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 快速アクアライナー号で出雲市を目指します[①]。本来ならば特急列車を使いたくなるような区間であり、あと48分待てば、たしかに特急スーパーおき2号があるのですが、そちらに乗るとこの先の乗り継ぎが成立しなくなるため、アクアライナー号で我慢します。が、それでも普通列車よりは遥かにマシですね。停車駅もかなり絞っていますし。

 江の川が日本海に注ぎます[②]。三江線〜山陰本線を乗り継ぐルートならば、”水”のある景色に困ることはありません。山あい”しか”走らないと言っても過言ではない環境ながらも、江の川をトレースするように線路が通る三江線は、多くの区間で川が車窓に展開しますし、山陰本線は、日本海沿いを走っています。

 3連休明けのただの火曜日ということもあって、日中の快速列車はこのガラガラ模様[③]。特に面白い景色が展開されるというわけではない山側の座席は、やはり一般の人からもあまり人気がないようで、山側は本当に無人です。私もつい海側に座ってしまいますが、そんなことを何度もやっていると、「いい加減、たまには山側に・・・」と思うものの、気が付くといつも海側にいます。

 浅利〜黒松間では、風力発電機が林立する車窓が見られます[④] [⑤]。何も知らないと(まあ、私も含めてですが)、”風力”発電機と聞くと、扇風機のような羽根でもついているのだろうかと想像してしまいますが、実際には、やたらと先端が尖った鋭利な形状をしていて、「これでどうやって風を受け止めているのだろうか?」と思ってしまいます。

 山陰本線に乗るのは今回が初めてではないですし、このような日本海の景色も、もう散々見たことがあるものだといえば確かにそうなのですが、それでも、何度眺めても、日本海が一面に広がるこの眺めは絶景です[⑥]。飽きないものですね。

 仁万に到着[⑦]。1日に1往復のみではありますが、特急列車も停車しています。仁万を出ると、大田市・出雲市と停車していくため(これは特急スーパーまつかぜ号・スーパーおき号と同等で、一部の同列車が停車する西出雲は通過)、それ以外の駅は全て飛ばしていきます[⑨]。そして大田市に停車すると、次は出雲市です[⑩]

 先ほどまでは晴れていて、陽射しも出ていたのが、なんだか空がどんよりとしてきました[⑪]。こうなると、せっかくの日本海の青い海原も、なんだかちょっとくすんだ色合いになってしまい、イマイチ美しくありません。そして向こうの方を見てみると、局所的にかなりの雨(雪かも)が降っているのが見えました[⑫]。降っているところだけ視界が遮られていて、降っていないところとの違いは一目瞭然。

 出雲市駅は高架となっているため、高架橋を駆け上がっていきます[⑬]。江津からここまでの区間では、雪はほとんど見られませんでしたが、出雲はかなりの残雪がありました。江津から1時間ちょっとで出雲市に到着です[⑭]












 2分の待ち合わせで特急やくも16号に乗車し、島根県の県庁所在地である松江を目指します。車両は381系で、やくも号は、JR西日本で運転される特急列車としては、唯一国鉄時代に製造された車両が充てられるものとなりました。車両そのものは時代遅れの遺物ですが、やくも号で使用される381系は、全編成が「ゆったりやくも」として更新されているため、座席等は改められています[①]

 直江を通過します[③]。ホームの屋根がないところは、一面が雪に覆われていて、線路も含め、辺りはすっかり銀世界になってしまっています。極端に海に近い区間が終わり、内陸の方に入ってきたことで、降雪量が多くなっているようです。

 ちなみに、乗車券と特急券の検札があったときには、車掌が「うわ、すっげぇ乗車券だ」と反応しました。この旅をする中で、何人もの駅員・車掌に件の出札補充券を見せましたが、それに対する反応というのは本当に三者三様で、ビジネスライクに無関心を貫く人もいれば、一瞬固まる人もいますし、興味津々に「いったいどんな旅をしているんですか?」といった反応を示す人もいます。

 宍道は、木次線と接続する駅です[④]。当初の予定では、木次線を経路上に組み込む予定でした。しかし、皆さんもご存じのとおり、木次線は”冬眠”を起こす確率が非常に高く、2月の旅となると、それに遭遇する確率も高いものでした。そのため、最終的には木次線を経路上から外しました。また、実は三江線も外すプランも用意していました(結局組み込みましたが)。

 現在の381系「ゆったりやくも」は、普通の横引き式のカーテンですが、落成当初の381系は、二重窓の間に組み込まれたベネシャンブラインドを、窓の隅につけたハンドルを回して開閉するという仕組みをとっていました[⑤]。そのため、かつてハンドルが取り付けられていた痕跡が、現在も残っています。普段はカーテンに隠れていますが、やくも号にご乗車の際は、是非観察してみてください。

 振り子式車両として低重心化を達成するために、381系では、通常は屋根上に載せる空調装置を床下に取り付けました。とはいえ、当然ですが、冷暖房は床からは出せません。そのため、車内には、冷暖房を天井まで上げるダクトが立ち上がっているのですが・・・、その位置に当たった座席では、窓側の席がなく、通路側のみとなっています[⑥]。「一人掛け席」として、一部で人気があるとかないとか。

 出雲市から26分で松江に到着[⑦]。せっかくの381系、もう少し乗っていたいところですが、致し方ありません。












 松江駅にやってきました[①]。文字通りの島根県の代表駅で、全ての列車が停車する駅です。主要な駅ということで、ホームの有効長は14両分くらいはとられているようですが、現在松江に発着する列車で、一番編成が長いのは、7両で運転されるサンライズ出雲号でしょうか?[②] やくも号は4両ないしは6両で、普通列車に至っては、とりわけ日中は2両編成がいいところです。

 松江駅前[③]。松江は、通り過ぎたことは何回かありますが、こうして実際に下車するのは、今回が初めてです。これはある程度の理由があり、ひとつは、松江が山陰本線単独の駅であるために、路線乗り換えのために下車をすることがないということと、もうひとつは、特急列車で松江を終点とするものがないことです。そうすると、特急に乗る率が高い私としては、松江はただの途中駅になります。

 人口は約20万人で、県庁所在地としては小規模な松江市[④]。まあ、正直なところ、駅前を見てみても、「賑わっている」とは言い難いものがありますよね。平日の真っ昼間となれば、致し方ないところもありますけれども。一方、松江駅については、14両に対応する長いホームがあるほか、新幹線の駅を思わせるような高架駅となっていて、島根県の代表駅として威容を持っています[⑤]

 「県庁所在地の代表駅では、少なくとも30分以上の滞在時間を確保すること」という基準のもとで今回の旅程は練り上げられましたが、全体での乗り継ぎの都合上、松江は、20分にも満たない時間しか確保できませんでした。12:00着の特急やくも16号で降り立ったばかりですが、12:19発の快速アクアライナー号に乗車し、先を急ぎます(12:35発のスーパーおき2号では、この先の乗り継ぎが成立しない)[⑥]

 ・・・と、ここで「あれ?」と思われた方もいらっしゃるかと思います。米子行きのアクアライナー号って、さっきも乗っていた列車ではないか、と。実はその通りで、これから乗車するアクアライナー号は、先ほど江津〜出雲市間で乗ったものと全く同一の便なのです。

 アクアライナー号は11:32に出雲市に到着し、11:34発のやくも16号を先行させたのち、11:38に発車します、そのため、出雲市で先ほどのような乗り換えを行うことにより、全く同じ列車に2度乗るという芸当が実現しました。時刻表上では、そういった乗り方ができる事例はいくつもありますが、それを実践することはまずありませんよね。だって、今回のような変な旅でもしない限り、その必要性がありませんから・・・。


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