ここは三江線・所木駅[①]。三次駅近くのホテルに泊まっていたはずなのに、なぜいきなり場所が飛んで所木なのか?
三江線の秘境駅として名高いもののひとつは、長谷駅でしょう。ただでさえ本数が少ない三江線にありながら、下りは3/5が通過、上りは2/5が通過してしまうという駅で、周囲の民家は僅か、そして眼前に江の川を控えるという立地がもたらす秘境性も相まって、鉄道ファンの間では、その名がよく知られている駅です。せっかくこの辺りまで来たわけですから、是非長谷駅へ行ってみたいと思っていました。
しかし、停車する列車の本数や時刻の都合上、三次〜長谷〜江津方面や、三次〜長谷〜三次という移動をすることは不可能です。そのため、予めタクシーを手配し、朝にホテルからタクシーで長谷駅へ向かい、長谷〜三次〜江津方面という移動をすることにしました。
ところが、長谷駅へ向かう道路が途中で寸断(道路崩壊)していて、長谷駅へ辿り着くことができませんでした。運転手いわく「回り道がある」とのことで、回り道を通って向かってみましたが、「長谷駅だと思っていたところが船佐駅だった」というよく分からない事態が発生。結局、ふとそこに所木駅があったため、そこで降ろしてもらい、所木から列車に乗ることとしました。料金は2400円程度と計算していたところが結局5000円になる始末。
もっとも、所木駅もなかなか味のある駅でした。緑が豊かで[②]、ホーム上に「立入禁止」と書かれて立つ柵は、現在は編成長の短い列車しか来ないことを伝えています[③]。1面1線で屋根もないホームは、質実剛健、「列車を乗り降りするところ」という駅の本質だけを極めます[④]。
タクシーで駅に着いてから3分程度で列車がやってきました[⑤]。所木駅からは、私と女子高生の計2人が乗車しました。車内はお年寄りを中心に比較的乗客数が多く、「三江線」というところの印象から想像されるものとは異なっていました。
江の川と三江線は、切っても切れない関係にあります[⑥]。起点の江津から終点の三次まで、江の川に沿って右へ左へ曲がったり、あるいは橋で一気に対岸へ渡ったり。中国地方最大の川である江の川は、間違いなく、三江線の名車窓と言うことができましょう。
船佐駅の駅舎は、ホームとは繋がっておらず、全く違うところに単独で建てられています[⑦]。これでは、駅舎からホームへ向かう過程で雨に濡れるなど、雨除けにすらならないような気がします。また、自動券売機や乗車駅証明書の発行機もないので、「駅舎」ならではの機能もないようで・・・。
堰堤を越えて泡を立てる江の川[⑧]。タクシーの運転手によると、昨日は、三次の方は別に大雨にはならなかったとのことですが、川の流れは豪快です。離れたところから見ると、その白い泡は、まるで小麦粉をまぶしたかのようなきめ細やかなものに見え、美しく見えます。
9:06、噂の秘境駅・長谷に到着しました[⑨]。なるほど、たしかに風情のある駅ですね。しかし、負け惜しみを言うつもりではありませんが、正直、思っていたほど凄い駅ではなかったように思います。写真の左後方に屎尿処理場の建物が見えるなど、「人の気配は全くなし」というような雰囲気でもありませんでしたしね。
なお、長谷駅の上り三次方面は、この9:06発が最終列車です。残りの3本は全て通過!
まもなく終点の三次です[⑫]。2つの路線が分岐する駅では、しばらくの間、両線が並走することもありますが、三江線と芸備線はすぐに分かれるようになっています。写真奥の方でホテルアルファーワン三次へ向かって右へ曲がっていくのが三江線、左へ進んでいくのが芸備線です。
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