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この後、17:45より、食堂車・ダイナープレヤデスでは、第1回目の夕食が始まる。それに先駆けて、準備中の食堂車客席の写真を撮らせてくれるというご厚意を賜ったので、一足早く食堂車に潜入し、何枚かの写真を撮った。写真からも分かるように、特別なトワイライトエクスプレスの食堂車における食事では、テーブルは1列ずつずらし、左右に千鳥状に使われ、非常にゆったりしながら食事をとれる。

 外がやや薄暗くなってきたことで、ダイナープレヤデスの煌びやかで麗しいロココ調の内装は、より一層輝きを増し、映えてきた。高級感を醸し出す赤い絨毯、窓辺を彩る白いレース、眩しくきらめく金色の荷物棚、上質さを主張する椅子、2枚敷かれたテーブルクロス、テーブルを暖かく照らすランプ、鮮やかに光るステンドグラスなど、その内装の華やかさ、お洒落さは、北斗星のグランシャリオ、カシオペアのダイニングカーを圧倒する。

 ダイナープレヤデスには、ある秘話がある。JR化後間もないころ、トワイライトエクスプレスという列車はまだ計画されておらず、一方で、日本海号の1往復(JR西日本担当)に食堂車を連結するという計画があった。トワイライトエクスプレスで使われたスシ24は、元々は日本海号用に整備されたものであった。その後、トワイライトエクスプレスの計画が持ち上がり、日本海への食堂車連結は中止となり、スシ24はそれへと回されたのだ。

 食器やグラスが各テーブルに置かれたり、これから始まる夕食で提供されるのであろうワインなどが一角のテーブルに用意されたりと、第1回目の夕食時間を始めるための準備は、おおむね整ってきたようだ。椅子はズレもなく一直線に並べられ、テーブル上に置かれたものは、向かい合わせの左右対称で、均整がとれている。物の置き方ひとつをとってみても、係員たちの抜かりのなさ、気合の入り方、真摯さが伝わってくる。

 この特別な空間で、この後、どんな時間を過ごせることだろうか。ひとまず食堂車を後にし、サロンカーで名前が呼ばれるのを待つこととしよう。



































食堂車・ダイナープレヤデスの第1回目の夕食の客として呼び出されたので、改めて食堂車へ向かった。5号車(サロンカー)と6号車(食堂車)の連結部分付近で、係員から歓迎の言葉をもらい、いざ客席へ。残念ながら、好きなところに座れるということはなく、係員から案内されたところに座らなければならない。その結果、あいにく山側の席となってしまい、「瀬戸内海を眺めながらの夕食」とはならなかった。

 食堂車は2回転制となっていて、申し込み時に、1回目と2回目のどちらかを希望することができる。前者を選ぶと、乗車直後の昼食・夕食・朝食の全て(翌日の昼食は部屋での弁当となった)が1回目になり、後者を選ぶと、同じく全てが2回目になる。昼食と朝食に関しては、1回目でも2回目でもさして変わりはないはずだが、陽の短いこの時期、夕食が2回目になると、闇とにらめっこするだけである。それゆえ、我々は1回目を希望した。

 食堂車での「晩餐」は、2015年2月に下りのカシオペア号に乗車した際、カシオペア懐石御膳で体験している。今回、この特別なトワイライトエクスプレスで提供される夕食は、フランス料理のフルコースである。懐石御膳でも恐れ戦き、十分に緊張したが、フランス料理ともなると、どうにも身分不相応な気がしてしまい、ますます気が引ける。贅沢は好きだが、人間的資質が求められる贅沢は、まだ私には似合わないかもしれない。

 献立を手に取り、これから配膳される料理を知る。大阪~札幌時代のトワイライトエクスプレス号では、フランス料理のディナー券の値段は、末期は12300円であったが、乗車直後の昼食でさえ、あれほど立派な料理を提供してきたのである。今晩のフルコースは、また一段と立派で、内部的には(19万8000円の内訳は開示されない)、きっと12300円を超える値段がついていることであろう。




 

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