全長676キロの「偉大なるローカル線」
日本最長路線・山陰本線を乗りつくす旅−17


飯井→長門市/長門市〜仙崎/仙崎駅
11時26分発の1571Dがやってきました。首都圏色のキハ47形と、黄色塗装のキハ47形の色違いの車両の混結でした。

乗った人は私だけで、降りた人も誰もいませんでした。

飯井駅での滞在時間は40分だけとちょっと短く、結果として日本海を見るだけになってしまい、集落の方を歩いたりはできませんでした。

まぁ、今回こうして訪れてみて、いつか飯井駅にまた来たいと思いましたから、そのときにはもっと時間をとって、海以外も見て回りたいですね。本当にいい駅でした。
山陰本線1571D (キハ40系)
飯井(11:26)〜長門市(11:39)
私だけを新たに乗せた列車はすぐに発車。先ほどまでいた海も、もちろん車内から見えました。

飯井駅で下車して、そして日本海のすぐそばまで行ったときは、ただ「綺麗だよな、凄いよな」とだけ思っていましたが、よく考えてみれば、そこは本州の端だったということですよね。

ちょうど本州の陸が途切れる、その真際にいた。
そう思うと、「えらいところにいたんだな」という思いが急に湧いてきました。
長門三隅駅に到着。上り列車を待っている人は何人かいましたが、下り列車の1571Dには1人しか乗車してきませんでした。

次は終点の長門市。山陰本線の起点・京都駅から599.6キロにある駅です。
11時39分、終点の長門市駅に到着。所要時間は13分でした。
このときは、長門市駅で接続している美祢線が台風の影響でバス代行輸送を行っていたため、ホーム上で「美祢線ご利用のお客様はいらっしゃいますか〜?」と駅員が呼びかけていました。

私も「美祢線を利用するか」と尋ねられましたが、「いや、ここで途中下車します。」と。
・・・まぁ、厳密にはちょっと違うのですが(笑)

しかし、美祢線は扱い上は幹線ですが、ローカル線の1つですし、幹線に指定した拠り所の貨物列車の本数も、今では1日1往復。

復旧の目処も立っていないということですから、何だか廃線・バス転換されそうな気もしないわけではありません。JR西日本では「廃線はない」としているようですが・・・。
駅名標。長門市駅は山陰本線、その支線、美祢線の都合3路線が集まる駅です。

今回の旅は「山陰本線の全線乗車」が目的ですが、支線(仙崎支線)も乗らなければ、全線を乗車したことにはなりません。その仙崎支線が今回、厄介な存在でした。

仙崎支線の本数は1日6往復と、山陰本線の中でも1番本数が少ない区間です。
一応、この後に12時52分発の列車がありますが、それだと仙崎駅での滞在時間は、わずか7分しか取ることができません。

そこで思い付いたのが、仙崎駅まで歩いていくということ。
「長門市〜仙崎間の1区間分だから不可能ではないはず」

というわけで、今から仙崎駅まで猛暑の中を歩きます(笑) 倒れたりしないかな?
有効長の長いホームは、かつて長編成の列車が来ていたころを思わせます。

しかし、今は1両や2両、長くても4両くらいでしょうか?前後ともに相当余ってしまうことは間違いないと思います。
途中下車をして、改札外に出てくると、何やら面白いものがあったので見てみました。

”牛乳パック製トレインシリーズ第11弾”

どうやら、牛乳パックでショーケース内にある車両を全て作ったということのようです。どれも実車の特徴を良くとらえていて、思わず見入ってしまいました。

しかし「11弾」ということは、以前にも10回、牛乳パックで車両を作ってみて、それを長門市駅の駅舎内で展示していたということですよね。す、凄い・・・。

で、桃色のコメント欄を読んでみると「山口県内の山陰本線は近代化が遅れている」という、制作者の方のさりげないJR西日本への皮肉の一言がありました(笑)
さてさて、仙崎駅へと向けて歩くことにしましょう。

駅前に、私を誘惑するかのようにタクシーが停まっていましたが、タクシーを使って行くくらいなら7分しか向こうでの時間が取れなくても列車の方が良いですし、それに「歩いていく」と最初から予定していたわけですから、暑いのも我慢して歩きで行きます。

事前の調べては、仙崎駅まで歩いて行くと約45分程度の所要時間と言うことが分かりましたが、この猛暑、そして荷物もたくさんありますから、それ以上にかかるかもしれません。
まずは右に曲がって、山陰本線で言えば飯井駅方面に向かって歩いていきます。

荷物がとてつもなく重いので、数分間隔で右手に持つものと左手に持つものを入れ替えたり、少し休憩したりして、ゆっくりゆっくりと歩を進めていきます。

ちょうど昼食を食べるような時間ということもあってか、近くの「ほっ○もっと」で弁当か何かを買ったと思われるJR西日本の社員と2人ほどすれ違いました。

・・・昼食?あれ、そういえば自分の昼食については全く考えていなかったかも。
しばらく歩いて行くと、やがて道から日本海が見えるようになりました。

仙崎駅まで歩いていくことにしたのは、向こうでの滞在時間を取りたいということもそうでしたが、地図を見てみると、歩く道から日本海が見えることが分かったからです。

もしタクシーやバスに乗っていたら、止まってゆっくり日本海を見たりはできません。
歩きだからこそできる嬉しい「特権」です。
相変わらず、本当に水が綺麗です。水が道のそばまで来ているわけではなかったのですが、飯井駅近くで見た日本海とは、また違った良さがありました。

こういった光景は、もう今回の旅だけでも何度も見てきましたから、「まだ飽きないのか」と言われそうですが、これが本当に飽きません・・・(笑)
「海の目の前にある駅、仙崎駅」であれば、ちょっと面白かったですが、残念ながら仙崎駅は海からは離れた内側の方にあります。

「よし頑張って歩くか!」と意気揚々と長門市駅を出発したまでは良かったのですが・・・、あれ、2.2キロ(たしか)ってこんなにも長いものだったか!?

歩けど歩けど、駅舎の姿すら見えてこないので、どんどん嫌になってきます。
「ほぇ〜、ひぇ〜まだかなー・・・?おっ!」

歩きに歩いて約35分、ようやく仙崎駅に到着しました。
約45分かかるとの試算が出ていたわりには、10分も早く到着しましたね。しかも度重なる休憩をしたり、日本海を見るために立ち止まったりして。

近くにコンビニでもあれば、そこで昼食を買って、次に乗る列車までの間に食べておこうかと思いましたが、近くにそのようなものは見当たらず。

料理屋はありましたが、そこで食べて次の列車に間に合うかどうか自信がなかった(待ち時間が読めないのが一番厄介)ので、結局昼食を今食べるのは放棄しました。
駅舎は一見、木造のように見えますが、実際は鉄筋コンクリート造。

しかし、見ての通り木材を貼り付けているので、一見だけでは、これが木造でないことを見抜くというのは結構難しいと思います。(私も調べてみるまで木造だと思っていた!)

全長676キロ(仙崎支線を含む)の山陰本線にあっては、仙崎支線はその約0.3%にあたる2.2キロしかありません。
そんな仙崎支線の終点、仙崎駅。僅かしかない「本当に線路が途切れる終着駅」の1つです。
現在時刻12時28分、次に乗車する「みすゞ潮彩号」の発車は13時03分。

時間を潰す手段も思いつかないので、とりあえず駅舎内に入ってみましたが、入ってみるといきなり金子みすゞのモザイクアートがお出迎え。

この仙崎という場所は、詩人・金子みすゞの出身地であり、金子みすゞという存在が、この地域の大きな観光資源になっています。

みすゞ潮彩号は専用車両を使用した観光列車。
この列車で、山陰本線の終点、幡生駅を目指します。

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