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※各画像はクリックすると拡大します。

























 乗降扉が開き、ツアー客の乗車ができるようになったため、我々も列車に乗り込みました。今回はカシオペアデラックスに乗ることになっていますが、この部屋は、編成中に僅か1部屋しかなく、その存在位置は「2号車1番」。「何号車何番の部屋に行けばいいのかな?」と迷う必要はありません。目指すべき場所はただひとつです。

 そして2号車1番の部屋の扉を開けると、そこには、夢にまで見たカシオペアデラックスの空間が、今宵の主を歓迎するかのように、綺麗に整えられた状態で広がっていました[①] [②]。昨年の2月にカシオペアスイート(メゾネット)に乗車したときも「これが最高級の寝台個室か」と興奮したものでしたが、今回は「5年9か月越しの出会い」。興奮度はスイートのときを超えています。

 カシオペアデラックスが鎮座する2号車は、他にはカシオペアスイート(メゾネット)が3室配置されていますが、スイートを3室配置したところ、車端部に「スイートにするにはちょっと狭い」空間ができてしまいました。このカシオペアデラックスは、そのような空間にできたという背景を持っており、台車直上にあるために揺れやすいですが、その代わり平屋個室ならではの高さを手に入れています[③]

 展望室タイプのカシオペアスイートと比べれば、当然、狭苦しい空間であることは否めませんが、それでも、室内で”歩き回れる”ような床面積を持った寝台個室というだけで、他にない豪華さを感じさせてくれます[④]。東日本大震災さえなければ、2011年3月にこのカシオペアデラックスへの乗車を果たしていましたが、あれがあったために、カシオペア号の初体験すらも大きくずれ込みました(2012年1月にツイン)。

 予定では16:38札幌発の11:52上野到着ということで、一般の臨時列車として走っていたころと比べると、所要時間が2時間30分ほど延びています。今晩は食堂車のディナー利用も予定していますが、それでも、最も多くの時間を過ごすのは、この部屋です。今回の旅の本拠地として我々の”相棒”となるカシオペアデラックスの世界。さあ、この旅をいったいどのように描き出してくれるのでしょうか[⑤]












































 部屋に入ってからほどなくして、上野行きのカシオペア紀行は札幌駅を発ちました[①]。元々、一般の臨時列車として走っていたころから、カシオペア号は写真を撮るだけの人たちにも大人気の列車でしたが、もう北海道には来なくなるということが分かっているというだけあり、今日も多くのカメラマンたちに見送られての出発となりました。

 定刻では16:38の発車ですが、実際には、5分ほど遅れた16:43の発車となりました。まだ17:00にもなっていないという頃合いですが、今日は12月30日で、2016年の冬至は12月21日。それから9日しか経っておらず、しかも札幌(東日本)ということで、辺りは既に暗くなっています[②]。残念ながら、道内で車窓を楽しむことは、あまりできそうにありません。そういう意味では、夜明け後の車窓という点で、上り列車は不利な面があります。

 これが小樽経由(山線経由)というのであれば、特別な列車としての”カシオペア紀行”らしさを感じることもできるかもしれませんが、札幌〜上野間を函館本線・千歳線・室蘭本線・道南いさりび鉄道(江差線)・・・と辿っていくその走行経路は、普通の列車として走っていたころと全く同一です。苗穂駅で見ることができる車両群も、今や見慣れた光景と言えます[③]

 札幌発車後、ものの1分30秒ほどでアテンダントが来訪し、ウェルカムドリンクとバーセットを届けてくれました[④]。前回のカシオペアスイート乗車時(2015年2月)は、私はまだ未成年であったため、せっかくのお酒も飲まずにいましたが、今は成人しているので、お酒を飲むことができます。そして、私は、若くしてウイスキーのおいしさに気が付いてしまったため、「響12」の存在にはビビッと来ました。

 明日の朝にはモーニングコーヒーがあるとのことで、その配達時刻として6:30を指定しました[⑤]。予定では、上野到着は11:52となっているため、6:30の時点で起床していて、そしてコーヒーを飲んでも、下車まではまだ5時間20分以上もあります。しかし、その5時間20分も、普通の座席車であれば、グリーン車だとしても辛かろうと思いますが、カシオペアデラックスならば、全く不快に思うことはないでしょう。














































 ここで部屋の詳細を確認しておきましょう。話の流れを保つ都合上、そこまで念入りな解説はここでは行いませんので、さらに多くの画像をご覧になったり、細かな解説をご覧になったりするのは、夜汽車の残像にカシオペアデラックス関連のページを公開するまで、今しばらくお待ちください。

 カシオペアデラックスの特徴は、カシオペアスイートと同じ「SA2個室」として扱われていることで、基本的な附帯設備やサービスについては、カシオペアスイートと遜色のないものが奢られています。カシオペア紀行として超高額な料金で走るようになった現在では、スイートとデラックスの価格差は、あまり意識しなくなりましたが、かつてはそこに「スイートより遥かに安価でありながら〜」という点もありました。

 まずサービスとしては、先ほどの通り、スイートと同様に、ウェルカムドリンクのバーセットが提供されますが、設備としては、これもスイートと同様に、個室内に便所とシャワーが設けられています[①]。この「トイレ&シャワー」は、かつて北斗星号やトワイライトエクスプレス号に連結されていた1人用A寝台個室、「ロイヤル(SA1)」にもあり、SA個室の象徴的存在となっています[②]

 一方、便器と洗面器については、普通のA2個室であるカシオペアツイン・カシオペアコンパートでも、全ての個室に設置されています[③]。カシオペア号の企画にあたっては、最も標準的なA2個室(カシオペアツイン)でも、「便所と洗面台を確保することは当然」とされていたそうで、自分の部屋で用足しや歯磨きができることもまた、その豪華さを後押ししています。

 こんな時間から眠りに就く人はいないはずですが、ベッドメイキングは既になされていて、その気になればいつでも寝床に入ることができます[④]。SA個室ならではの”サービス”であると捉えることもできますが、予めベッドメイキングをしておけるのは、いわばリビングとなる対面式のソファーが別途確保できるからであって、SA個室だからこその広さ、設備の充実さに基づいたことであるとも言えます[⑤]

 照明や空調を調節するためのコントロールパネル、衛星放送や現在位置を表示(ただのカーナビ)するためのモニター装置は、カシオペアツインにもありますが、その上にある電話機は、スイートとデラックス特有の設備です[⑥]。カシオペア紀行として走っている現在は分かりませんが、かつては、これを使ってルームサービス(パブタイム/モーニング)を頼むことができ、部屋から一歩も出ずに食事までできました。

 部屋の中には、「カシオペアコレクション」と題した車内販売のメニュー表がありました[⑦]。右ページの右上に「H28.12.29-」とあるように、カシオペア紀行になってからも、メニューの変更や調整が行われているようです。なお、私は、「カシオペアヘッドマーク(ミニ台座付き)」を買いました。



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