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 先ほどのページにおいて、西戸崎駅は単式1面1線のホームが2つあるという構造であることをお伝えしましたが、これから乗車する14:52発の宇美行きは、駅舎に接した側のホームに入線してきました[①]。これにより、構内踏切を渡ることなく乗り降りすることができます。

 寒冷地を走る車両ではないので、きちんと冷房装置が取り付けられていますが、今でも扇風機が残存しています[②]。それだけでなく、羽のカバーを見てみると、そこにはJNRマークがありました。同じJNRマークでも、例えば485系などの運転室下に貼り付けられていたものは、JR化後、順次取り外されていきましたが、扇風機についているものについては、そのままにされていることが珍しくないようです。

 海の中道を通る香椎線ですが、海をはっきりと見ることができる区間は、案外限られているものです。西戸崎駅から800mほどの地点で最も海に接近しますが[③]、そこを通り過ぎると、その後、海を見られる区間は二度とやってきません。

 さて、この759Dの車内で旅程表を見ていたとき、私は、ある違和感を覚えずにはいられませんでした。旅程表に書いてある通りに列車を乗り継いでいくと、どうも未乗車のまま放置される区間ができてしまうような気がしていたのです。そんな分かりやすい問題点を修正しないままに旅に出ることがあるだろうか? とはいえ、もし未乗車の区間を残したまま帰路に着いたら、泣くに泣けません。

 時刻表の路線図と旅程表を照らし合わせた結果・・・、もし旅程表に従ってしまうと、篠栗線の長者原〜桂川間が未乗車のままになってしまうことが判明しました。正直なところ、そんな馬鹿な話があるかと思いましたが、これは紛れもない事実です。

 JR九州の路線を全て乗り尽くすつもりで旅程を練っていたのに、なぜか未乗車の区間を残す旅程を作成していた。それ自体もおかしな話ですが、出発前に時刻などの打ち間違いがないかなどの点検をきちんとしていたにも関わらず、致命的な問題点に気が付くことができませんでした。さらに、旅はもう10日目で、旅程表を見る機会はここまでにも何度もあったというのに、なお気が付くことがなかった。もう間抜けの極みです。

 結局、759Dの車内で、旅程の練り直しを緊急的に実行。篠栗線の長者原〜桂川間にも乗車する新たな旅程を作り上げました。

 土井駅の上を山陽新幹線の高架橋が通っています[④]。香椎線のホームのまさに真上を通っているので、仮に新幹線の駅を建設したら、香椎線との乗り換えが可能な駅となります。博多〜小倉間は56kmほどの駅間距離があるにも関わらず、駅は一切設置されていませんから、ここはひとつ、土井駅に山陽新幹線のホームを設けてみてはいかがでしょうか? 嘘です。なお、博多〜土井間は、約6.9kmほどの距離しかないようです。

 15:33、列車は長者原に到着しました[⑤]。長者原で下車するという点は、修正前の旅程と変わっていません。






















 ここまでのページで既にご紹介している通り、長者原駅は、香椎線と篠栗線が接続する駅で、前者の線路は高架に、後者の線路は地上にあり、両線は立体交差をすることによって接続しています[②] [③]

 しかし、ここに長者原駅ができたのは、JR化後の1988年3月のことです。それまでは、香椎線と篠栗線が交差する地でありながら、駅は設けられていませんでした。当然、そこに駅を造ってほしいという要望が地元から出ていたわけですが、国鉄時代には駅の設置は実現しませんでした。なお、この交差点は隣の原町駅からそう遠くないところであったため、長者原〜原町間の駅間距離は、僅か700mしかありません。

 篠栗線のホームを跨ぐ橋上駅舎を持っており[④]、高架となっている香椎線ホームへは、橋上の改札口から水平方向の移動で行き来することもできます。もとより住宅街となっていたところに、後年になって設置された駅であるため、通りなどからやや離れたところにあるとともに、駅を出たすぐそこがもう住宅街となっています[⑤] [⑦]

 香椎線の線路は、間違いなく高架(築堤)線です。では、篠栗線の線路はどうでしょうか。香椎線が上を通っている以上、当然、地上にあるということになるわけですが、その線路は、なぜか少し嵩上げされたところに敷設されていました[⑧]。線路がやや高いところにあるのか、それとも駅前のロータリーがやや低いところにあるのか。築堤などではなく、コンクリートで固めて高架線っぽくなっているのが、また興味をそそります。

 修正前の旅程では、長者原で下車した後、長者原<篠栗・鹿児島>博多<鹿児島>原田<筑豊>桂川・直方方面〜と移動する予定でした。そうすると、どうなるでしょうか。篠栗線の長者原〜桂川間を乗車することができずに終わってしまいます[⑨]。そんなことがあってはならないので、結局、長者原<篠栗>桂川<筑豊>原田<筑豊>桂川<筑豊>直方方面〜と乗車していくことにしました。16:11発の快速列車に乗ります[⑪]

 7日前までのネット予約で「つばめ」が激安![⑫] つばめ号は、九州新幹線の各駅停車の列車ですが、乗車率はかなり低いようです。主に博多〜熊本間の運転ですが、博多〜新鳥栖・久留米で新幹線に乗る人はそう多くないでしょう。かといって、さくら号・みずほ号が通過する(さくら号は一部停車)筑後船小屋・新大牟田・新玉名を利用する人の数は限られています。

 博多〜熊本以遠になると、つばめ号でちんたら行くのではなく、速達列車のさくら号・みずほ号に乗ろうという話になります。また、熊本から先の区間を走るつばめ号は朝晩に限定されており、そもそもの列車本数が少なすぎます。こういった事情を考えると、乗車率が低いのは当然のこと。「早得」などと言って叩き売りでもしなければ乗ってもらえない、という現実があります。

 篠栗線のホームから桂川方面を見てみると、「工事区間開始」「工事区間終了」の標識が[⑬]。しかし、工事をしているような様子もなければ、それに伴う速度制限なども見当たりません。さて、どういうことだか?
















 813系の快速列車に乗車し、桂川を目指します[①]。「桂川」は、「かつらがわ」ではなく、「けいせん」と読みます。当て字などではないので、難読とは言わないのでしょうが、「けいせん」という読み方は、そうそう簡単に思い付きはしないでしょうね。

 広がる水田と遠くの視界を遮るように聳える山々[②]。大都会・福岡を思わせるような街並みは見当たらず、いかにも郊外という景色です。篠栗線の線路も、複線ではなく単線として敷設されています。列車が進む方向の先に、緑豊かな山々を背景に、福岡市のベッドタウンとして発展していることを予感させるマンション群が見えてくると[③]、列車は篠栗線の主要駅、篠栗に到着します[④]

 篠栗を出ると、これまでとは一変し、山間の狭隘な土地を走るようになります。右を見ても山、左を見ても山というその車窓は、市街地や住宅街、水田などが見えていたこれまでの車窓とは、まるで違うものです。吉塚〜篠栗間には1つもなかったトンネルも現れるようになり、まるで中国地方のローカル線に乗っているかのように気分になります。もっとも、こちらには「あんな速度制限」はなく、結構速く走ってくれますが。

 快速の通過駅である筑前山手は、トンネルとトンネルに挟まれた高架線上にあり、何段もの階段を上ってホームに向かわなければならないという、三江線・宇都井駅を思わせる構造になっています[⑤]。地上から離れた高所にあり、柵だけでホームからの転落を防止するという構造は、宇都井駅そっくりです。単式1面1線という構造も同じであり、「電化路線版宇都井駅」と称しても良いかもしれません。

 九郎原を通過します[⑥]。篠栗線の快速列車は、吉塚を出ると、柚須停車・原町通過・長者原停車・門松通過・篠栗停車・筑前山手通過・城戸南蔵院前停車・九郎原通過・筑前大分停車・桂川停車と、ほぼ隔駅停車の停車駅設定をしています。

 16:32、列車は下車駅の桂川に到着しました[⑦]。また、これにより、桂川〜吉塚間を結ぶ篠栗線の全線乗車が完了しました。ここまで乗ってきた快速列車は黒崎行きとなっていますが、桂川から先は筑豊本線、折尾から先は鹿児島本線に入ります。


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