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 山陰本線の主要駅、江津にやってきました。昨日通った広島は、瀬戸内海に面した街ですが、ここ江津は、日本海に面した街です。まさに「下から上へ」、それも普通列車だけでやってきたのだと思うと、なかなか感慨深いものがあります。

 「松江・京都方面」と書かれた案内表示がありました[①]。かつては、浜田始発の寝台特急出雲号が江津を通り、山陰本線だけで京都まで走っていましたが、今やそのような列車はありません。山陰本線は京都起点なので、別に間違いではありませんが、京都へ行く人も、まさか山陰本線だけ通って行くとは思えません。現代の列車運行体系に合わせて、松江・出雲市・鳥取方面などとする方が、よほど現実に即しています。

 江津駅は、発車標、売店、自動販売機、みどりの窓口、自動券売機などが揃っており[③] [④]、久しぶりに「大きな駅に来た」という感じがします。幹線の路線が通り、特急列車も停車しますしね。駅前を見てみても、タクシーが常駐し、送迎の自家用車が来たり行ったりしています[⑤]。都会とまでは言えませんが、それでも、久々に「賑わい」というものを感じました。

 江津からは、15:21発の快速アクアライナー号に乗車します[⑦]。米子〜浜田・益田間を結ぶ快速列車で、特急列車ほどの速達性はありませんが、比較的長い距離を直通で運転し、しかもキハ126系が専属で充てられるということもあり、なかなか便利な列車です。















 快速アクアライナー号が江津駅2番線に到着しました[①]。しかし、この列車は、すぐには発車しません。15:14着の15:21発と、7分の停車時間が設けられています。それは、新山口から来た特急スーパーおき4号と列車交換をするためでした[②]

 江津を出ると、ほどなくして、日本海が見えてきました[③]。ただし、この程度で感動したり、絶景だと評したりしてはいけません。山陰本線を更に西へ進めば、より日本海が近く、海面に隆起した岩なども見える区間があります。今はあくまでも「日本海が見えている」という程度のこと。鬱陶しい電線や電柱、道路などがない、「窓越しに果てしなく広がる日本海」という真の絶景を、この2つ後に乗る列車でご覧にいれましょう。

 敬川を通過します[④]。乗車区間は江津〜波子間のみで、途中の駅は都野津と敬川の2つしかありませんが、敬川は通過してくれました。せっかく快速列車に乗ったわけですから、1つくらいは、駅を通過するところを見せてもらいたいものですよね。

 波子に到着しました[⑤]。このように快速列車が停車していること、そして一部の特急列車も停車することからも分かるように、ここは別に秘境駅というわけではありません。むしろ、山陰本線内においては、主要駅のひとつとして数えて良いでしょう(JTB時刻表だと太字です)。そのため、下車したのは私だけということはなく、他にも何人かの下車がありました。






















 波子にやってきました。「波」という漢字が入っているのは、日本海側を通る山陰本線らしくて、良い駅名ですね[②]。ホームから見えるところに、波子駅の近くにある水族館・アクアスの看板がありましたが[③]、別にここに行くために下車したわけではありません。残念ながら。ここで下車したのは、この後乗車する予定となっている、特急スーパーおき5号との時間調整を行うためです。

 駅舎入り口の左脇に、「波子駅会館」と書いてあります[④]。写真左側に、カーテンが閉じられている窓がありますが、そこの部分が、市民などが集う集会場(会館)として使われているのでしょうか。もっとも、今日は開けられていないようで、お年寄りの方々は、波子駅の待合室を使って談議に花を咲かせていました。なお、「会館」ということで、これは江津市が直々に設置したものとなっており、設置と管理に関する条例が制定されています。

 駅の近くには、一軒家の住宅街が広がっています[⑤]。この辺りの家は、瓦葺の屋根を持つ古くからの家が多いようです。瓦の色は、黒もそれなりに散見されますが、割合として高いのは、やはり山陰地方特有の赤褐色の瓦を持った家です[⑥]。このような赤褐色の瓦は、石州瓦と呼ばれる種類のもので、特に江津市の都野津地区で生産が盛んとのこと。都野津は2つ隣の駅ですから、まさにお膝元ですね。

 次の列車まで少し時間があるので、海の近くまでやってきました[⑦]。写真の方向には誰もいませんが、左の方向は波子海水浴場として整備されており、今日も多くの海水浴客が来ていました。遠地からも行きたいと思う人がいるほどに人気の海水浴場であるのか、かつては、ここで遊ぶ海水浴客のために、広島・三次〜波子間に、波子ビーチ号という臨時快速列車が運転されたこともありました。

 ここの砂浜に来て驚いたのは、その砂の上質さ。この地の砂は、ひとつひとつの粒が小さい、非常にきめ細やかなものとなっており[⑧]、砂浜の上を歩くと、まるでスポンジの上を歩いているかのような柔らかさが足に伝わってきました。素足で歩いても痛みを感じにくそうな砂質です。

 今日の日本海は落ち着いていて、波も穏やかです[⑨]。波が押し寄せてきたり、引いたりしますが、砂浜まで上ってきても、それは「砂浜の上を滑るような」という程度のもので、「波が襲ってくるような」ものではありませんでした。ちょっと曇っているかもしれませんが、天気もさほど悪くありませんし、海水浴には良い日かもしれません。

 波が見せる多彩な表情。ある程度の形を保って押し寄せてきた波が、今まさに壊れてしまうというその瞬間[⑩]。沖の方からやってきた波が、まるで幕を張っているかのように膨らんでいる様子[⑪]。押してくる波と引いてくる波がちょうどぶつかり合い、砂をも巻き込んで、茶色の泡と白色の泡がせめぎ合う刹那[⑫]。波が私の何を刺激したのか分かりませんが、結局、12分以上にもわたって「波だけ」をひたすらに撮影し続けました。


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