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 宿戸〜陸中中野間は、八戸線が最も海に近づく区間です[①]。雲ひとつない快晴にまでは回復しませんでしたが、朝からずっとスッキリしていなかった空模様もようやく青空が見えるようになってきて、その大海原はより一層美しく見えます。打ち寄せる波も比較的穏やかで、わざわざリゾートうみねこ号に乗るように旅程を調整した甲斐、そしてきちんとC席を確保した甲斐がありました[②]

 前のページにも書いたように、八戸線は、全体的に海の近くを通ってはいるものの、車窓に大海原が広がるという区間は、想像以上に短いので、ここで八戸線のハイライトをしっかりと目に焼き付けておきましょう[③]。本当の観光列車ならば、車窓を楽しむための徐行を行うこともありますが、この列車はあくまでも「ただの普通列車」なので、定時を守るべく、普通の速さで走ります。

 素晴らしい車窓が展開される宿戸〜陸中中野間ですが、有家〜陸中中野間で車窓に雑木林が目立つようになると、その素敵な絶景とももうお別れです[④]。最初のうちは木と木の間から海が見通せても、やがて線路は内陸部へと進路を変え、海は全く見えなくなります。先ほどまでは「海に近いが、その際ではない」という具合でしたが、この先はそれどころではありません。

 しかし、例え車窓から海がなくなったとしても、今日の八戸線にはこれがあります。そう、見頃は過ぎてしまいましたが、紅葉です[⑤]。陸中中野〜久慈間は、大部分が森の中をくねるように走っているため、今度は右を見ても紅葉、左を見ても紅葉という車窓が見られるようになります。秋だからこそのものですが、海沿いの区間が終わっても、まだ楽しみがありました[⑥]

 そして列車は終点の久慈に到着しました[⑦]。八戸〜久慈間の約1時間45分の旅路も、普通のキハ40系なら退屈で辛い道のりになるかもしれませんが、リゾートうみねこ号だったおかげで、快適かつ楽しく過ごせました。また、これからは順次キハE130系が導入され、2018年3月のダイヤ改正で全列車がそれに置き換わる予定なので、より快適な旅ができるようになることでしょう。



















 久慈は、三陸鉄道北リアス線と接続している駅です。そのため、駅構内に三陸鉄道線の車両が集う車庫があります[①]以前に久慈に来たときは、そのまま三陸鉄道線に乗り換えて田野畑まで行きましたが、今日の鉄道での移動はここで終了です。

 リゾートうみねこ号の隣の2番線には、レストラン列車「東北エモーション」が停車していました[②]。今回の旅の計画中、「八戸〜久慈をどう移動するか」、「ただの普通列車はなるべく避けたい」と思っていたとき、リゾートうみねこ号と共に発見したのが、この東北エモーションでした。リゾートうみねこ号よりも断然”面白い”ため、当初、私はこれに乗るつもりでいました。

 リゾートうみねこ号そのものは、一応ジョイフルトレインということで、たしかに面白い列車ではありますが、食堂車に改造されたキハ110系で様々な料理を味わうことができる東北エモーションには敵いません。また、八戸12:22発・久慈14:06着という遅い時刻のダイヤは、午前中の時間をいたずらに余らせるほか(これは弘前公園で潰しましたね)、今日の宿への到着を日没後にさせてしまいます。

 その点、東北エモーションならば、リゾートうみねこ号を超える”旅日記映え”する面白さがあるほか、八戸11:05発・久慈12:52着というそのダイヤ設定により、上記の時間的問題を解消させることができる見込みがありました。11月5日は運転日であり、意気揚々と予約に取り掛かろうとしたそのとき、目に飛び込んできたのは「※おとな1名を含む2名様以上でお申込みください」。

 JR久慈駅は1面2線ですが、その両方をジョイフルトレインが占有しています[③]。リゾートうみねこ号と東北エモーション。どちらも、優等列車はおろか、快速列車すらない八戸線に彩りを加える存在ですが、乗客を出迎える横断幕は、リゾートうみねこ号のものの上に東北エモーションのものが被せられ[④]、更にリゾートうみねこ号の幕は色褪せ気味です[⑤]。主役は後者ということか。

 写真撮影に勤しんでいると、久慈14:12発の宮古行きの列車が私の横を通過していきました[⑥]。リゾートうみねこ号に接続している北リアス線の列車で、2013年1月に久慈に来たときはまだいなかった新しい車両(36-700形)で運転されていました[⑦]

 すっかり主目的が「懐かしの寝台列車たちとの再会」と化している今回の旅ですが、そもそもの始まりは「山田線の復旧区間(上米内〜川内)を乗ること」でした。その山田線は、今日から盛岡〜宮古間の通しでの営業を再開しています[⑧]。もちろん、このことを忘れてはいませんが、旅全体を通して見たときには「おまけ」と言ってもよいほど、小さな要素になってしまいました。

 久慈は2013年1月上旬に訪れているため、それ以来、約4年10か月ぶりの来訪ということになります。変わっていないことと変わったこと。前者は、お世辞にも賑わっているとは言えないような、どうにもこうにも寂しい駅前[⑩]。半分廃墟の「駅前デパート」もほぼあのときのまま。後者は、2013年6月に改装されたJRの駅舎で、幾分小奇麗になりました[⑪]。以前はこんな感じで、だいぶ古びていました

 前回来たときは、八戸線で久慈までやってきて、翌日にまた八戸へ折り返していくという旅程を組んでいたため、ここで1泊していました。そのときに泊まったのが、駅のすぐ裏にある久慈グランドホテルでした[⑫]。駅の近くに位置していて、また、最上階である7階の部屋が指定されていたため、久慈駅に発着する列車を眺めるというトレインビューを楽しむことができました。

 地下通路を通って駅の裏側に回り、そしてやってきたのは、ニッポンレンタカー久慈駅東口営業所です[⑬]。ここからレンタカーでの移動を開始します。で、私が今回借りるのは、左に写っている黒い軽自動車か、それとも右に写っている青いコンパクトカーか? 答えはそのどちらでもなく、真ん中に写っている灰色のセダンです。その名はマークX、2016年3月の旅のときにも借りた車種です[⑭]

 マークXは2016年11月にマイナーチェンジが施されたため、それを受けた新型車が来ると期待していたのですが(大手レンタカーは車両の回転が速いと聞いていた)、今回実際に回されてきたのは、マイナーチェンジ前の旧式の車両でした。よって、2016年3月に乗った個体と同世代のものです。なお、マークXの概要については、上の2016年3月の旅へのリンクからご覧ください。












 今日の最終目的地は、岩泉にあるブルートレイン日本海であり、久慈からは、マークXを駆って日本海号を目指して行く道のりが始まります。しかし、当然、休憩もなしに一気に走破することは何かと危険(全く寄り道せずに真っ直ぐ行っても、58.8km・所要1時間10分ほど)なうえに”つまらない”ので、適宜休憩と寄り道を挟みながらのドライブとなります。

 最初に立ち寄ったのは、まついそ公園なる海沿いの公園でした[①]。久慈駅から約22.1km、30分ほどで辿り着く公園で、久慈市の2つ隣の普代村にあります。まだ疲れるほどに走ってはいませんが、ここで海でも眺めながら、しばしの休憩と行きましょうか[②]

 「公園」とは言っても、遊具があって子供たちが遊びに来るところではなく、駐車場や広場(ただの舗装された空き地)、公衆便所、展望スペースなどを備えた、いわば「休憩所」のようなところです[③]。近くを通る国道45号線から外れた、車同士のすれ違いが満足にできそうもない細い道にあるため、「ドライブ中に発見してフラッと立ち寄る」場所ではなく、「知る人ぞ知る」場所かもしれません。

 時刻はまだ15時台ですが、陽が短い季節であるがゆえに、太陽は既に水平線へと落ちる準備を始めていて、雲や辺りにある物体が、少しずつ橙色に染まりつつあります[④]。ここはリアス式海岸の”終わりかけ”のところにあり、湾へ出入りする陸や岩の規模はおとなしめですが、たしかに「岩手県の太平洋側らしい」眺めをもたらし、今回の旅における印象的な光景を生み出しました[⑤]

 埋め立てたコンクリートと消波ブロックの間に挟まれた巨大な岩は、いかにも長年の年月で風化してきたというような渋い出で立ちで、歴史と風格を感じさせます[⑦]。しかし、なぜこの公園を造成する際に撤去せず、わざわざこんなところに残しておいたのでしょうか・・・?


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