◆8月17日◆
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 まだ夜も明けぬ新見駅にやってきました。今日は新見5:18発の芸備線直通・備後落合行きの快速列車から始まります[①]。私もできればこんな早朝の列車に乗りたくはありませんが、これを逃すと、次は7:18発の東城止まり、備後落合へ行く列車はなんと13:00発まで設定されていません。否が応でも目覚ましに叩き起こさせて5:18発の快速列車に乗る他ないというわけです。

 さて、「備後落合行きの快速列車」と申し上げましたが、5:18発の備後落合行きは、芸備線の備中神代〜三次間における唯一の快速列車(上り・下り通じてこれ1本)という、貴重な存在です[④]。矢神・東城と東城から先の各駅に停車するという停車駅設定です。こんな早起きをさせられましたが、1日に1本しかないような珍しい列車に乗れるのだと思うと、少し機嫌も良くなるというものです。

 どのくらいの人が乗るものだろうか?と思っていましたが、他の人がやってくる気配は一向になし。座席も選び放題です[⑤]。この時期、こういったローカル線には、青春18きっぷを利用する方が多くやってきますが、この列車に乗る場合、「絶対に新見で前泊しなければならない」という条件がついてくるため、ここまで私と同じ行動をとった人物はいないようでした。そう言いつつ、発車直前になって1人の男性が乗ってきたわけですが。

 計2人という乗客数で新見を発った441Dは、まずは矢神までの各駅を通過していきます。芸備線の列車しか停車しない布原駅も通過です[⑥]。布原駅からすれば、せっかくの貴重な1本が快速運転のために通過というのは残念なことでしょう。天気が悪く、かつ暗がりということで、布原駅周辺は、日中よりもまた一段と寂寥感に包まれているように感じられました。

 芸備線と伯備線が接続する駅、備中神代も通過します[⑦]。ホームや待合室の照明は点灯していますが、人の姿はありませんでした。「2つの路線が接続する駅」といっても、主要駅・新見の2つ隣にあることからも分かるように、別段利用客が多いということはなく、それゆえ、快速列車も通過してしまうのでしょう。それに、伯備線米子方面からの列車はまだ来ていないので、乗り換えの需要もありません。

 5:36、矢神に到着しました[⑧]。普通列車であれば、新見〜矢神間は少なくとも23分はかかるので、たしかに速いです。ここで441Dを待っていた東城発新見行きの普通列車と列車交換を行いますが[⑨]、芸備線の備中神代〜備後落合間(岡山支社管轄範囲)で発生する列車交換は、早朝の矢神駅でのこれしかありません。これ以降は、その列車本数の少なさゆえ、列車交換は発生しないようになっています。

 野馳を通過した後、5:46に東城に到着します[⑩]。ここで新見から乗っていた男性が下車し、乗客は私だけになりました[⑪]。途中の東城で降りてしまい、また軽装でしたから、特に鉄道が好きな方ではなかったようです。快速運転はここで終了し、この先は各駅停車となります。

 成羽川に沿うように走る芸備線[⑫]。備後八幡〜内名間では、山と山の間に自ら隙間を作るように流れている成羽川を追従するようになっている区間があり、そこでは、本当に1つの人家も見られません。川を挟んだ反対側には県道が通っていますが、当然、1車線だけのすれ違いができない道路であり、崖下への転落を防ぐためのガードレールが飾りではなく本物に見える恐怖の区間です。

 そのような険しいところを走る芸備線は、落石などとの危険性と戦っています。昨日、落石を防ぐための柵をご覧いただきましたが、落石防止柵が設置されている区間以外でも、落石が発生しないとは言い切れません。そのため、そのような個所では、「落石をその場の目視で発見しても止まれるように」と、15km/hなどの異常に低い速度制限が設定されています[⑬]。線路を疲弊させないようにして保守費用を節約するためとも言われますが。

 6:34に備後落合に到着しました[⑭]。次に乗るべき列車が隣で待ってくれています。
















 引き続き芸備線を進んでいきます。6分で接続する6:40発の三次行きに乗車し、福塩線と接続する塩町を目指します[①]。同じキハ120形ですが、管轄する支社が違うためか、車体に巻いている帯の色が異なっています[②]

 備後落合を発車し、山際を進んでいきます[③]。秋は紅葉が綺麗なようですが、夏なので、ひたすらに緑色の草木が生い茂っているだけです。まあ、これはこれで悪くない眺めかとも思いますが・・・。備後落合から次の比婆山までは5.6kmですが、山際の険しい区間を区間を走るため(JR西日本の名誉のためにこう言っておきましょうかね)、15km/h〜30km/h程度の速度制限が連発し、なんと16分もの所要時間がかかります。

 比婆山あたりまでやってきて、辺りが開けてきました[④]。今日は合計12本の列車に乗車する予定ですが、そのうちの11本は普通列車で、特急・新幹線の類は、1駅間で新幹線に1本乗るのみです。2日目の普通列車地獄に次ぐ辛さがありそうな日ですが、我慢するしかありません。昔なら、急行たいしゃく号・ちどり号などがあって、こういったローカル線でも、普通列車以外の選択肢があったのでしょうが・・・。

 西城川を右に従えたり左に従えたりしながら、三次へ向かって進んでいきます[⑤]。川面を見てみると、いくつもの点が浮かび上がっており、今は雨が降っていることがわかりました[⑥]。落ちてきた雨粒が川面で跳ねる場面は、アメンボが動く場面とつい見間違えますが、これは雨粒でした。

 7:28、備後庄原に到着しました[⑦]。備後落合〜三次間における主要駅で、庄原市の代表駅ですが、三次や広島へ行く場合は、いずれも高速バスの方が便利であるため、この駅を利用する人は、あまり多くありません(1日平均の乗車人員は120人くらい。それでも、芸備線の備中神代〜三次間では、三次に次ぐ利用客数なんですが)。しかし、351Dの乗客はここで多く入れ替わり、特に高校生の乗車が目立ちました。

 備後庄原では列車交換のために3分の停車時間が設定されており、7:31に発車。下車駅の塩町には7:51に到着します。















 三次まで行かず、塩町で列車を乗り換えます。これから乗るのは、7:53発の福塩線・府中行きです[①]。時間帯が時間帯であったためか、車内は高校生で満員となっていたほか、ここ塩町からも、次々と高校生が乗車していきました(でも、まだ夏休み期間中のはずじゃ? 部活か?)。

 高校生が満載だった府中行きですが、2つ隣の吉舎で、その全員が降りていき、乗客は一気に5人程度にまで減ってしまいました。吉舎は、広島県立日彰館高校の最寄り駅であるため、乗っていた高校生らは、そこの生徒だったようです。「地方のローカル線は通学する学生らが主な利用客」とよく言われますが、それがどういうことであるのかがよく分かりました。

 線路の際にまで草木が伸びてきています[②]。もちろん、あまりに伸びすぎてしまいそうなときは、その前に刈り取ってしまうのでしょうが、基本的には放置のようで、走っていると、葉や枝が窓を擦る音が随時聞こえてきます。福塩線の塩町〜府中間(非電化区間)の本数は、定期列車では1日6往復であり、それに「ふさわしい」ような時間が流れます(でも、出雲横田〜備後落合や東城〜備後落合の2倍と考えたら多く感じません?)

 上下に到着しました[③]。書いてある漢字の通り「じょうげ」と読む駅で、「上下列車の交換」が行える駅です。もっとも、実際に列車交換を行ったのは、上下の次に停車する備後矢野でしたが[④]。天気はあまり良くないようですね。

 河佐でそれなりの人が乗ってきて、少し車内が賑やかに。その後、中畑、下河辺と停車して、終点の府中に到着しました[⑥]


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