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このまま茅ケ崎まで突っ切ると、その後の旅程に不都合が生じるので、ちょっとした時間潰しをするために、ここ入谷で下車してみました[①]。下車するところに入谷を選んだのは、「相模線の中では、最も秘境駅っぽい感じがするから」。まあ、実際には、全然秘境駅でも何でもないのですが、1日の利用客数は、相模線としては最少です。 ホームから西の方角を見てみると、そこには、箱根の山々が聳えていました[③]。山頂付近には雪が積もっているようです。いま、街ではあらゆる人々が働き、経済が動いていますが、そのような中で、山をぼーっと見つめるという”幸せ”(平日の真昼間に!)。その贅沢さは、社会人になった今になって、改めてよく分かりました。 たくさんの自転車が停められている駅前[④]。いくら「相模線では最も利用客数が少ない駅」といっても、1,000人はあるので、地方のローカル線よりかは、はるかに「都市の路線」をやっています。とはいえ、ホームは1面1線の単線で、駅舎は存在せず、道からそのまま階段やスロープで上がりつけるという構造になっています[⑤]。 入谷駅はなぜ秘境駅感があるのか。それは、ひとえに、その周辺環境にあります。入谷駅の周辺は、「農業振興地域」に指定されていて、農地以外としての使用に対し、厳しい制限がかけられています。そのため、駅からある程度離れたところまで行けば、普通の住宅街が広がっている一方で、駅の近くは、農地がそのまま残されているのです[⑥]。 そのようなわけで、ここには、車が乗りつけられるようなロータリーはなく、駅には、用水路を跨ぐ細道を通っていくことになります[⑦] [⑧]。そこらへんの道で降車させること前提に、自動車で送迎をする人も、いることにはいるでしょうが、それでも入谷駅においては、やはり自転車とバイクが主要な乗りつけ手段になります。 駅の近くを通る道路は、いかにも”農道”といった風情で、制限速度も30km/hです[⑨]。こうしたわけで、入谷駅は、農地の真ん中に駅だけがポツンと残されたような環境に立地する、長閑な雰囲気を湛える駅となりました。 次の普通列車に乗車し[⑪]、隣の海老名で降りました[⑫]。ここでもう一度時間調整です。 |
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海老名にやってきました[①]。相鉄線と小田急線としての駅の印象が強く、JRの駅は、ちょっと影が薄いかもしれません。現に、JRの海老名駅は、1987年3月21日の国鉄末期に開業したもので、相鉄と小田急が1941年に開業していたのと比較すると、歴史がかなり浅いです。ただし、両社との乗換駅として機能することもあってか、利用客数は、相模線の途中駅では最多です。 JR海老名駅構内の脇を通過する、単線の線路[②]。ホームはなく、相鉄線とも小田急線とも離れているので、いわば”謎の線路”という肩書が似合いそうなものですが、これの正体は「相鉄厚木線」。海老名駅の手前にある相模国分信号場から、JR厚木駅の脇にある厚木操車場に至る路線ですが、旅客営業は行っていません。そのため、路線図等には登場しません。 JRの駅と相鉄・小田急の駅は少々離れていて、同一駅舎内での乗り換えはできません。一度改札の外に出て、自由通路を270mほど歩いていく必要があります[③]。相模線と相鉄線の乗り換えであれば、それでもこれを使うほかありませんが、相模線と小田急線の乗り換えであれば、ひとつとなりの厚木駅を使うという手段もあります。そちらの方が乗り換えは便利です。 海老名駅の入り口[⑤]。改札口の上に、「左の通路270m先 相模鉄道 二又川・横浜 小田急 新宿・小田原」」と書かれています。それらの会社の海老名駅と間違えてこちらに来てしまう人が、少なからずいるのかもしれません。 相鉄厚木線を自由通路から見た図[⑥] [⑦]。線路は東西方向にまっすぐと伸びていて、駅の東側で相模線がややカーブしていることとも相まって、何らかのJRの本線かのようにも見えます。現在は、厚木操車場に留置する車両の回送に使われるほか、相模線を経由して甲種輸送される相鉄線用の車両を搬入する際に使われているようです。 遠くに見える箱根の山々[⑧] [⑨]。海老名駅の西側は、まだ開発が進んでおらず、大きな建物はさほどないほか、農地が残存しているので、山の姿がよく見えます。海老名駅は、以前は特急ロマンスカーは通過していましたが、現在は停車する便もあるので、ここから箱根方面へ行くのも便利になりました。 開発がさほど進展していない西側とは対照的に、東側は、著しく発展しています[⑩]。高層マンションや商業施設がいくつも立ち並び、非常に活況を呈しています。同じ駅の東西で、片や都市として発展していく姿と、片や開発以前の長閑な風景を色濃く残す姿の両方があって、なかなか興味深いものです。 海老名駅は、小田急線と相鉄線の結節点に設けられただけの駅で、開業当初は、駅周辺に集落はありませんでした。開発が進み、周辺の市街化が進んだ主要駅でありながらも、駅のすぐそばに車両基地があるというのは、開業の生い立ちを感じさせるものがあります[⑫] [⑬]。普通、街のど真ん中には、駅はともかく、車両基地までは置けませんからね。 では、次の列車に乗りましょう[⑭]。10:57発の茅ケ崎行きに乗ります。 |
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海老名の次は厚木ですが、単線の線路の両側にホームがあります[①]。このホームは、写真の通り、右側にあるものが現在使用されている正規のホームで、左側にあるものは、既に使用を停止した古いホームです。かつては左側のホームが使われていましたが、構内踏切を経由しなければならず、バリアフリー上不都合があったので、駅舎から直接上がれる右側のホームが作られました。 倉見駅付近で、東海道新幹線の線路と交差します[②]。実際、倉見は、新幹線の線路に非常に近いところにあり、新幹線の駅を設置すれば、十分に同一の駅として運用できるくらいです。新横浜〜小田原間は51.2kmの駅間距離があり、倉見駅は、そのほぼ中間に位置するところにあります。ここに新幹線の駅を造ろうという動きはあり、その同盟会もあります。 橋本行きの列車と行き違い[③]。宇野線ほどではありませんが、相模線も、単線の路線としては、列車本数は多い方だと思います(朝には1時間あたり5本が走ることも)。電化が第一の革命でしたが、第二の革命は、やはり複線化でしょうか。現実を見ると、複線化が成し遂げられることよりも、倉見駅に新幹線の駅ができる可能性の方が高そうですが。 東海道本線と合流し、終点の茅ケ崎に到着します[④] [⑤]。これで橋本〜茅ケ崎間を結ぶ相模線への乗車が完了します。 |
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