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 智頭行きの普通列車に乗車します[①]。鳥取発智頭行きで、全区間がJR因美線となりますが、HOT3500形による運転でした。智頭急行線に乗り入れない、JR線内だけの間合い運用も持っているようです。

 鳥取を発車すると、山陰本線と分かれて、南に進路を取ります[②]。鳥取駅は高架化されていますが、それは最近になって行われたものではなく、1978年11月には完了していました。つまり、今年は、高架化がなされてから40年目という記念すべき年です。

 最初の停車駅、津ノ井では8分停車し、下りの特急スーパーいなば号と列車交換を行います[③]。スーパーはくと号が基本5両編成であるのに対して、こちらは2両編成なので、すれ違ってもどこか「物足りなさ」があります。まあ、「特急列車とは長大な編成であるべきだ」なんていうのは、きっと時代遅れの考え方になるのでしょうけれども。

 ワンマン運転時の後方視界の確保のために、HOT300形では、前面窓の脇にミラーが取り付けられています[④]。この列車も現にワンマン運転なのですが、運転士がいるのは当たり前のこととして、それ以外にも2人の乗務員がいるのが確認できました。見た感じでは、そのうちの1人は運転士の指導役(運転士は経験が新人のように思われました)、もう1人は便乗のようでした。

 郡家では5分停車し、その間に下りのスーパーはくと号と行き違います[⑤]。6両編成での運転だったので、これは「すれ違い”甲斐”」がありました。また、15:43〜15:48にかけて郡家に停車する間に、若桜鉄道の列車が15:46に到着し、同列車と接続しているのですが・・・、まあ高校生が降りてくるわ降りてくるわ[⑥]。ただ、こちらに乗り換えてくる人は少なく、多くはそのまま郡家で出て行きました。

 16:04に到着するのは用瀬です[⑧]。普段は普通列車しか停車しませんが、駅舎の扉の脇に「流しびな〜用瀬」と大きく掲げられているように、一大行事である流しびなが開催される日には、スーパーはくと号・スーパーいなば号がそれぞれ臨時停車します。

 ここで鳥取行きの普通列車と行き違いましたが(もう3回目ですね)、その列車にはキハ47形が使われていました[⑨]。正直、私は驚きました。てっきり、因美線の列車に使われるJRの車両というのは、キハ120形しかないと思っていましたから。しかし、実際には、更に驚くべきことに、1日に1往復のみではありますが、キハ121系による列車もあるようです。

 列車は鳥取市内を走っていますが(鳥取を出ると、いったん八頭町に入りますが、また鳥取市に戻ります)、市街地はすっかり遠くなり、だんだんと山がちになってきました[⑩]。因美の「因」を冠する因幡社も、駅周辺はこのような環境になっているのですが、一応、鳥取市内です[⑪]。広域な市町村合併により、「明らかに田舎だけど住所は都会」ということは、今ではそれほど珍しくありません。

 故郷というやら、里山というやら、極めて日本的な風景が広がる因美線を進み[⑫] [⑬]、列車は終点の智頭に着きました[⑭]。私は引き続き因美線を進んでいきますが、智頭を跨いで走る列車は1日に0.5往復しかなく、基本的には智頭での乗り換えが強制されます。
















 津山行きの普通列車に乗り換えます[①]。車両はキハ120形で、私にとっては、「これでこそ因美線」という感じ。

 2016年度は大変な豪雪に見舞われ、2017年1月24日には、過去最大となる積雪深111cmを記録した智頭町ですが、今はさほど雪は積もっていないようです[②]。平均では11cmの積雪があるとのことでもありますが、大部分で地面が見えているので、その雪は平年よりも少ないと見えます。まるで雪解けが進んだ春の風景のようです。

 那岐〜美作河井間は10kmの駅間距離があり、所要時間も18分とやや長めです。この区間で鳥取県から岡山県に移りますが、県境を越えるということで、その環境は例によって険しく、ここに因美線としては最長となる、全長3077mの物見トンネルがあります[③]。なお、トンネルは県の境界線を跨いでいるので、トンネル内で県が変わるということになります。

 長いトンネル(といっても、せいぜい3kmですが)を抜けて岡山県に入ると、そこには雪深い景色が広がっていました[④] [⑤]。降雨量が少なく、晴れる日が多いということで、「晴れの国」を謳う岡山県ですが、県北部(津山・新見など)は、冬になれば雪は当たり前のように降ります。本当によく晴れるのは、あくまでも瀬戸内側の話です。

 美作加茂に到着しました[⑦] [⑧]。かつての急行停車駅であり、列車交換が可能な構造となっているほか、津山〜美作加茂間のみの区間運転列車が、1日に3往復設定されています。駅舎は2003年に建て替えられた比較的新しいものですが、ホームとそこにある構造物は往年の雰囲気を色濃く残していて、「智頭・鳥取方面」と書かれた表示が、鳥取まで直通する列車があった時代を偲ばせます[⑨]

 駅構内の側線に除雪用のモーターカーが留置されていました[⑩]。現在の美作加茂駅周辺には、線路での積雪は全くありませんが、いざというときにはこれが活躍するのでしょう。それこそ、2016年度の冬にはだいぶ役立ったのではないかと思います。

 智頭行きの普通列車がやってきました[⑪]。これと行き違いをして、列車は引き続き津山を目指して進みます。












 いま乗車している津山行きの普通列車の乗客は、全員地元の中高生という感じだったのですが、土師で2人降り、那岐で2人降り、美作河井で1人降り、先ほどの美作加茂でようやく1人乗ってきたものの、それと引き換えに4人が下車する・・・という乗客数の変移をし、列車はすっかりガラガラになってしまいました[①]。そんな車内に夕陽が差し込むと・・・、良い雰囲気でしたよ。

 1928年の駅開業時からの木造駅舎が現在も残り、その駅舎が「男はつらいよ」の撮影にも使われたことで名高い美作滝尾駅[②] [③]。外観だけを見れば、「廃線になった路線の駅舎が、今でも保存されているのかな」というようにも見えてしまうくらいに古びていて味がありますが、立派な「現役の駅にして現役の駅舎」です。

 因美線の智頭〜東津山内には、JR西日本のローカル線ではお馴染みの25km/h制限が随所にあります[④]。特急列車が通過する鳥取〜智頭間には、さすがにそのような区間はありませんが・・・。因美線も津山線も、単線非電化のローカル線ですが、もし本気で線形改良等を行って高速化をすれば、岡山〜鳥取間は、今でも両線経由が主役だったかもしれません。

 だいぶ陽が傾いてきました[⑤]。空の青は薄く、雲は夕焼け色を宿し、山の稜線は美しく。山間部を走るローカル線ののんびりとした雰囲気によく似合う、平和で穏やかな時間を演出する景色です。

 東津山駅の手前で姫新線(右側)と合流します[⑥]。因美線と姫新線は、合流して一瞬だけ単線になるものの、東津山駅は相対式2面2線なので、すぐにまた2線に分かれます。東津山〜津山間は姫新線なので、因美線の正式な区間というのは、鳥取〜東津山間となります。

 17:37、列車は終点の津山に到着しました[⑦]。降車した乗客は、私を含めて僅か3人でした。東津山で唯一の他の乗客が降り、「ああ、いよいよ自分ひとりの貸し切り状態になったか」と思いましたが、発車する直前に2人の乗車があり、結局合計3人となりました。


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