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 福知山発篠山口行きの普通列車は、223系5500番代による運転でした[①]。JR西日本というと、新型車両の導入が遅く、国鉄型車両が多く残っているなどと後ろ指を指されることもありますが、この223系5500番代、山陰本線のキハ126系、姫新線のキハ127系、そして最近では広島地区の227系など、なんだかんだ言いつつも、じわりじわりと新しい車両を増やしてきているように思います。

 クモハ+クハの2両という最低限度の編成が組まれ、最高速度も120km/hに設定されるなど、東海道・山陽本線の新快速でも運用される1000番代や2000番代といった他番代と比べると、いささか地味な印象は否めませんが、転換式クロスシートを備えることに始まるその快適性は、223系の全ての番代に共通しているものを授かっています[②]

 列車は福知山を発車して、まずは山陰本線と別れます[③]。福知山線の線路は、右へ向かって大きな弧を描いていきますが、これが結構急曲線なようで、列車は右に大きく傾きます[④]

 福知山線は尼崎〜福知山間106.5kmを結ぶ路線ですが、この取り立てて長いというわけでもない路線距離の中に、超高頻度運転の大阪口という「都会の路線」の一面、1時間に1本の普通列車がある程度の福知山口という「田舎の路線」の2つの面を持ち合わせています。線路に関しても、尼崎〜篠山口間は複線ですが、篠山口〜福知山間は単線となっており、この線路が右へ左へと不安定に進路を変え続けます[⑤]

 黒井では4分の停車時間がとられています。黒井停車中に、城崎温泉行きの特急こうのとり5号が通過していきます[⑥]。これから向かう先は谷川ですが、こうのとり号の中には、谷川に停車する便もあります。この時間帯に谷川に停車する上りのこうのとり号があれば、それに乗って谷川へ行くのもやぶさかではありませんでしたが、そのような列車はありませんでした。

 11:46、列車は谷川に到着しました[⑦]。2分停車したのち、篠山口へ向けて出発していきます。





















 さて、谷川駅です。福知山線と加古川線が接続する駅ですが、主要駅、あるいはターミナル駅といった装いではなく、駅のすぐ裏手に田んぼと山があります[②]。また、両線間の乗り継ぎは特に考慮されておらず、次に乗る12:10発の加古川線西脇市行きまで、24分という眺めの待ち時間があります(まあ、私としては、2分や3分での乗り換えより、このようにある程度の待ち時間がある方が嬉しいんですが)。

 谷川駅周辺は閑散としており、駅の利用客も、それほど多くはありません。待合室には誰もおらず[④]、飲料の自動販売機だけが元気に稼働していましたが、キオスクに下ろされたシャッターには、「谷川駅売店 急募」との掲示がありました[⑤]。前任者は撤退したのでしょうが、経営が成り立つほどの利用客がいないんだろうな、という察しが簡単につくとともに、それに納得してしまいます。

 駅は山に囲まれており[⑦]、大きな商業施設などもありません[⑧]。2つの路線が接続するということで、鉄道の営業上は重要な駅ですが、多くの利用客が集まる駅とは言えません。しかし、それでも、谷川駅の利用客を増やすことで、福知山線の複線化をさせようという運動があるようで、駅前には、福知山線の複線化を所望する看板が立てられています[⑨]

 これから加古川線を進んでいきます。加古川と谷川を結ぶ路線で、もともとは非電化の路線でしたが、阪神淡路大震災で迂回路として活用され、「緊急時の迂回路としての価値」が見出されたことで、2004年に電化されました。と言っても、その後はもちろん普通のローカル線としてしか機能していない(これはもちろん良いこと)ので、至って地味なローカル線としての日々が流れています。運賃表の灰色は、その地味さの表れか?[⑩]

 加古川線は専用ホームからの発車です[⑪]。1両編成の125系が停車している姿が見えます。谷川駅は、幹線の福知山線でさえ、決して列車の本数が多いとは言えませんが、加古川線は、福知山線以上に列車の本数が少ないです[⑫]。1〜3時間に1本程度という本数設定で、土曜・休日には6:13発の列車が運休となり、更に本数が減るようです。



















 西脇市行きの普通列車に乗車し、西脇市を目指します[①]。加古川12:42発の谷川行きを除き、完全に加古川〜厄神・粟生・西脇市、西脇市〜谷川で分断されており、全線を乗り通す場合は、西脇市での乗り換えが必要となります。

 谷川〜西脇市間では、川と山の端に挟まれている場所など、狭隘な箇所を線路が通っている区間を中心に、25km/hなどという極端に低い制限速度がかかっている区間があります[③]。当然、これは雨や地震などによる緊急的なものではなく、雲ひとつない快晴でさえ行われる、恒常的な速度制限です[④]。正直、悪天候でもないのに異様に遅く走られると、内心イライラしないわけでもありません・・・。

 12:17、船町口に到着[⑤]。ここに限らず、西脇市までの各駅は、乗る人も降りる人も非常に少なく、駅によっては、乗り降りが全くないまま発車しました。この列車の中にも、鉄道ファンと思しき人がいましたが、谷川〜西脇市間の途中駅で乗り降りする人は、いかにも地元の人という装いでした。

 25km/hなどという速度制限を食らう狭隘な区間もある一方、本黒田〜黒田庄間には、トップスピードでの走りを期待したくなるような、長さ約1.5kmの直線区間があります[⑥]。もっとも、加古川線は、全線を通して最高速度85km/hとなっており、いくら全力を出したところで、100km/hにも満たないような速さにしかなりません。ただし、125系自体は、120km/hを出せるだけの性能があります。

 12:38、終点の西脇市に到着[⑦]。ここで改札を出る人は少なく、ほとんどの人は、接続している加古川行きの普通列車に乗り換えていきました。125系はバリアフリーを念頭に置いた床の低い車両となっており、ホームと床の間には、高さの差がほとんどありません[⑧]

 さて、私も加古川行きの普通列車に乗り換えましょうか。125系から103系へという「退化」ですが、編成の長さは2両になります[⑩]


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