●1月4日●

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 翌日。早朝5時にはホテルをチェックアウトし、久慈駅へとやってきました。早朝5時過ぎからもう行動を開始するというのは、これまでの旅を振り返っても例がなく、最も早い記録のようです。

 これから八戸線の列車に乗るので、やってきたのは、久慈駅は久慈駅でも、JR東日本の駅舎[①]。何せ冬なものですから、5時過ぎくらいでは、日の出が早い東日本と言えども、まだまだ真っ暗。駅前もタクシーが3台待機していたというくらいで、一般の車や、歩く人の姿は全く見られず[②]。早朝ということもあるのでしょうが、とにかく寒かった寒かった。昨日や一昨日の青森よりもよっぽど寒いです。なまじ雪が降っていないのも一因か。

 駅舎の中にも誰もいませんでした[③]。これから乗車するのは、久慈駅から出る八戸線の列車の初発である、5:14発の八戸行きです[④]。この発車時刻表にあるように、5時台というのは唯一、2本以上の列車が発車する時間帯で、それ以外はあっても1時間台に1本、列車が全く発車しない時間帯もあります。7時台、8時台、9時台は、3時間台連続で列車がありません。

 改札口を抜けてホームへ。改札口で切符の確認にあたった駅員から、「2番線の”前の方”に停車している車両に乗ってください」と言われましたが、さて、前の方とは何ぞや?

 ホームに出てくると、1番線と2番線の両方に車両が停車していました[⑤]。そして2番線に停車している車両に注目してみると、前の方で、扉が開いていることを示す、赤く光る側灯が見えますが、手前にある車両の側灯は点灯していません。実は2番線には、2つの編成が縦列停車していたのです。

 1つの番線に2つの編成を縦列で停車させるということは、松山駅でしおかぜ号と宇和海号が接続をとるために行っている例があります。


















 もう1つ特記しておくべきことがありました。実際に5:14発の八戸行きとして走る、2番線の前寄りに停車していた車両は3両編成でしたが、1番前側の車両は一部がホームからはみ出していて、ドアカットが行われていました[①]。3両編成なのに、写真に写っているように、側灯が2個しか点いていません。2つの編成の位置をもう少しうまく調節すれば、ドアカットしないで済むようにも見えましたがね。

 予想はしていましたが・・・、この424Dには、私以外の乗客は誰1人としていませんでした[②]。前から後ろまで、3両全車を確認してみましたが、乗っていたのは私1人だけ。まあ、まだ冬休みの1月4日に、こんな早朝の列車に乗る人はそう居やしないだろうとは思っていましたが・・・。以前、1両編成の列車で貸切状態ということはありましたが、3両に及ぶ編成の列車で貸切状態というのは初めてです。

 で、結局本当に乗客が私1人という状態で、列車は久慈を発車しました。白色蛍光灯が煌々と光る車内、しかし外は真っ暗。車窓もろくに見られませんし、八戸線は昨日既に全線乗車しています。ということで、持参してきた本を読むことにしました[③]。あまり厚みがない本で、内容も分かりやすい平易なものだったので、意外とのめり込んで、どんどん読み進めていってしまいました。

 6:14に到着するのは階上[④]。久慈から1時間の所要時間で到着です。さすがに、ここに至るまでの途中の駅で、少しは人が乗ってきました。ここでは、下り列車との列車交換のために10分ほど停車します。そこで列車の外に出てみましたが、少し雪が降っていました[⑤]

 「10分も停車時間があれば駅舎の撮影までもできるだろう」ということで、駅の外に出て、駅舎の撮影もしておきました[⑥]。列車から出てホームに出ただけならまだしも、駅の外にまで出てきては、もう完全に”下車”です。この階上駅に停車している間に、空が明るみ始めました。

 さて。今日はまず五能線の全線乗車を果たしますが、五能線は強風などによる運休が多発しやすい路線。冬季はその頻度が格段に上がります。万一、五能線が運休になったり、あるいは後で私が乗車するリゾートしらかみ2号が運休したりするとなると、あけぼの号が遅れてその後の予定を構成し直さなければならなくなったように、また時刻表とにらめっこが始まります。

 そのため、八戸へ向かうまでの間、十数分おきにJR東日本の列車運行情報のページにアクセスして、五能線の運休などが発生していないかどうか、確認し続けました[⑦]。羽越本線は今日もまた強風によって列車の運行に影響が出ていたので、「五能線が列車運行情報のページに出てくるのも時間の問題か」などと思っていましたが、結論から言うと、五能線の遅延・運休の情報が出てくることはありませんでした。良かった。

 八戸市は港町でもあり、工業都市でもあります。八戸線の列車の車内からでも、八戸市内に入ると、それらしい車窓が見られるようになります。手前には係留してある漁船があり、一方向こうの方では、工場からの煙が上っています[⑧]。11ページ目でも書いたように、八戸市は降雪が少ない街ですが、それでもさすがに青森県、岩手県久慈市と比べると、やはり雪は多いようです。

 最後の途中停車駅、長苗代を出ると次は終点の八戸ですが、その途中で列車が停車してしまいました。停車したのは八戸”貨物”駅でした。八戸線の列車は、列車交換を行うために、旅客駅ではない八戸貨物駅に運転停車して、列車交換を行うことがあります。この停車も、そのためでした。

 下り列車が来るまでしばしの待ちぼうけ。その最中に、姿を現し始めた朝陽が、車内に差し込んできました[⑨]。昇りかかりの太陽らしい、まだ橙色がよく付いた弱い光。今日は早朝5時台から移動を始めていますが、久慈駅を出たときは、まだ真っ暗で夜中と言っても差し支えない状況でした。今ここでようやく太陽が出てきて、私もようやく「新しい1日の始まり」を実感しました。

 そして列車は終点の八戸に到着しました[⑩]。久慈から2時間5分の所要時間での到着で、「結構長い間乗ったな」という感もするのですが、何せ、久慈の発車は5:14です。時刻はまだ7:20になったばかり。まだ布団やベッドの中、という人もたくさんいるはずです。多くの人がまだ夢を見る中、重いリュックを背中に背負い、左肩にもう1つバッグをかけたオールバックの男が、まばゆい朝陽を受けながら旅路を行く・・・。















 八戸行きの普通列車から降りたら、すぐに新幹線ホームへと向かいます。7:28発のはやて93号に乗って、新青森へと向かいます[②]。9分という待ち時間は、特に鉄道に興味のない普通の人にとっては、長すぎず短すぎずのちょうど良い時間なのでしょうが、駅で写真撮影などのあれこれをしたい私にとっては、あまりにも短すぎるものです。

 どんどんその編成数と充当列車を増やしているE5系。はやて93号も、E5系による運転でした[③]。顔つき(特に運転室回り、前照灯の配置など)はE2系と非常によく似ているように思いますが、その特徴的な全長15mに及ぶ先頭部が、E2系との違いを明確にします。

 はやて93号は盛岡を6:54に発車する列車で、盛岡〜新青森間(いわて沼宮内のみ通過)の初発列車です。はやて号は基本的に全車指定席で運転されますが、1日に2往復だけ、自由席車両の設定があるはやて号が運転されます。はやて93号は、そのうちの1本です。八戸駅で、自由席の乗車口に意外なまでに人が並んでいたので、「盛岡〜新青森という区間運転の朝一の列車だが、混むのか?」と思いましたが、実際はがらがらでした。

 E5系では普通車の座席にも、グリーン車の座席にあるような枕がついていることが、登場時は話題になりましたね[④]。しかし、もうE5系にも何度か乗っていますが、どうもこの枕はいまいち私には合わないようで、高さ調節をして、少しでも快適だと感じられるような位置に調節してみても、なんとなく使っていて落ち着きません。

 いわて沼宮内は通過するはやて93号ですが、七戸十和田には停車します[⑤]。そして、トンネルを駆け抜けて新青森へ近づくにつれて、外の景色は、八戸で見た朝陽が昇る晴れ模様と少ない雪の量とは打って変わって、曇天で雪が降る天気に、いかにも豪雪地帯という雪の量になります[⑥]

 そして7:56に終点の新青森に到着しました[⑦]。私も、「この日初めて新青森に新幹線で降り立った人」の一員です。新青森方面の朝一の列車だったということで、乗客も少なく、幾分快適でしたが、今日1月4日はUターンラッシュのピーク。これから新青森を東京方面へ向けて発っていく列車は、きっと多くの人を乗せて発車してゆくのでしょう。今日は新青森駅もほぼ終日混雑するのでしょうね。



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