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 長門市駅のホームには、「通商人の方へ」と書かれた看板があります[①]。何やら見慣れない掲示ですが、なぜこのようなものがあるのか。その理由を解明するためには、この駅で分岐している、山陰本線の仙崎支線について知る必要があります。

 仙崎は漁業が盛んな地で、古くから漁港が栄えていました。その水揚げ量は多く、海産物を取り扱う行商人たちは、その持ち運びに、仙崎支線を利用していました。そのようなことが行われていた時代は、仙崎支線も行商人の利用を意識したダイヤとなっており、例えば1964年10月の時刻表では、仙崎の初発列車は、早朝4:02発でした。また、1日の本数も、今よりもずっと多いものでした。

 つまり、長門市駅のホームには、海産物を携えた行商人たちが、数多く降り立っていたというわけです。ホームでの売買をするな、荷物は白線に沿って置けという掲示があるのは、まさにその古き時代の名残というわけです。

 「旅をするなら新幹線!」という掲示が駅舎の外側に貼り出されていました[③]。0系からN700系までが一堂に会している写真なので、2007年7月ごろ〜2008年12月ごろに撮影したと考えるのが自然でしょうか。それは、言い換えるならば、500系が東海道・山陽新幹線のエースから徐々に都落ちを始めていたころでもあります。それでも写真の真ん中に置いたのは、JR西日本にとっては、やはり500系が自社の象徴になるからなのでしょうね。

 5年前にやってきたときは、山陰本線の仙崎支線を仙崎から乗車するために、駅前を横に伸びるこの道を歩いていきました[⑤]。仙崎駅までの道のりは約2.2kmでしたが、何せ真夏の8月でしたから、なかなかの苦行であったことは覚えています。

 今日は12:57発の益田行き(時刻表では東萩行き)という臨時列車が運転される日のようです[⑥]。土曜・休日や夏休み期間中などが運転日として設定されています。山陰本線の益田〜長門市間は、県境越えの区間であるために利用客が少なく、2012年3月のダイヤ改正では、この区間での減便が行われました。それでも、利用客が多くなる時期には、このような臨時列車を設定して需要に応えるようにしています。

 私が向かうのは、益田方面ではなく、下関方面です。10:04の下関行きに乗車し、下関を目指します[⑦]




















 首都圏色のキハ47形2両編成が待っていました[①]。いつも通り、顔がきっちりと写った写真を撮りたいところでしたが・・・、ある事情により、「かなり引いて」「しかも縦撮り」という、なんだか苦しい撮り方をせざるを得ませんでした[②]。それは、ホーム足元に「立入禁止」と黄色の文字でデカデカと書かれていたから[③]。別にホームが陥没しているとかいうことはなかったですし、なぜ立ち入りを禁じているのか、よく分かりませんでしたが・・・。

 長門市を出て、さっそく海に近い区間を走ります[④]。どんなに綺麗な海でも、曇天のときは、あまり良い眺めになりません。なお、車内は比較的空いていましたが、皆この路線の「事情」を知っているのか、数少ない乗客たちは、海側のクロスシートに集中していました。

 長門粟野で列車交換を行います[⑤]。山陰本線西部を走るキハ40系というと、やはり、この黄+灰+白の塗装が思い浮かびます。現在、JR西日本では、地方を走る車両の単色化を進めていますが、気動車の色に「首都圏色」が採用されたことは、少しばかりの朗報でしたね。国鉄時代にも使われていた人で、人によっては、懐かしさも感じるでしょうからね。「深緑の113系」のような妙ちきりんなものにならなくて良かったです。

 難読駅として知られる特牛駅[⑥]。「とっこい」であれば、「特」を「とく」と読める以上、まだ分からなくもないような気がしますが、これを「こっとい」と読むというのは、知っていない限りは、ほぼ不可能と言っても良いでしょう。

 湯玉でみすゞ潮彩号と遭遇しました[⑦]。2005年3月に特急いそかぜ号が廃止されて以降、山陰本線の益田以西は、全てが普通列車という地味な区間になりましたが、2007年7月に観光列車・みすゞ潮彩号の運転が開始され、少しは地味さが薄らいだでしょうか。山陰本線内は各駅に停車し、自由席も連結しているため、普通列車の代わりとしても利用することができます。

 湯玉〜小串間で、列車は、一段と日本海に近いところを走ります[⑧]。晴れていないのが本当に憎いですが、もし晴天であれば、本当に素晴らしい眺めが見られます(5年前にみすゞ潮彩号に乗って経験済み)。なお、みすゞ潮彩号では、湯玉〜小串間など、日本海の絶景が見られる区間では、その眺めをじっくりと味わってもらうべく、しばらくの間観光停車を行います。

 11:19、列車は小串に到着しました[⑩]。11:33の発車まで14分停車し、小串から先は、列車番号も変わります。14分という長めの停車時間なので、駅のホームに降りてみるだけでなく、いったん改札口の外にも出てみることにしました。
















 小串駅は2面3線の構造となっています[①]。駅舎に接する単式ホームともう1つの島式ホームは、跨線橋で結ばれます。小串から先は、下関方面への通勤・通学需要が増大するためか、毎時1〜3本程度の列車が運転されるようになります。

 業務委託駅ですが、改札や切符の発券を行う駅員が配置されています。そのため、また1つ途中下車印を稼ぐことができました。自動券売機の上にある運賃表を見てみると、表にある駅の半分以上は九州の路線となっていて、ついに九州上陸が近づいてきたということを感じます[③]。小串の11個隣の駅は門司で、そこはもう九州の大地です。

 駅舎は青い屋根をした木造の駅舎です[④]。ごくごく普通の草木が生えている中、入り口の脇に、何やら特徴的な葉を持つ木が聳えていましたが、これはヤシの木でしょうか?[⑤] 九州、特に宮崎ではしばしば見かけますが、本州ではあまり見かけないものですよね。

 小串駅は、海から200mもないというところに位置しており、駅前からは、かすかに海が見えました[⑦]。14分しかないので、海の近くまで行くことはしませんでしたが、小串駅でしばらく待ち時間がある場合は、海の方まで出向き、視界いっぱいに広がる日本海を味わってみてはいかがでしょうか。


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