当サイト 66.7‰は、前身である「大宮鉄道館」の後継のサイトとして、2010年の10月に誕生しました。
開設当初、DISCOVER どこか(当時は鉄道旅日記と称していました)で公開していた旅日記は5本しかありませんでしたが、
皆さんのアクセスや掲示板への書き込みに励まされることによってサイトの運営を続けられ、2016年5月終了時点では、
公開中の旅日記の本数は、番外編や特別編も含め、合計19本に達しています。

管理人:貫通扉が行う旅は、いったいどのような考えやこだわりによって練り上げられているのか?
「貫通扉流」の「旅の育て方」をご紹介いたしましょう。


1.未乗車の路線を発見し、乗る(もはや過去形)
 私には「JR線を全線乗車する」という夢がありました。いつごろからそのような夢を持ち始めたのかは定かではありませんが、ある日、旅を繰り返して「自分はこんな路線を乗ってきたんだな」と振り返ってみたとき、自分が思っていた以上にたくさんの路線に乗車していたことに気がつき、「もしかしたら、JR線の全線乗車は、割と現実的な夢なのではないか」と考えたのがきっかけだったと記憶しています。
 そのため、旅をするにあたっては、何よりも「未乗車の路線に乗りに行くこと」が、全ての行動の指針となっていました。旅の計画を練る際には、まず未乗車の路線を洗い出し、そのうえで、そのときの気分や情勢に応じて行く方面を決めるという流れでした。
 2016年3月の旅行をもって、未乗車の路線として残っていたJR線を全て乗り尽くした(土砂崩れによって不通となり、どうしようもなかった山田線の上米内〜川内間を除く)ため、この条項は、もはや過去のものとなりました。
 正直なところ、今後は何を指針として旅作りをしていけば良いのやら・・・。

2.やりたいようにやりなさい
 自分の思うようにならないことほど不満が募るものはありません。とはいえ、実社会で生きるとなれば、色々な制約を受けなければなりませんし、自分の思うようになることばかりではありません。それは十二分に承知しています。
 しかし、そうともなれば、自分の旅をするときくらい、様々な制約から開放されたいものです。特急列車に乗りたいと思った?どうぞ、乗りなさい。 普通列車に乗りたいと思った?どうぞ、乗りなさい。 グリーン車に乗りたいと思った?どうぞ、乗りなさい。 ホテルの部屋をちょっと良いものにしたい?どうぞ、しなさい。 ここで観光していきたいと思った?どうぞ、していきなさい。お金や日数、そんなことはとりあえずさておいておけ、と。
 旅を計画するにあたっては、自分の感性と意思を最大限に尊重します。理性を尊重しても、良い旅は生まれません。良い旅を作り上げるために必要なものは様々にあるでしょうが、まずは「自分がやりたいようにやる」ことが大切です。
 旅は自分を見つめ直すもの、心に栄養を与えるもの・・・と言えば格好は良いですが、「(日常生活の)抑圧からの解放」という現実的な面があることも忘れてはなりません(笑)

3.節約はあまり意識しない
 私は、旅をすることが好きです。そして、列車に乗ることが好きです。もちろん、カメラだの車だの、他にも好きだったり興味があったりするものはありますが、やはり何よりも「列車に乗って旅をすること」が好きです。
 となれば、そこにお金をかけないで、いったい何にお金をかけようというのでしょうか?
 そもそも、節約とは、自分がそれほど重要視していない分野において、買う物のグレードや量を下げることで、自分が好きなこと(趣味)に回すお金を生み出すことである、と私は思っています。好きなこと=お金をかけるべきところ でお金を節約してどうするのか。
 そのため、私は、特急列車や新幹線、寝台列車にも積極的に乗車します。グリーン車にもA寝台車にも乗ります。ここは節約のために普通列車に、普通車に、とはあまり考えません。旅費を抑えつつ旅を・・・などと言って青春18きっぷも使うこともありません。
 ただし、一方で「自分の鉄道に関する知識をひけらかせるような」節約は行います。例えば、A駅からC駅(201kmと仮定)で特急のグリーン車に乗りたいとき、グリーン車への乗車区間をA駅からB駅(195kmと仮定)とすることで、本来ならば400kmまでの価格帯になっていたところを、200kmまでの価格帯に収めるようにするなど。
 せっかく鉄道に関する知識を蓄えているわけですから、それは使わないと、ね。

4.青春18きっぷは使わない
 世の中の青春18きっぷファンを敵に回すかもしれませんが、ご了承ください。
 当サイトの旅日記をよくご覧になっている方は既にお気づきかと思いますが、公開されている旅日記の中に、青春18きっぷを使用した旅は1つもありません。また、これからもそのような旅が登場することはないでしょう。
 青春18きっぷを使用する場合、基本的には、普通列車にしか乗れません。普通列車でのんびりと移動することが好きというわけでもなく、むしろ特急列車が大好きな私には、青春18きっぷは性に合っていません。だいいち、普通列車で大学へ通学する毎日を繰り返していたわけですから、たまの旅くらい、特急列車に乗らなきゃ、人生やっていられません。
 また、上方2番で記したように、私には、「自分の旅をするときくらい、様々な制約から開放されたい」という思いがあります。そうなると、普通列車”しか”使えないという縛りは、自ら旅のやり方に大きな制約を課すことになり、致命的な問題です。
 そこで私は、普通乗車券や青春18きっぷ以外のフリーパスを使用して旅をしています。青春18きっぷでの旅と比べると、旅費は嵩んでしまいますが、上方3番にあるように、殊に旅をすることに関しては、節約をしようという意識はほとんど働かないので、旅費はいくらになってくれても大した問題にはなりません。

5.夜行列車を必ず組み込む
 日帰りの旅でない限り、私は、夜行列車を必ず組み込みます。
 これにはいくつか理由がありますが、ひとつは、単純に夜行列車が好きだからです。長距離を走る夜行列車は、旅によって遠出をするときくらいしか乗る機会がありません。「旅をすること」は、夜行列車に乗るための良い機会でもあります。
 もうひとつは、距離感を感じられ、「遠くへ行く(行った)んだな」という気分を高められるからです。旅をするとなると、普段は縁のない遠いところへ行くことになりますが、長距離を時間をかけて走る夜行列車を使えば、「遠いところ」までの距離感を強く感じることができるようになります。「遠いところ」へ行く・行ったという気分が、より一層高まります。
 また、時間を有効に使えるからということもあります。自宅での様々な雑用をこなしてから午後に出発したり、目的地での滞在時間を延ばしたりするのに、夜行列車は大活躍してくれます。もっとも、鉄道に固執せず、航空機を使うようにすれば、「時間を有効に使える」という利点は、あってないようなものになってしまいますが。
 しかし、現在、夜行列車は次々と姿を消しており、いずれは夜行列車を組み込めなくなる日も来ることでしょう。幸い、もう少し時間が残されています。その日が来るまでは、「夜行列車を必ず組み込む」ことにこだわっていきたいと思います。

6.「一日」は6:00〜21:00
 在来線は0:00〜24:00まで、24時間動き続けていますが、新幹線は6:00〜24:00の間にのみ列車が運転され、0:00〜6:00の間は、列車の運転が休止されます。
 その新幹線を真似して・・・というわけではありませんが、私の旅においては、一日は6:00〜21:00として定義されています。よほどの特別な事情がない限り、ホテルの出発は6:00以降に、ホテルへの到着は21:00までにするように努めています。ポイントは、どちらか片方だけでも満たせば良しとするのではなく、両方を満たさなければならないということ。つまり、少なくとも9時間以上の滞在時間を確保するように努めているわけですね。
 そのようにしている理由のひとつは、しっかりと休息をとりたいから。「列車に乗る」という行為は、案外体力を使うもので、列車に乗っているだけでも、何かと疲れてしまいます。疲労を回復させるためには、ホテルでの滞在時間の確保が重要です。
 もうひとつの理由は、それなりに長くいないと、なんだかもったいないから。私は駅近くのビジネスホテルや旅館を好みますが、そういったところは、少なくとも1泊5000円以上はします。激安なカプセルホテルやネットカフェならともかく、それなりのお金を払ってそれなりの水準の宿を得ているわけですから、ある程度滞在しないと、払ったお金に対する滞在時間において、なんだかもったいないような気がして・・・。

7.色々な駅を訪ねてみる
 JR線の全線乗車を標榜する人間といえども、旅における行動時間全てを列車への乗車に割り当てるようなことはしません。本来ならば1本の列車でずっと行けるようなところであっても、あえて途中下車をしたり、別に乗車券を買い足してでも引き返したりして、全国津々浦々の様々な駅に降りてみるようにしています。
 そうして降りた駅が秘境駅であれば、他に誰もおらず、人気を全く感じないという環境で、非日常的な時間を過ごすことができます。ある程度の街並みが形成されている駅であれば、「ここにはこういう街並みが広がっているのか」と、その土地の様子を知ることができます。どのような駅であっても、降り立ってみれば、必ず何かしらの収穫があります。旅行先で「世界にひとつしかないその駅」に降りることは、様々な体験をもたらしてくれます。
 そういうわけで、旅程を組むにあたっては、「隙あらばどこかの駅で降りてみる」という心掛けを忘れないようにしています。前述のようにして駅を訪問することはもちろん、列車の乗り換えを行う駅でも、できるだけ改札・駅舎外に出られる時間を確保するように努めています(乗り換え時間が短いときは、可能ならば、次の列車を1本遅らせてしまいます)。
 せっかく、普段は行かないような遠いところを旅しているわけです。列車と駅のラッチ内にいるだけでは、何だかもったいないとは思いませんか。

8.旅の回数は少なく、でも内容は豪華に
 小・中・高と、私はずっと野球をし続けてきました。小学生のときは少年野球のクラブに、中学生・高校生のときは野球部に所属し、野球に取り組んできました。
 言わずもがな、基本は野球優先。それゆえ、私の鉄道趣味は、クラブや部活動の合間を縫って、細々と行わざるを得ませんでした。どこかへ出かけられるときというのは、たまたまクラブや部活動が休みになったとき、あるいは僅かな日数のお盆休み・年末年始休み・休養日のときくらいしかありませんでした。
 その結果、「旅をする頻度は低いが、代わりに内容を豪華にする」という癖がつきました。旅に出る回数を増やすことができないならば、せめて内容を豪華なものにして「釣り合い」をとるようにしたい、という意識が、自然と芽生えたのでしょう。
 野球をしていたころに身についたこのような癖は、野球をやめた今でも残り続けています。自らお金を稼ぐようになった今、やろうと思えば、毎週末や毎月ごとに旅をする(出かける)ことも、決して不可能ではない思います。しかし、そのようにはせず、夏休みや冬休み、春休みくらいにしか旅に出ませんが、その代わり、1週間近くに及ぶ長い日程にしたり、グリーン車やA寝台車に乗ったりして、豪華な旅に仕上げます。
 高頻度・低密度より、低頻度・高密度。これが、貫通扉流の旅のやり方です。


以上、「旅の育て方」と題して、旅を計画する際に意識する8つの考え・こだわりをご紹介いたしましたが、いかがでしたでしょうか?
上記の8つの項目の中に、ご覧になっている方々のより良い旅づくりの参考になるものがありましたら、幸いです。
恐らく、自分の中では、これら以外にも意識していることがあるのではないかと思いますが、いざ人に伝えるべく洗い出してみようとすると、
これがなかなか上手くいかないもので、自分が意識していること全ては思い出しきれないような気がします。

そもそも、こういった考え・こだわりは、わざわざ「これらの点を守ろう!」などと意識したことはなく、自分の思うがままに旅を計画してみたら
自然と守られてきたものであって、「意識もせずに自然にやっていることを改めて意識し、文字に書き起こす」って、結構難しい・・・。



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