Page:4

※各画像はクリックすると拡大します。
























 このカシオペア紀行は、団体専用臨時列車として運転され、また、札幌〜上野間を通して乗車するプラン以外は存在しないため、途中駅における乗降はできません。ただし、時間調整や乗務員交代、あるいは機関車交換といった事情のために、「扉は開かないが停車はする」という駅が多く設定されています。苫小牧はその最初の駅で、もう間もなく到着します[①](南千歳は本当に”通過”しました。実に新鮮でした)。

 そして17:48に、予定より10分ほど遅れて苫小牧に到着しました[②]。単なる時間調整か、あるいは機関士の交代までやっているのか、残念ながら、2号車のカシオペアデラックスからでは、それは分かりません。表向きは札幌〜上野間ノンストップなので、先ほどの南千歳のように、「通過することはまずありえない」という駅を通過する場面にどんどん遭遇したいものですが、なかなかそうはいかないようです。1分で苫小牧を発車します[③]

 苫小牧といえば王子製紙。24時間休みなく稼働する工場のその姿は、まさに不夜城です[④]。こういった工場、あるいはプラントというのは、昼間に見るよりも夜に見る方が、より存在感が大きくなります。










































 引き続き、カシオペア号は室蘭本線を進んでいき、上野に向かって走ります。カシオペアデラックスは、台車直上の平屋部分にあるため、窓は湾曲しておらず、車窓を自然な映りで眺めることができます[①]。「静かに流れゆく車窓を眺めながら、上等なお酒を嗜む」というのは、私がかねてから抱いていた”やってみたいこと”でしたが、成人後にもこのような列車があってくれたおかげで、何とかそれを果たせました。

 札幌を出て1時間30分ほどもすれば、列車はとっくに郊外に入っていて、都市的な眺めはほとんど見られなくなります。並行する国道を走っていくのは、物流用の大型トラックか[②]。スピードとしてはこちらが若干上回っているようで、この後トラックの姿は見えなくなりました。しかし、当然のことながら、カシオペア紀行は「急がない人たち」が乗る列車。その走りに焦りはありません。

 列車は18:18に登別に到着しました[③]。今回のツアーを催行するにあたって配布された「ご案内」では、登別は停車駅としては示されていませんでしたが(もっとも、「主な停車駅」という書き方だったので、当然”例外”はある)、結果的には停車駅だったようです。ただし、もちろん、停車したところで扉は開きません。正直、「息抜き&撮影タイム」の停車くらいは欲しいもので、いかに豪華列車といえども、”缶詰め”にされて嬉しいかどうか。












































 18:30頃、我々は3号車に連結されている食堂車・ダイニングカーへ向かいました[①]。カシオペアデラックスは2号車にあるため、移動は隣の車両へ1両分移るだけでよく、実に楽ちんです。3号車を境として1・2号車にSA2個室、4〜11号車にA2個室を配置するという構成は、SA2個室利用者が食堂車を利用するときの利便性を確保することと、A2個室利用者が無意味にSA2個室の前を通ることがないようにするという狙いがあるのでしょう。

 カシオペア紀行となった今でも、かつてと同様に、ディナータイムの営業があります。前回、2015年2月にカシオペアスイートに乗車した際は、懐石御膳を食べましたが(本当はデラックスを狙っていたところを、遊び半分で「スイート」で申し込んだ結果、本当に取れてしまい、現金が不足し、フランス料理にするはずが懐石御膳になってしまった)、今回はフランス料理です。前回のリベンジを果たします。

 上りのカシオペア紀行では、17:15〜18:15(懐石)/18:30〜19:50(フランス)/20:10〜21:30(フランス)の3つに区切られた時間帯においてディナータイムの営業がなされ、我々は18:30〜19:50の時間帯を指定されました。食堂車の雰囲気は、以前とあまり変わりないようですが、ディナータイムとだけあって、心なしか華やかです。そして今回、食堂車の椅子が取り換えられていることに気が付きました[②]。 <椅子交換以前の画像はこちら>

 係員に導かれて、今宵の晩餐を楽しむ席に案内されました[④]。華やかというよりは地味で、ややもすれば”どこか小汚い”感のある「列車食堂」の趣はどこへやら。ひとたびカシオペア号の食堂車にやってくれば、そこは雰囲気といい、おもてなしといい、そして何よりもその料理といい、列車に連結された食堂車であると意識することはありません。机上を彩るための小道具が、この楽しい時間に花を添えます[⑤]



                  10  11  12  13  14  15  16  17

DISCOVER どこかのトップへ

66.7‰のトップへ