目が覚めると、外は既に明るくなっていて、もうそろそろ熱海に到着しようかというところを走行していました[①]。床に就いたときは外は真っ暗だったのに、目覚めてみると、外は明るくなっていて、しかも走っているところも全然違う。まさに夜行列車の醍醐味です。ワープでもしたのかと思わせるこの出来事は、何度経験しても、一種の感動を覚えます。
5:43に到着する熱海は、JR東海とJR東日本の境界駅です。ホームの駅名標はJR東日本様式のもので、私に「あぁ、戻ってきたんだな」と思わせ、旅という非日常的な世界にいる自分を、徐々に”現実”へと引き戻していこうとします。
熱海を出ると、次の停車駅は横浜です。一路東海道本線を上り続け、横浜に近づくと、岡山発車後の放送をもって休止していた車内放送が再開され、まもなく横浜に到着するという放送が流れます。そして6:44、横浜に到着[③]。見慣れた駅名標にE217系という見慣れた車両、聞きなれた駅の自動放送。あらゆるものが、JR東日本の「見慣れたもの」となり、旅の終わりが近づいていることを実感します。
E217系はともかくとして、山手線のE231系500番代を見てしまえば[④]、もう旅の終わりがすぐそこにあるんだな、と思わずにはいられません。幸い、寝台列車であるサンライズ出雲号に乗っているという事実が、まだ何とか「旅気分」を維持させてくれますが、窓一枚を隔てて向こうに展開する”見慣れた風景”は東京に到着し、列車から降りてしまえば、すぐにでも私を包み込みます。
旅が終わるまであと何分か、というより、見慣れた風景に取り込まれてしまうまであと何分か。個室内にある時計は着々と時を刻み、東京到着の7:08へと近づいていきます。
車内チャイムが流れ、終点東京到着の車内放送が流れます。降りる支度をして、通路へ出て、そしてデッキへ。既に他の乗客たちがデッキで終点東京への到着を待っていました。列車は速度落とし、ゆっくりと東京駅9番線へ・・・。
7:08、列車は終点の東京に定時に到着しました[⑤]。列車から乗客が次々と吐き出され、東京駅9番線に降り立っていきます。これにて今回の旅は終了となりますが、その具体的な実感はありません。しかし、後はただただ自宅へと戻っていくだけです。
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