大館を出ると、碇ヶ関、大鰐温泉と停車して、弘前に到着します[①]。シングルデラックスの窓側は、ホーム側とは反対側だったので、どの程度の人が降りたのかは分かりませんでしたが、人口約18万人で、青森県第3位の都市である弘前市の代表駅であることと、五能線への実質的な乗り換え駅であることを考えれば、多くの人が降りたのではないかと思います。
弘前を出ると、新青森に停車して、その次は終点の青森です。終点の青森へ向けて、あけぼの号はラストスパートをかけ始めたというところでしょうか。道なき雪原を横目に、北はみちのく・青森県を走ります[②]。
青森まであと約17qのところにある、大釈迦駅で運転停車[③]。奥羽本線と言えども、単線区間は非常に多く、それゆえ列車交換のための運転停車というものも、宿命として避けられないところではあります。が、その相手が普通列車だと[④]、「こっちは特別急行列車なんだぞコルァ」と毒を吐きたくはなりますが(笑)
最後の途中停車駅、新青森駅に滑り込みます[⑤]。東北新幹線の全線開業に伴うダイヤ改正であった、2010年12月のダイヤ改正から停車するようになりました。乗継割引こそ適用されませんが、あけぼの号を新青森駅で降りて、新幹線に乗り換えて七戸十和田や八戸へ行くことも可能になりました。まあ、上野や大宮から乗ってそれをするのは、鉄道好きくらいでしょうが(秋田とかからならあるいは)。
11:08、新青森駅に約1時間20分遅れで到着しました[⑥]。この1時間20分という遅れは、残念ながら、この後の乗り継ぎを極めて絶望的にする遅れ方です。上り列車の到着を待ってから発車する(これで更に遅れが拡大しますから、結局この後の乗り継ぎができなくなることは確定しました)とのことだったので、ホームに出てきてみましたが、冷たい空気が心地良かったです。
あけぼの号でシングルデラックスとして使われる、スロネ24形550番代の個室側には、小窓が整然と均等に並んでいます[⑥]が、かつて東海道本線を走る寝台列車で使われていた、元祖シングルデラックス・オロネ25形0番代を髣髴とさせるものがあるように思います。もっとも、あちらは金帯ではなく、銀帯でしたが・・・。なお、オロネ25-0が全14室であったのに対し、スロネ24-550は11室なので、今乗っている後者の方がゆったりとしています。
巻き上げた雪が付着したのでしょうか、車両の連結面の下の配線には、雪がびっしりと付いていました[⑦]。個室内から車窓を眺めていても、結構舞い上がる雪煙が見えるものですし、車両の外側では、凄いことが起こっているのだということがよく分かります。
「あけぼの」を表示する発車標と24系[⑧]。東北新幹線が新青森まで開業したら、あけぼの号はお役御免になるのでは?という推測が、その開業前にはよく流れていましたが、実際には廃止されることはなく、それどころか新たに新青森を停車駅に加えました。寝台列車を愛するものとしては、やはり今でもこうして「あけぼの」の文字を発車標で見ることができることを、大変嬉しく思います。
新青森を出ると、次は、ついに終点の青森です。下車の支度をあらかじめ整えておいて、あけぼの号での最後の数分を、自室でソファーに身を任せながら、じっくりと味わいます。
そして11:27に、定刻から1時間32分遅れて、あけぼの号は終点の青森駅に到着しました[⑨]。強風による遅れこそありましたが、極端に大きな遅れになったり、途中で運転打ち切りになったりすることなく、終点の青森まで走ってくれたので、私としては、とりあえず一安心しました。ややもすれば不謹慎にも聞こえますが、お高い寝台料金を払ってシングルデラックスを手に入れたわけですから、遅れることで長く味わえてよかったかなー、とも。
この遅れのためか、本来ならばあけぼの号は5番線に到着するところを、この日は到着番線変更となり、6番線に到着しました。その結果、”青森駅6番線に停車するあけぼの号”という、普段は見ることのできない、貴重な光景を目にすることができました[⑩]。今回、EF64形からバトンを受けて長岡から牽引してきたのは、EF81形の136号機でした。いかつい連結器回り(136号機は双頭連結器を装備しているカマ)が特徴です。
以前は、1両のEF81形が上野〜青森の全区間を通していたので、上野でEF81形牽引のあけぼの号を簡単に見ることができましたが、上野〜長岡間がEF64形の牽引に変更されましたから、今では、EF81形牽引のあけぼの号を、茨城県に住む私が見ることの難易度は、格段に上がりました。
さて、こんな具合にして、青森駅までやってきました。1時間32分も到着が遅れてしまったため、予定していた乗り継ぎは不可能となりました。そこで、ここからはあけぼの号の車内で考えておいた代替案を用いて行動することになります。ま、旅というものは、予定通りに行かないくらいの方が、山あり谷ありくらいの方が、結果としては面白くなるものですよ。
|