は無停車でありながら、列車交換のために4度も運転停車を行いました。1両分の長さしかないホームには、7両編成の285系は収まるはずもありません。駅周辺は山に囲まれ、川がせせらぎ、民家は数軒あるだけ[⑰]。なんか空しい。

 そして列車は下車駅の新見に到着しました[⑱]。数人の乗車がありましたが、降りた人はもちろん私だけでした。ただし、小耳に挟んでしまった会話によると、どうやら岡山までの乗車という人がいたようです。新見を発ったサンライズ出雲92号の旅路は、これからが本番です[⑳]























 こうして新見駅に降り立ったことで、倉敷〜伯耆大山間を結ぶ伯備線の全線乗車が完了しました。乗り換えとして「三次方面」も示されますが、これは2つ隣の備中神代で分岐する芸備線の列車が乗り入れてくることによるもの[②]。しかし、新見・備中神代〜三次間を直通する列車はなく、芸備線で三次へ向かう場合、必ず途中駅での乗り換えを伴います。また、新見発で三次まで至れる可能性がある列車は、1日2本だけです。

 米子駅でのサンライズ出雲号の宣伝は凄まじいものがありましたが、新見駅にも、サンライズ出雲号の宣伝を行っているコーナーがありました。壁に各設備を写した写真が飾られています[④]。もっとも、これらの写真は最新のものではなく、シングルデラックスの室内写真に、今はなき液晶テレビが写っていました[⑤]。サンライズ出雲号の運転開始当初は、新見は通過となっていましたが、現在は停車駅となっています。

 今日の宿泊地は米子ですが、明日の宿泊地は、実はここ新見です。今日は街並みの様子や雰囲気の予習をしに来た、とでも言えましょうか。新見市は、山に囲まれた僅かな平地に市街地を形成しており、新見駅の背後には山が聳え、駅前からは、向こう側に聳える山が大きく見えます[⑦]

 駅近くを高梁川が横切っています[⑧]。このため、鉄道の橋梁も含め、駅近くには、何本もの橋が架かっています。その高梁川の川面を見てみると、何か細い糸のようなものがゆらゆらと揺らめています[⑨]。川に糸を張る理由とは何なのか?という答えは、このようなものでした[⑩]。ははあ、なるほど。一方、マガモは平気で水面を泳いでいますが、これは良いのでしょうか?[⑪] まあ、これは大きめの魚は食べないのでしょうけど。

 特急やくも23号に乗車して米子へ戻ります[⑬]。新見は米子から約80km離れたところにある街。ホテルに荷物を置いて出かける人はよく見られますが、1泊だけのときの夕方の外出で、ホテルから80kmも離れたところ(それも鳥取→岡山という違う県に行っている)まで行く人は珍しいでしょうね。

 中線にEF64形牽引の貨物列車が停車していました[⑭]。やくも23号を先行させてから出発するのでしょう。





















 特急やくも23号がやってきました[①]。新見〜米子間の営業キロは78.8kmで100km未満であること、乗車日は繁忙期で指定席料金が720円に値上がりしているということを踏まえ、ここではグリーン車に乗車することとしました[②]。新見〜米子間の繁忙期の指定席特急料金は1900円、同グリーン席特急料金は2460円となり、実質+560円でグリーン車に乗れていることになります(普通車指定席の利用を前提とした場合)。

 やくも号のグリーン車といえばパノラマ型グリーン車。これの1番C席は、1人掛けかつ最前列の席であり、もっとも前面展望を楽しめる(2人掛け席では運転士が邪魔になる可能性がある)席であると言えます[③]。切符の購入にあたっては、ここを指定して購入しました。もっとも、19時を過ぎれば、西日本といえども、さすがに暗くなってきています。それゆえ、前面展望は碌に楽しめませんでしたが・・・。

 新見を発車した列車は、2つ隣の備中神代で運転停車をしました[④]。しばらくすると、前方から、上りの特急やくも号がやってきました[⑤]。そのまま通過してしまうのかと思ったら、向こうも備中神代駅構内でいったん停車しました[⑥]

 もとより辺りが暗いうえに、新見〜伯耆大山間は人口希薄地帯なので、「光」はほとんどありません。進行現示の信号機が通行を許可し、曲がりくねっていて見通しの効かない曲線の先を、前照灯がぼんやりと照らします[⑦]。線路が敷かれているので、なんなら無灯火でも走れなくはないわけですが、見通しの効かない暗闇の「足元」だけを照らして前に進みゆく光景は、なかなかのスリルがあります。

 伯耆大山で定期の上りサンライズ出雲号と遭遇[⑧]。臨時のサンライズ出雲92号はとっくに遠くへ行ってしまっていますが、定期便は今ようやく伯耆大山にやってきたところです。備中神代での列車交換と同様に、お互いが駅構内にいったん停車します[⑨]。サンライズ出雲号の車掌は駅のホームに降りていましたが、やくも23号の車掌と手でも振り合ったのでしょうか。

 そして列車は米子に到着[⑩]。米子到着前、グリーン車の乗客は、私を含めて2人でしたが、その2人ともが米子で下車してしまったため、グリーン車は無人となりました。やくも23号の発車を見届け[⑪]、宿へ帰還。今度こそこれで1日が終わります[⑫]


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