◆8月16日◆
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 おはようございます。今日は8月16日、心燃え滾る西日本攻略大作戦の4日目です。今日も1日頑張りましょう。

 今日最初に乗る列車は、米子8:08発の特急スーパーまつかぜ1号です[①]。「どうせなら、サンライズ出雲号のノビノビ座席に乗って、2日連続でサンライズ出雲号に乗ったという面白ネタを作ればいいじゃないか」と考えましたが、同列車は米子9:05発であり、ちょっと遅いです。残念ながら、それではこの後の乗り継ぎが成立しません。

 キハ187系の特急スーパーまつかぜ1号がやってきました[②]。キハ187系には、昨日だけで2回乗車しているので、これで3度目。さすがに飽きが来ます。381系のやくも号が来てくれれば、それの普通車に乗車したというところなんですが(グリーン車は昨日乗りましたね)。

 米子の次の駅、安来に到着[③]。向こうに見えているのは、鳥取行きの特急スーパーまつかぜ2号です。今乗っているスーパーまつかぜ1号は、米子〜出雲市間で安来・松江・玉造温泉・宍道に停車しますが、速達便は、途中松江にのみ停車します。

 「緑」が眩い田園地帯を走り抜けます[④]。そうして右手に現れた「青」は宍道湖だ!と言いたいところですが、これは宍道湖の右側にある中海という、また別の湖です[⑤]。宍道湖は松江駅を出た後に見える湖であることを覚えておかなければなりません。

 8:32、松江に到着[⑥]。スーパーまつかぜ1号の松江到着時刻は、平日は8:35ですが、土曜・休日は8:32に早まります。発車時刻はどちらも8:36であり、今日のような日曜日の場合、発車までしばらく待たされます。その間に、米子行きの普通列車がやってきました[⑦]

 高架駅となっている松江を発車します[⑧]。島根県の県庁所在地ということもあり、人口こそ少ないものの、駅周辺は、さすがに街らしくなっています。その中でも、ひときわ背が高くて目立つこの建物は[⑨]、島根県庁・・・ではありません! では、松江市役所・・・でもありません! 75mの高さがあり、島根県の中で最も高い建築物であるこのビルは、山陰合同銀行の本店ビルです。

 松江を発車して、ついに宍道湖が見えてきました[⑩]。対岸にあるものが霞んで見えてしまうほどの広さがある宍道湖は、一見すると、海と勘違いしてしまいそうです。先ほど目にした中海は、松江市街地を横切る大橋川を介して、この宍道湖と繋がっています。山陰本線の名車窓のひとつは、雄大な日本海ですが、宍道湖も決して見逃すことができない車窓です。

 松江の次は玉造温泉です[⑪]。山陰本線は、ある区間を境に複線と単線に二分されているという路線ではなく、単線を基本としつつ、その中にところどころ複線が混じるという形になっています。玉造温泉から次の来待までは、1駅間だけながら、山陰本線に5つある複線区間のうちのひとつとなっています[⑫]。この複線区間を活かし、列車交換のための運転停車をすることなく、特急やくも10号と走りながらすれ違いました[⑬]

 列車は8:51に宍道に到着しました[⑭]。私以外にも降りる人がいましたが、乗車はなかったようです。
















 宍道駅にやってきました。「宍道」と書いて「しんじ」と読むという読み方は、一見難読のようにも思われますが、宍道湖が全国的に名高いため、これの読み方が分からないという人はあまりいないでしょう。それゆえ、「難読のようで難読ではない」地名と言えるかもしれません。

 駅舎内に木次線の沿線案内がありました[③]。宍道から木次までは比較的本数が多く、1時間あたり2本の列車が設定されている時間帯もありますが、出雲横田から先は、定期列車は1日3往復しか設定されていないというローカル線です。普通列車しか走らない路線ですが、土曜・休日や夏休みなどに運転される臨時列車、奥出雲おろち号が、木次線を走る観光列車として知られています。

 駅前から宍道湖を見ることはできません[⑤]。しかし、駅前から奥へ伸びる通りをまっすぐ進んでいけば、370mほどで宍道湖に辿り着くことができます。もっとも、駅から宍道湖への距離だけで言えば、ひとつ松江寄りの来待駅の方が近いようですが。

 駅舎入り口の屋根下部分に、鳥の巣がありました[⑥]。これが大都市の駅であれば、鳥の糞被害がどうこうという話になるのでしょうが、ここはそういう駅ではありませんから、ある程度寛容になっているというか、巣は作らせたままにしておいているようです。

 さて、これより木次線を攻略していきますが、乗車するのは、臨時の奥出雲おろち号です[⑦]。この列車は、基本的には木次〜備後落合間での運転ですが、休日・8月中の土曜日などは、備後落合行きのみ、始発駅を出雲市とする延長運転が行われます。今日8月15日は日曜日。今日は延長運転の対象日であり、このように、宍道駅から奥出雲おろち号に乗車することができます。





























 DE10形を先頭にやってきた奥出雲おろち号ですが、宍道で進行方向が変わるため、尾灯が点灯しました[①]。奥出雲おろち号は、運転経路の途中にスイッチバック駅を含みますが、客車に運転台を設け、そこから機関車を制御できるようにすることで、機関車を両端に連結するプッシュプル運転や機回しといったことを行わないで運転することができます。宍道からスイッチバック駅の出雲坂根までは、DE10形が最後尾になります。

 奥出雲おろち号の象徴は、なんといっても、1号車のトロッコ車両でしょう。窓がなく、柱もギリギリまで減らされているため、外から自然の風がよく入ると共に、視界の広い車窓が楽しめます[③]。座席は向かい合わせのボックスシート[④]、または外側を向いたベンチシートで[⑤]、いずれも木で作られています。なお、座布団の1枚すらもないので、座り心地に関してはあまり・・・。

 昨今は特急列車や新幹線でさえ自動販売機の撤去が進んでいますが、1号車の車端には、臨時の普通列車でありながら、飲料の自動販売機が設置されていました[⑥]。特に延長運転の場合、乗車時間が長くなることもあるので、「備え」としてありがたい存在です。

 1号車には運転室がありますが、運転士1人だけが入る必要最小限の大きさとしたことで、前面展望ができるスペースが生まれました[⑦]。窓がないトロッコ車両である1号車は、左右の展望にも優れていますが、前(1号車が先頭のとき)・後ろ(1号車が最後尾のとき)の展望にも優れています。普通の車両の先頭車と異なり、「運転室越し」ではなく「窓1枚越し」であるため、迫力も十分です[⑧]

 窓下の台には、奥出雲おろち号のペーパークラフトと[⑨]、乗車記念のスタンプが置かれています[⑩]。また、奥出雲おろち号は、何やら「しまね景観賞」なるものを受賞したらしく、その賞状が壁に掛けられています[⑪]。奥出雲おろち号は、今や木次線になくてはならないものになり、島根県・木次線の観光資源のひとつとしての地位を築きました。

 奥出雲おろち号が緑の中を進みます[⑫]。眼前に迫る草木のそよぎ揺れる音さえもが聞こえてきそうです。右へ左へくねる線路を道しるべに、中国山地の山間部へ向かって、列車は地道に木次線の線路を進んでいきます[⑬]

 9:43、加茂中に到着[⑭]。この駅で、明らかに観光客ではない、地元のお年寄りと思しき方が乗り込んできました。この列車が指定席券が必要な列車であることはご存じなようで、素直に指定席料金520円を支払っていました。列車本数の少ない木次線ですから、奥出雲おろち号も、一般の普通列車の代替として地域住民に利用されているということでしょうか(ただ、この20分前に木次行きの普通列車があるんですけどね?)。

 どこからやってきて、どこへ行くのか。ふと目の前に現れた白鷺に、旅人としての自分の姿を重ねます[⑮]。旅をしていると、その道中で他の旅人と出会うことがありますが、旅をするのは、何も人間だけに限られているのでしょうか。あの白鷺も、何かしらの旅の最中であるはずです。遠くへ行きたい、まだ見ぬ世界を知りたい、という心持ちさえあれば、生き物の種類に関係なく、誰もが旅人になれます。

 出雲市〜木次の延長運転区間のうち、宍道〜木次間では、南宍道・幡屋[⑯]・南大東の3駅は通過となっており、種別は普通列車ですが、事実上の快速運転を行っています。奥出雲おろち号は宍道9:28発でしたが、宍道9:10発の木次行きという普通列車があるため、需要の少ない駅での乗降については、先行する普通列車に対応させようということかもしれません。

 それにしても・・・、なんだか拍子抜けさせられてしまう空きっぷりですね[⑰]。奥出雲おろち号の混雑はどの程度なのだろうかと思い、他の運転日の空席状況を調べてみたところ、25日や20日前の時点で満席になっている場合もあったので、「結構利用されているんだな」と思ったものでしたが、いったいこれは何なのでしょうか。「お盆の8月16日、日曜日、延長運転」ということで、満席で指定席がとれないことさえ覚悟していたんですが・・・。

 2号車は雨の場合などに利用する控車となっていますが、洗面所[⑱]や便所[⑲]はこちらにあります。ある程度の改装はなされていますが、特に鉄道が好きというわけではない観光客も乗車するのですから、もっと綺麗に整備した方が良いですね。

 10:06に木次に到着。ここで奥出雲おろち号の到着を待っていた宍道行きの普通列車と列車交換を行います[⑳]


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