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※各画像はクリックすると拡大します。

















 たまたまなのか、それともいつもそうなのかは分かりませんが、気仙沼を発車した時点では[①]、この121便の乗客数は、なんと計2人でした。私は当然鉄道が好きですが、もう1人の乗客も、いかにも鉄道が好きそうという雰囲気を漂わせている人でした。1便(本)の乗客数が2人とあっては、バスでさえ大赤字でしょうが、もしこれが鉄道の列車であれば、尋常ではない赤字が生み出されそうです。

 気仙沼を出ると、BRTバスは早速専用道内を走っていきます[②]。整備されてからまだ年月が経過しておらず、BRTバスしか走らないということで、総交通量もそれに比例して少なく、路面状態は良好です。そして、それは乗り心地の良さに直結します。

 気仙沼を発車してからしばらくすると、観光情報を表示していたモニターに、現在の前面展望が映し出されました[③]。なるほど、これは面白い・・・と思いましたが、夜ということで、色ノイズがちらつき、フレームレートが低くてカクカクする、よく分からない映像が流れるだけでした。速度が低いので、鉄道ほど迫力のある映像にはなりませんが、暇つぶしにはなりそうです。

 一般道でトンネルへ突入[④]。専用道は”単線”ですが、一般道は”複線”です。トンネル内も当然2車線で、広々としています。被災してBRTとなった路線は、いずれも地方部のローカル線でしたが、仮に、もっと輸送量のある路線がBRTに転換されれば、その際は、すれ違いができるような道路幅、即ち「複線」として整備することもあるかもしれません。転換路線ではありませんが、名古屋ガイドウェイバスは複線となっています。

 海が見えてきました[⑥]。対岸の光が見えているような気がしますが・・・、よく分かりません・・・。「海」と名付けられているくらいの車両なので、大船渡線での海景色を楽しんでもらいたいという前提がありますが、せっかく海車両が来ても、夜では、その真価を発揮できません。ちなみに、私は今、海に正対できる座席に座っているので、この景色を首をひねらずに見ることができています。

 気仙沼行きの上り便とすれ違い[⑦]。専用道においては、複線と言えるような区間はないため、専用道内ですれ違いをする場合は、適宜設けられたすれ違い用スペースか、上下線それぞれの乗り場が用意されている駅を使用することになります。

 下船渡駅の手前に、一般道との交差点があります[⑧]。そこにある信号機は、基本的に、BRT側は常時赤色が点灯していますが、BRTの接近を検知すると、自動的に青色に変わります。ということは、その一方で、それに伴って、一般道側は、自動的に赤色に変わっているということでしょうか。運転士もそれを知っているので、赤信号が見えているからといって、停車させようとはしません。

 BRT121便は、その下船渡を通過しました[⑨]。鉄道とは異なり、BRTでは、乗降客が一切いない駅は通過します。このあたりは、鉄道というよりも路線バス的な挙動です。と言っても、そのまま走り続けてしまえば、その先の駅を早通することになるので、結局は元々のダイヤに修正します。今のところ、BRTは全て各駅停車ですが、鉄道時代に近い利便性を確保するのであれば、快速便の運転も必要でしょう。

 結局、途中駅での乗降は一切ないまま、気仙沼から乗り続けてきた乗客計2人という状況で、BRTバスは大船渡に到着しました[⑪]。次は終点の盛ですが、私が大船渡で下車したことにより、大船渡〜盛間は、もう1人の乗客の貸し切り状態となりました[⑫]
















 終点の盛まで乗り通さず、大船渡で下車しました。次は盛(大船渡線BRT区間の終点)なので、あと1区間を残していますが、これには2つの理由があります。ひとつは、「盛駅の近くにはまともな宿がない一方、大船渡駅の近くにはある」ということ。そしてもうひとつは、「今日のうちに盛まで行って、その後大船渡へ折り返してくるのは面倒臭い」ということ。今日はもう大船渡で宿に入り、残された1区間は、明日乗ってくることにします。

 今日の宿は、駅のすぐ脇にある、大船渡プラザホテルです[①]。駅から1分もかからないようなところにあり、この上ないアクセス性を誇ります。このホテル(旧)は、津波の被害に遭いながらも、補修作業を経て営業を再開。工事関係者やボランティアの宿、会合の場として使われてきましたが、県道の整備に合わせ、移転・新築することを決定。2016年3月12日に、写真の新・大船渡プラザホテルが開業しました。

 もっとも、新しいホテル自体は無事に営業を開始しましたが、まだ駐車場の整備ができていないらしく、本来ならば駅前のロータリーとなる場所が、ホテルの駐車場として使われていました[②]。この件に関して、チェックイン時に、フロントの人に「駐車場の件でご迷惑をおかけしております」と詫びられましたが、BRTで来たことを伝えると、珍しい人だな、という顔になりました。BRTで来る人はあまりいないようです。

 3月12日に新築開業したばかりの新しいホテルということで、もうとにかく「至るところが綺麗」の一言です。汚れや傷はほとんどなく、開業時期が新しいということで、内装のデザインも近代的で先進的[③]。部屋も、新築の匂いがする・・・と言ったら大げさですが、いかにも出来立てほやほやという雰囲気で、これまでに泊まってきたホテルで感じた「たくさんの人に使われてくたびれました」感がありませんでした[⑤] [⑥]

 その新しさゆえ、非常に綺麗であり、風呂の水道も、あの忌まわしき湯水混合栓ではなく、ハンドルで水温調節ができるようになっているなど、全体的には良いホテルですが、致命的な欠点があります。それはテレビ。⑤番の写真を見ると分かるように、テレビは、ベッドに正対するように壁掛けされていますが、その構造(壁掛けでは首が回らない)のために、椅子からだと、テレビに対して視線が斜めになり、画面が碌に見えないのです。


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