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 いたくもなかった塩町駅に・・・とまで言ったら言い過ぎかもしれませんが、三次行きの普通列車への乗り換えに失敗し、しばらくの間、塩町駅にいる羽目になってしまいました[①]。誰もいない幅の狭い島式ホームの真ん中で、蛍光灯が白々と光っています[②]。ホームは案外長さがありますが、屋根があるのは、ごく一部分だけです。どこからともなく聞こえてくる虫の鳴き声は不気味そのもの。

 まだかすかに空の明るさが残っていましたが、その僅かな光も、いよいよ暗闇の中に飲み込まれてしまいそうです[③]。三次市の市街地からも外れた、駅員も利用客も見られない、芸備線と福塩線が接続する小さな駅。塩町駅も、もう間もなく見えなくなる雲とともに、いよいよ闇の中へ・・・[④]

 やけに涼しいなと思っていたら、駅にある温度計は、21度という数値を示していました[⑥]。たとえ夜だけであっても、これくらいの温度になってくれれば、本当に過ごしやすいものです。夏に行う旅というのは、とにかく暑さとの戦いになりますからね。

 今でこそ無人駅の塩町駅ですが、1985年11月末までは駅員が配置され、その後2005年3月末までは、簡易委託が続けられました。今なお残る改札口のフネ[⑦]、小奇麗な状態が維持されている窓口付近など[⑧]、駅員・受託者がいたころの面影が残っています。結構広々としている駅舎内、9席分が用意されているベンチなど、無人駅としてはかなり充実しています[⑨]

 塩町駅は三次市の市街地の外にあり、駅周辺は、数軒の民家と事業所があるくらいです[⑪]。しかし、駅前には、建物の灯りはほとんどありませんでした。そこにある自動販売機から放たれる白い光が、まるで位置の低い街灯のように機能しています。

 では、こんなものだから誰も人など来なかったのかというと・・・、実は、パトカーが1台来ました。駅舎には「警察官立寄所」と書かれていましたが、実際に警察官が来たところを見たのは初めてです(こう書いてあるところはよく見かけますが、その場所で実際に見かけたという人は多くないはず)。

 もう既に真っ暗な無人駅。そんな駅の前に男が立っていたら、職務質問のひとつやふたつをされてもしようがないと思っていましたが、特に何も起こることなく、そのパトカーは走り去っていきました。いやあ、お目が高いことで。決して怪しい者ではありませんからね〜。

 今日は色々なことがありましたが・・・、一日を爽やかな気分で締めくくらせてくれるかのように、満天の星空が広がっていました[⑫]。街中においては、このような星空を見ることはできません。灯りの少ない塩町駅前だからこそ見られたものです。今この瞬間、これほどに爽やかな気分をもって、四角いものが見える「下」ではなく、何よりも美しい「上」を見上げている人間は、私以外にはいないと思います。



















 20:18発の三次行きに乗車します。線路を照らす光が徐々に強くなってきて[①]、備後落合からやってきたキハ120形が現れます[②]

 この列車は、芸備線の備後落合〜三次間における、下り三次方面行きの最終列車ですが、乗客がゼロという状態で塩町にやってきました。備後落合〜備後庄原間が無人であるならばまだ分かりますが、比較的利用客の多い備後庄原を通ってきたのにゼロとは・・・[③]。そのようなとき、運転士は、いったい何を思いながら乗務しているのでしょうか? とはいえ、私が乗車したことで、運転士も気が抜けなくなったはず(笑)

 神杉、八次と停車して、終点の三次に到着します[④]。当然、下車したのは私だけでした。

 さて、ホテルに向かおうか・・・と思っていたとき、発車標に「19:33 府中」という表示が出ていることに気が付きました[⑥]。そういえば、塩町19:44発の府中行きという列車がある(これのこと)のに、塩町駅にいるときには、列車がやってくるような音は全く聞こえませんでした。理由は分かりませんが、とにかく、発車が大幅に遅れてしまっているようです。昼間の大雨の影響で未だにダイヤが乱れているのか?

 三次市の玄関口となる三次駅ですが、みどりの窓口の営業は20:30までで、その営業終了に合わせて、駅の改札業務も終了し、事実上の無人駅となります[⑦]。そのため、切符は、365Dの運転士によって回収されました。それなりの駅であるはずなのに、もう改札業務すら終わり?と思いましたが、三次駅の1日平均の乗車人員は600人ちょっとで、利用客の多少だけで言えば、意外と小さな駅ということになります。

 今日は三次グランドホテルに宿泊します[⑨]。「グランド」とつく通り、たしかに立派なホテルではありますが、眼前にパチンコ屋が鎮座し、更に駐車場をそのパチンコ屋と共用しているという、少々謎めいたホテルです。

 部屋は白い壁を基調とした清潔な造り[⑩]。しかし、部屋に消臭スプレーの類がなかったのは残念なことでした。また、このホテルで、これまでに着てきた服などをいったん洗おうと思っていたら、コインランドリーの設備がありませんでした。まあ、それに関しては、事前に有無を調べなかった私が悪いんですが、どうも「かゆいところに手が届かない」ホテルという印象。


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