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 山口駅に下車して山口県を制覇するために、この後は、新山口行きの特急スーパーおき5号に乗車する予定となっています。しかし、同列車は益田17:18発であり、しばらく時間があります。そのため、引き続き山陰本線を東進し、”暇潰しのために”、折居という駅へ行ってみることとします。浜田行きの普通列車は、キハ47形2両編成による運転です[①]

 ここで、僅かながら雪がちらついてきました[②]。ここまでに、長崎と佐賀で、既に降った雪(積もった雪)は目撃しましたが、現に雪が降っている場面に遭遇するのは、これが初めてです。もっとも、ここは島根県で、それも2月ですから、雪が降ることそのものは、全くもって不思議なことではありません。むしろ、雪が全く積もっていないことにちょっと驚きます(例年こうなのですか?)。

 ワンマン運転に対応するため、運転室の後ろにある座席は撤去されるとともに、両替機や運賃箱が設置されています[③]。このように見てみると、座席がないおかげで、車体の形状(断面)がよく見えますね。まるで先頭部のカットモデルを後ろ側から見ているかのようです。

 雪が降ってきていたくらいなので、今の天気は、あまり良くありません。先ほどまでは青空と共に見ることができていた日本海も、曇り空に岩へ打ち寄せる荒波と、「冬の日本海」らしい眺めになってきました[④]

 岡見を出ると、左手に分岐していく線路が現れます[⑤]。これは中国電力の三隅発電所に至る専用線で、2013年に同発電所と美祢の宇部興産を結ぶ貨物列車が廃止されたことにより、現在はその用途を失っています。2018年、西日本豪雨に伴い、山陰本線西部にDD51形牽引の貨物列車が運転されたことが話題になりましたが、2013年までは、”普通に”見られていたものだったわけです。

 特急列車も停車する主要駅、三保三隅に到着[⑥]。有人駅なので、切符を回収するために、駅員が改札口に出てきたようです。この普通列車はそのまま発車しましたが、ここで列車交換を行うこともあります。

 益田から約30分で折居に着きました[⑦]。まだ小雪がちらついているという中、キハ47形が終点の浜田へ向かって発車します。



















 JR西日本の駅名標といえば、上が白、下が青という組み合わせが標準的な様式ですが、先ほど益田駅でも触れたように、山陰本線の米子〜益田間には、朱色のラインカラーが設定されました。それに伴い、折居駅の駅名標も、朱色を纏ったものに取り換えられています[①]。シールを貼っての対応ではなく、駅名標全体を新しいものに交換したようです(そのためか、新しくて綺麗)。

 暇潰しのためにやってきた折居駅は、1面2線の小さな駅です[②]。1日の平均乗車人員は僅か8人(2014年)で、利用客も僅少。そのような中で、今回折居駅を下車駅に選んだ理由は、ひとえに、その日本海への近さにあります[③]。ホームから既に日本海が見えるほか、名所案内においても、「折居海水浴場 駅前」と案内されています[④]

 駅舎内の様子[⑤]。打ち付けられた板とその下にある物置台が、かつてはここも有人駅であったことを偲ばせます。発車時刻表の裏側には、トワイライトエクスプレス瑞風号を歓迎するための幟が保管されていますが[⑥]、残念ながら、折居駅に停車することはないようです(ただし、見ての通り、これだけ海に近いという眺めの良さがあるため、折居駅の前後では徐行運転をするとのこと)。

 この旅をしていた当時、三江線は、3月31日の最終運行日を控えて、そのカウントダウンが徐々に進んでいる状況にありました。定期券の発売終了の告知は、ここ折居駅にまで掲示されていて、三江線の廃線が近いことを否が応でも感じさせられます[⑦]。なお、この先のネタバレになりますが、今回の旅には、三江線を捻じ込んであります。

 事務室の中をちょっと覗いてみました[⑨]。見ての通り、碌に掃除もされておらず、普段は人の出入りがないことが分かりますが、一方で、「私たちは、2005年4月25日に発生させた列車事故を決して忘れず〜」と書かれた安全憲章が掲示されているため、2005年4月以降に(その当時で既に無人駅だったはずですが)、関係者がここを使用した実績があることも分かります。

 小振りな木造駅舎[⑩]。前のページで少し触れましたが、この辺りの地域は、石州瓦と呼ばれる赤い瓦を使用することが非常に多いため、黒ならいざ知らず、青い瓦というのは目立ちます。ただ、お気づきの方もいらっしゃるかもしれませんが、実は、三保三隅駅も青い瓦を使用しています。もしかして、JR西日本のコーポレートカラーである青色に塗り直したということでしょうか?

 やや波が激しめの日本海[⑪]。消波ブロックに打ち付ける波は、飛沫となって舞い上がります[⑫]。今日は、時間帯も、そして天気も合いませんが、ここ折居駅から眺める日没の景色は、きっと他になく美しいものであることでしょう。












 益田行きの快速アクアライナー号に乗車して益田に戻ります[①]。1日の平均乗車人員が8人と、利用客数は極めて少ない折居駅ですが、快速アクアライナー号については、なぜか上下ともに全ての列車が停車します。その一方で、同じ浜田〜益田間にある駅で、折居よりも利用客数が多い周布・岡見・鎌手・石見津田は、通過する便もあります。

 三保三隅で上りの特急列車と行き違います[②]。この特急は三保三隅を通過していますが、一部の便は停車するということもあってか、一線スルー化は施されておらず、駅の両端は共にY字分岐のままとなっているようです。そのため、キハ187系にしてはかなりゆっくり目に、ヨタヨタと通過していきました。

 キハ126系は、クロスシートを主体とした座席配置となっています[③]。この写真だけではちょっと伝わりにくいですが、向かい合わせになっているところのその空間は広く、向かいに人が座ったとしても、膝を突き合わせるようなことにはまずなりません。クロスシートの座席間隔は、キハ40系が1470mmとなっているのに対し、こちらは1600mmもあるので、その広さは数値的にも証明されています。

 日没まではもう少し時間がありますが、それでも”だいたい夕方”ということで、いったん海側の席に移動し、日本海を眺めてみました[④]。陽射しの色は、段々と夕刻の時間帯のそれになってきていますが、位置的にはやはりまだ高く、何よりまず雲が多すぎます。これほどに日本海の近くを走る山陰本線。いつかは美しい「日没の光景」を見てみたいものです。

 終点の益田のひとつ手前、石見津田に停車[⑤]。下りの快速アクアライナー号は、例外なく、全ての便が浜田〜益田間で各駅停車になります。そのため、「快速」とは言ったものの、結局、折居〜益田間には、通過駅はありませんでした。ただ、車両が比較的新しいキハ126系なので、所要時間に大差はないとしても、移動中の快適さは、キハ40系の列車に大きく勝ります。

 16:48に列車は終点の益田に到着しました[⑦]。列車は折り返しで米子行きの快速アクアライナー号となり、約4時間の長い旅路に出ます。


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