◆2月13日◆
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 今日は2月13日、火曜日です。今日の江津(浜田)の最高気温は4度とやや低めですが、明日以降は軒並み気温が高くなるようで、NHKのデータ放送によると、14日〜18日にかけて、5日連続で二桁台に乗るとの予報が出されていました[①]。これほどの気温ではないにせよ、三江線沿線の自治体も高い気温になるでしょうから、明日以降は雪解けが期待できそうです。

 窓の外には、荒れ狂う日本海と、もうもうと蒸気を上げる日本製紙江津工場がありました[②]。最初は火力発電所かなと思いましたが、実際には製紙工場でした。この辺りの火力発電所といえば、一昨日通った岡見付近にあった、中国電力の三隅発電所になるでしょうか。

 もろに海沿いに位置する江津市は、冬でも雨になることが多く、雪はそれほど降りません。そのため、江津駅前も、今ちょっと雪がちらついていますが、それがうずたかく積もるようなことはなく、積雪は、一部にうっすらとあるのが確認できる程度です[③]

 さて、昨日、「明日(=今日)の三江線は、まともに動いていないかもしれない」と懸念しましたが、結果はどうだったのか? 結論としては、「浜原(粕渕)発の初発は運休になるが、2本目以降は動く」です[④]。上下の列車を駆使することで、竹駅と明塚駅を訪れる予定でしたが、江津以降の列車には2本目から繋ぐ予定だったので、竹と明塚を放棄すれば、粕淵に泊まっても大丈夫でした。

 元々、今日は三江線の粕淵から1日が始まる予定だったため、江津から東へ向かうために乗る列車は、江津10:31発の快速アクアライナー号となっていました。朝の”三江線の部分”がごっそり抜けたため、今日1本目の列車はそれになったわけですが、だからといって、ホテルに10時過ぎごろまでいてゴロゴロしていても、しようがありません。

 そこで、「三江線の上り2本目の列車は動いている」ことに着目し、「だったら、せめて1区間だけでもチョイ乗りしておこう」ということで、タクシーで江津のひとつ隣の江津本町にやってきました[⑤]。もう少し先の駅まで行くことも可能でしたが、「三江線はまた次の機会に乗り直せばいい」、「タクシーの料金も考慮せねばならない」と考えていたため、江津本町を選択しました。

 「江津のひとつ隣」で、”本町”とまで名乗る駅であると言っても、ここは江の川沿いにある本当に小さな駅で、駅前は、片や見通しも悪いカーブにトンネル[⑥]、片や江の川に沿ってくねり始める道路に1台の自動販売機と[⑦]、賑わいの欠片もありません。末期には、1日平均の乗車人員が0人を記録するほどになっていました。

 駅名標[⑧]。本来であれば、竹駅と明塚駅に下車する予定でしたが、結果的に、それらは放棄せざるを得ませんでした。ただ、その代わり、こうして江津本町駅に足跡を残すことができたので、まあ、これはこれでいいでしょう。場所が場所なので、タクシーの運転手に「江津本町まで」と言っても伝わらないかも・・・と心配しましたが、幸い、普通に辿り着いてくれました。

 江津方面は、出発してすぐのところにトンネルが待ち構えています[⑨]。トンネルといっても、何も山を越えるような長いものではなく、トンネルを抜けたその先には、住宅街や江津駅周辺の市街地があります。一方、浜原方面は、ホームの一部が江の川に面していて、その面する端の方まで行けば、「江の川を望む小さな駅」としての環境を堪能することができます[⑩]

 1面1線の小さな駅で、屋根もありませんが、駅には待合室が設置されています[⑫]。たまに、「地元の人々が待合室に座布団や花瓶を置いている」といった駅がありますが、江津本町駅には、そのようなものはありません[⑬]。その代わり、見ての通り、待合室内は、とても1日平均の乗車人員が0人の駅とは思えないくらいに掃除が行き届いています。

 待合室の窓越しに眺める江の川[⑭]。三江線は、まさに江の川と共にあると言っても良いような路線で、ほぼ全区間に渡って、江の川をなぞるように線路が敷設されています。町が川沿いにあるため、そのようにするのも致し方ないことではありましたが、それゆえに、全体的に”遠回り”になり、陰陽連絡線として広島〜島根を高速で結ぶような役割は果たせませんでした。












 遠く、遠く向こうから、江の川に沿って敷かれた線路の上を、1両編成の単行気動車がやってきています[①]。江津本町駅のホームのうち、江の川に面している部分は非常に見晴らしが良く、このように、やってくる(走り去っていく)列車の姿が、駅からだいぶ離れたところでも見られます。

 線路に伝わる「カタン・・・コトン・・・」という音がだんだんと大きくなることが、列車が駅に近づいてきている証です。僅かに1区間、1.1km、所要時間にして2分のみではありますが、三江線の列車に乗れる時間がやってきました[②]。前面に雪をいただく姿も凛々しいキハ120形に乗車します。なお、この列車は、石見川越〜鹿賀間での倒木未遂の影響により、30分以上遅れての運転となっていました。

 本来ならば、この列車は三次始発で、三江線を一気に全線走破する列車でもあることから、お名残乗車組に非常に人気が高い便なのですが、折からの豪雪で浜原〜三次間が不通となっているため、浜原始発で運転されています。そのため、地元の人以外がこれに乗る難易度は非常に高いということもあってか、私以外の乗客は2人しかいませんでした。

 江津本町を出ると、列車はすぐにトンネルに入ります[③]。待合室があり、ホームはコンクリート造りになっているなど、駅そのものは、ある程度かっちりしているのですが、もとより利用客が極端に少ない三江線で、さらに江津駅が駅間距離にして1.1kmのところにあるとなれば、「1日平均の乗車人員:0人」という数字を叩き出すのも、致し方ないことだったのかも・・・。

 トンネルを抜けた先には、住宅街の脇を通り抜ける鉄橋があるのですが、これがガードというガードもないようなもので、通過時はなかなかスリリングでした[④]。こうして眺めてみると、まるで鉄橋のところだけ地面が抜け落ちてしまっているように見えなくもありません。

 江津駅構内で山陰本線と合流します[⑥]。三江線が廃線になると、長らく2路線が接続する駅であった江津駅も、山陰本線単独の駅になってしまいます。東へ向かってまっすぐ伸びる山陰本線(左側)と、茂みの中へこっそりと進んでいく三江線(右側)。どちらも単線非電化ですが、その線路の伸び方の違いに「一大幹線」と「超ローカル線」の差が出ていると思うのは、さすがに考えすぎでしょうか。

 そして列車は江津に到着しましたが、ほどなくして、終点の浜田へ向けて出発していきました[⑦]。実は、この列車は三次(浜原)発浜田行きで、江津に到着した後は、そのまま山陰本線に直通するという普通列車です。本来なら、江津では37分間の停車時間があるのですが、上述したように、今日のこの列車は30分以上遅れていたため、2分ほどの停車で発車しました。

 ちなみに、江津では、昨晩の三江線の代行輸送でご一緒した鉄道ファンの男性と遭遇しました。彼は広島在住で、この列車に乗って浜田へ行き、浜田から高速バスに乗り継ぐとのことでした。そして、三江線については、また日を改めて再度挑戦する、とも。彼が私と同じくスーパーホテルに泊まっていたことは知っていましたが、彼はこの時間までずっとホテルで待機していたようです。












 三江線には水色のラインカラーが割り当てられました。そのため、江津駅3番線の駅名標には、水色の帯が巻かれています[①]。三江線が2018年3月31日をもって正式に廃線となった後、私は江津駅には行っていませんが、いま、この駅名標はどうなっているのでしょうか。「三江線を偲ばせる遺物」として、山陰本線の橙色にならず[②]、水色のままであってくれたら嬉しいものですが・・・。

 三江線の発車時刻表[③]。”片手で数えられる”とはまさにこのことで、江津を出る同線の列車は、5:53発・12:34発・15:15発・16:33発・19:08発の僅か5本しかありませんでした。うち2本は浜原で手詰まりになるため、三次まで行ける列車は、実質的には3本となっていました(三次行きが2本、終点で接続を取る浜原行きが1本)。

 ここからは山陰本線で東進します。次に乗車するのは、10:31発の米子行きの快速アクアライナー号です[⑤]。今朝は、当初組んでいた旅程とはだいぶ違う行動をとりましたが、ここからは”当初の予定”に復帰します。次の三江線は12:34発の浜原行きですが、この列車は浜田始発となっているため、先ほどの浜田行きの折り返しが充てられるものなのでしょう。

 アクアライナー号の乗車位置で列車を待ちます[⑥]。何やら見覚えのある「快速」のフォントですが、ご覧のとおり、これは223系などの愛称表示幕で使われる「快速」と同じフォントです。もっとも、快速アクアライナー号で使用されるキハ126系では、本書体による”快速”は、どこにも現れませんが。

 跨線橋の入り口の上に掲げられている案内[⑦]。「石見川本・三次方面」は、三江線の廃線によって無効なものになってしまいます。山陰本線はもちろん健在なので、「益田・下関方面」は有効ですが、正直なところ、「下関」については、あまり意味がないような気もしますよね。だって、もはや下関に直通する列車などありませんので・・・。


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