全長676キロの「偉大なるローカル線」
日本最長路線・山陰本線を乗りつくす旅−14


ホテル/益田→東萩
2010年8月22日
翌朝。目覚ましは6時に設定していましたが、それより少し早い5時55分ごろに起床しました。

朝焼けの光を浴びる益田駅。さて、今日は昨日乗車することができなかった、残りの区間を乗車して、山陰本線の全線乗車を果たしましょう。
ホテルの部屋からも、かな〜り微妙にですが、日本海が見えます。
ホテルでバイキングによる朝食を済ませ、チェックアウトもしました。
ここから旅はまた再開です。

ただ全線乗車をするだけなら、もう2時間出発を遅らせることもできるのですが、まぁいろいろと計画があるので、早めに益田駅を出発します。

ちなみに、どうでも良いことですが、部屋の冷蔵庫に缶コーヒー忘れてきました(笑)
今日8月22日に乗車する最初の列車は、7時50分発の長門市行き。

山陰本線の益田〜東萩間は、山陰本線の中でも極端に本数が少ない区間のうちの1つで、益田駅を出る下り列車は、1日僅か9本しかありません。
この7時50分発の次の列車も9時53分発と、約2時間、間が空きます。

後者でも全線乗車は果たせますが、ある駅で下車をする、という計画を叶えるために、それよりも約2時間早い、7時50分発の列車に乗車します。
キハ126系とキハ40系の並び。
こうして見てみると、ストレート車体でステンレス製のキハ126系は一見、通勤型の気動車に見えなくもないような気がします。

通勤型気動車と言えば、キハ30系とキハ38形の2系列4形式しかないのですが、通勤型が必要なほど混雑の激しい路線は電化されてしまった現在、今後通勤型気動車が登場する可能性はほぼ皆無でしょうね。

さて、その通勤型気動車たちも、通勤型車を必要としないような久留里線だけに集められて運用されていますが、キハ110系に置きかえられる日も近いような気がします。
側線にはキハ120形が留置されていました。

姫新線の津山〜新見間で1度だけ乗車したことがありますが、それが今のところ最初で最後のキハ120形への乗車となっています。
私が乗車する7時50分発の長門市行きは、奥の3番線に停車していました。車両は1両編成のキハ40形です。

益田〜東萩間の列車の本数の少なさ、そして編成は1両という列車を見ると、その区間の輸送量がいかに少ないのかを窺い知ることができます。

一口に「山陰本線」と言っても複線電化のところもあり、単線非電化のところもあり、やけに本数が少ない区間もあったりと、色々な「表情」を持っています。
それこそが、山陰本線が持つ謎魅力、そして「偉大なるローカル線」と呼ばれる所以でしょう。
車内はがらがらで、楽々クロスシートに座ることができました。

向かいの座席の背もたれには、朝日でできた窓枠の影が映っていました。
さすがに幻想的とまでは思いませんでしたが、ちょっと気に入りました。
天井を見上げてみると、上の方は結構ごちゃごちゃしていることが分かりました。

冷房の吹き出し口があるところは網棚の荷物を置ける高さが低くなり、またあるところには広告があり、そして吊り革。また扇風機があって、その右側にはなぜか段差。

最近は外も中も綺麗な車両が多いですが、キハ40系のような見た目に無骨さがある車両は、中もこれくらいごっちゃとしていて無骨な方が・・・、ね。
山陰本線1565D (キハ40系)
益田(7:50)〜東萩(9:03)
私を含めて3人という、本当に僅かな乗客を乗せて益田駅を出発。
なるほど、列車の本数が少ないのも納得・・・、というところ。

益田駅を出ると、まずは川をひとまたぎ。次の駅は戸田小浜駅ですが、益田駅からは約9.8キロの距離があり、所要時間も10分と結構かかります。
はまかぜ1号、スーパーまつかぜ7号と共に山側のD席が指定されてしまい、日本海を見られなかったのですが、今回は絶対に最初から見てやろうと、A席に座りました。

ずっと草木を見せ続けられるのと、海を見せ続けられるのと。前者には前者ならではの良さがあるのは分かりますが、やはり後者に決まっています。

道路を挟んだ向こうには雄大な日本海。終わりの見えない水平線。
画用紙や鉛筆とかがあったら、すぐにでも写生したかったです。
10分で戸田小浜駅に到着。今でこそ、山陰本線の列車の本数が少ない区間の小さな1駅に過ぎませんが、かつて2年3か月ほど、山陰本線の終着駅だったころがありました。

今となっては、その面影はどこにも感じません。
かつては終着駅で、そののち路線の延伸で途中駅となった後も、終着駅だったころの雰囲気を残している駅は、東北新幹線の上野駅くらいでしょうか。

「北の玄関口」という、死語になりそうでならない、いつまでも残しておきたい素晴らしい言葉に守られているのかもしれませんね。
海や川の絵を描けと言われたら、だいたい水は水色や青色で描くところでしょうが、実際にそういう色をしている海などは実に限られていると思います。

泥水のような海水が来ているところも結構ありますからね、特に人が普通に行くことができる海水浴場などでは・・・。

でも、これだったら水色で描いても良さそうです。いわゆる「ただの水」のように本当に透明。
これほど綺麗な海を見たのは人生で初めてです。今まで持っていた「海」に対する印象が大きく変わりました。
これほど素晴らしい車窓を眺めたのは、結構久しぶりな気がします。

最後に見た「これは凄いぞ!」と思えたような車窓と言えば、1年前の九州旅行で、ドリームにちりん号の車内から見た、朝日が昇る海以来でしょうか。
「何だ、結局同じ海か」と言われてしまいそうですが・・・(笑)

でも本当に綺麗でしたし、夜行列車の醍醐味を感じるような車窓でした。忘れられません。
しかし、山陰本線の線路もず〜っと日本海に張り付くようにはなっておらず、ところどころ、このように少し内陸に入って、田園風景を眺めるようにもなります。

これもこれで素晴らしいですが、田園風景は見ることができる路線に際限がないので、印象はやはり海に比べればちょっと弱いかな・・・、というような気もします。

2日目の移動が始まりました。しかし、旅はまだ「中盤」というところ。
まだまだ旅は続きます。

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