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 小倉からさらに博多へ移動します。博多までの移動手段の選択肢としては、新幹線または在来線特急が挙がってきますが、ここでは、在来線特急のソニック30号を選択しました[①]。鹿児島本線の小倉〜博多間は既に乗車済みですが、そのときは夜であったため、車窓という車窓は見られませんでした。そのリベンジを果たすべく、この明るい昼間に、同区間を鹿児島本線で移動しようというわけです。

 車両は883系でした[②]。自由席で十分と考えていたため、自由席特急券を携え、5号車に乗車しましたが、この5号車は、混雑緩和のために後年になって増備された車両で、885系に近い車体を内装を持つ車両でした[③]。丸みを帯びた荷物棚の覆い、いくつものスポットライトで照らすという方法の照明、2つの部品を繋げたかのような形状をしている座席の背もたれなどは、885系譲りのものです。

 なお、小倉〜博多間の自由席特急料金は、本来であれば820円になるところですが、少しでも新幹線に対抗しようという意識があるのか、特定料金として510円になっています。同区間の新幹線の自由席特急料金は、隣同士の駅ということもあり、これまた特定料金として970円という割安な価格が設定されています。それでいて所要時間17分前後という驚異的な速さを誇りますから、在来線の特急は、普通に戦ったのでは勝てません。

 811系とすれ違います[④]。キハ40系などはよその地域でも見られますが、九州島内は基本的に交流電化ということもあり、特に電車は、「九州でしか見られない」というものが非常に多いです。811系はその一例で、こうして遭遇すると、「ああ、九州に来たんだな」と。

 小倉〜黒崎間は客貨分離となっており、旅客線と貨物線が分けられています。両線が並行する場所では、あたかも複々線になっているかのような光景が展開されます[⑤]。この写真では、線路の向こうに、さらに黒崎バイパスが通っています。

 最後の途中停車駅は、14:21着の香椎です[⑥]。雲行きが怪しいように見えていたので、もしかしたらと思ってはいましたが、雨が降ってきてしまいました。大きなマンションとNTTドコモ九州香椎ビルの存在が特徴的な千早[⑦]からは、終点の博多まで高架区間が続くようになり、福岡市の中心部が近づいてきていることを感じるようになります。





























 いきなり違う列車の車内に場所が飛んでいますが、ここは特急みどり15号の5号車A室です[①]。JR九州でグリーン車を連結する特急型車両、783系・787系・883系・885系のうち、783系のグリーン車が気に入っているので、「せっかく783系に乗れる機会なんだから」と、ここではグリーン車を選択しました。安定感のありそうな大きな座席[②]−単純な理由ですが、783系のグリーン車を選びたくなる理由は、これです。

 南福岡駅は、そのすぐ横に南福岡車両区を置いており、同駅を通過する際には、そこに留置されている車両の姿が少しだけ見えます[④]。ただし、駅自体には、特急列車は停車しません。博多から12分で、最初の停車駅、二日市に到着します[⑤]

 続いて鳥栖に停車します[⑥]。ここから先は長崎本線に入っていきます。みどり15号は博多始発の特急ですが、早くも鳥栖でグリーン車から降りる人がいて、「さすがにここまでのことはできない」と思わされました。博多〜鳥栖間という短距離で特急を使うならば、私は自由席を利用します。

 新鳥栖あたりまでは、沿線に住宅や商業施設がよく見られますが、新鳥栖を過ぎると、このような田園風景が広がる時間が多くなります[⑦]。福岡の市街地はとうに脱して、列車は佐賀県内に入っています。佐賀の3つ隣の久保田では、山本へ向かう唐津線が分岐[⑧]。単線非電化で、架線柱などがないため、この写真を見てみても、そこに線路が敷設されていことに気が付きにくいというか、周りの風景にかなり溶け込んでいます。

 15:25、肥前山口に到着します[⑨]。上りの885系かもめ号と遭遇したこの駅からは、3つ目の路線、佐世保線に入っていきます。また、博多から続いてきた複線区間は肥前山口で終了し、ここから先は、単線区間となっていきます[⑩]。最高運転速度も130km/hから95km/hに低下し、「幹線の主要特急」から「亜幹線へ足を延ばす特急」へと一段位が下がったような感じがあります。

 北方に運転停車[⑪]。本来なら通過駅ですが、上りの特急列車が遅れていたために、いったん停車することとなりました。時刻通りの運転であったならば、上りの特急列車が先着し、こちらが通過するのを待つようです。

 三間坂駅を通過[⑫]。「みまさか」を目にして真っ先に思い浮かんだのが、岡山県北部の駅名によく出てくる「美作」。美作滝尾、美作加茂など、今回の旅の中でも、「美作」がつく駅に降りたり、通ったりしました。もちろん、三間坂と美作の間には、何の関係もないわけですが、遠く離れた2つの「みまさか」を繋ぐような移動をしてきたのかと思うと、まるでそういう旅程を組まされることが予定されていたかのようで、一種の運命を感じます。

 今度は上有田で運転停車[⑬]。これはもともと織り込み済みの運転停車のようですが、相手が普通列車とは・・・。なお、上有田駅は、有田陶器市が実施される期間のみ、特急列車が営業停車を行います。地元の人の中には、「もういっそ通年で営業停車してくれ」と思う人もいるかも。

 有田で分岐していく路線は、JR線ではなく、松浦鉄道西九州線です[⑭]。有田を出ると、早岐駅でのハウステンボス号との解結作業の準備をするために、ハウステンボス号とみどり号の連結部分へ向かう扉が閉鎖されます[⑮]。なお、すんなりと早岐には着かず、三河内でまた運転停車[⑯]

 早岐で5分停車する間に、ハウステンボス号との解結作業を完了。みどり号は終点の早岐を目指して進んでいきますが、早岐〜佐世保間は、進行方向が変わります[⑰]。「線形上、やむを得ずスイッチバックをする」というわけではないにも関わらず、同一の路線の進行方向が変わるというのは、早岐以外では、石北本線の遠軽駅などが該当します。

 定刻から3分遅れて、列車は終点の佐世保に到着しました[⑱]。先頭車化改造で生まれた貫通型の先頭車両は、まあ間抜けな面構え・・・[⑲]





















 佐世保線の終着、佐世保駅。線路はそのまま伸び続けて松浦鉄道の西九州線となっており、1日1往復のみながら、佐世保駅をまたいでの直通運転も行われていますが、駅名標の隣の駅は、JR佐世保線のひとつ手前の駅、「ひう(日宇)」のみが書かれていました[①]

 佐世保駅は、2001年に高架化・新駅舎の利用が開始されました。敷設された線路のスラブ軌道が美しい(?)ホーム[②]、明るくて広々としている乗り換え通路[③]、横に細長い照明と中央へ向かって僅かに窪んだ天井が特徴的な駅舎内[④]など、清潔さと設計上の工夫を感じることができる駅となっています。駅舎も、出入り口上部とホーム上を覆うように広がる膜(?)が目を惹く、存在感のあるものとなっています[⑤]

 駅前には、ヤシの木が生えていました[⑥]。あれは6年も前のこと、私は、人生初の九州上陸を果たしました。小倉駅から夜行特急のドリームにちりん号に乗り、宮崎で下車した後、駅前に生えていたヤシの木に驚いた覚えがあります。「日本にもヤシの木があるのか(ただの無知)」、と。それ以来、私の中では、ヤシの木は、九州の象徴となっています。

 佐世保市は人口約25万人強の街で、長崎県第2位の都市です。立ち並ぶマンションとその奥に控える住宅街[⑦]、行き交う車と人の多さ[⑧]は、特例市に指定されるだけの街であることを如実に表しています。佐世保駅の場合、街は東口側に集中して形成されているため、人や車、建物の数、それに賑わいは、そのほとんどが東口側に集中しています。

 市街地への玄関口である東口側は、まさに街となっていますが、その反対側のみなと口側は、名前の通り、すぐそこが港となっています[⑨]。こちら側には、街というだけの街はないので、東口側と比べると、幾分のどかな雰囲気があります。横断歩道を2つ渡ってしまえば、そこはもう海が広がる佐世保港です[⑩] [⑪]。佐世保港では、西九州の各離島へ向かうフェリーが発着しています。

 みなと口側には、西九州自動車道の高架道路が走っています[⑫]。地上にいる人間からすれば、ややもすれば景観の邪魔だという話になりかねませんが、実際にこの道路を車で走ってみると、佐世保駅と佐世保の街並みを横目に見ながら走ることができるようです。


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