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 あれ、先ほどとは、なんだか車内の様子が違いますね[①]。そう、幌延に停車している間に、私は、グリーン車に移動してきました[②]。宗谷本線をキハ261系で往復する以上、何かしらの”変化”をつけたかったのですが、幌延〜旭川間の営業キロが199.4kmであることに着目し、「ここだけグリーン車にすれば、200kmまでの区分に収まる」と思い、稚内〜幌延を普通車、幌延〜旭川をグリーン車としました。

 車窓に天塩川が現れましたが・・・、これは凄い、全面凍結中です[③]。川沿いに生えている木の配置から、ここが川であることが分かりますが、ただの雪原だと言われても信じてしまいそうです。逆に言うと、氷が全く見えず、その上に積もった雪だけが見えているので、イマイチ「全面的に凍っていることの凄さ」が伝わってきません・・・。

 天塩中川に着きました[④]。もっとも、特急宗谷号・サロベツ号の停車駅の中では、1日あたりの利用客が最も少ない駅であり、今日のサロベツ4号も、ここで乗り降りがあったような感じはありませんでした。

 宗谷本線の線路は、ほぼ天塩川に沿って敷設されています[⑤]。列車は徐々に南下していて、それに伴って気温もじわりじわりと上昇していっているということなのか、これぞ北海道と言えるような「凍結した川」の景色も終わりを告げ、車窓には、いつしか、陽光をギラリと反射させる天塩川の眺めが広がっていました[⑥]。天候も回復し、本当に素晴らしい車窓に[⑦]

 豊清水で下りの特急サロベツ1号と列車交換[⑧]。向こうが先着してこちらを待っていました。音威子府〜美深間の途中駅で行き違いができるのは豊清水しかなく、列車が遅れているときに、その交換場所を変更するようなことはできません。

 秘境駅として名高い南美深を通過します[⑨]。ホームは、有効長15〜16mほどの、1両編成の列車すら収まらないような非常に短い板張りのもので、ぼーっとしていると、その存在に気がつけないので、美深を発車した後から、この通過の瞬間を狙ってカメラを構えていました。物凄く飛ばして通過するわけではありませんが、そのホームの短さゆえ、南美深の通過は、本当に一瞬の出来事です。

 名寄に着きました[⑩]。宗谷本線の途中駅としては随一の主要駅であり、ここでの乗車は多いです(駅の位置づけ・役割は、石北本線における北見のようなイメージでしょうか)。稚内発車時の遅れは、ここまでに回復させきれなかったので、名寄以南では120km/h運転が解禁されるのに合わせて、列車は回復運転モードに入りました[⑪]

 夕日に照らされる石狩川[⑫]。さすがに冬の北海道は、一日の終わりが早いです。目に見える雪原、雪山、雪だまりの表面は綺麗で、そのなだらかさは、まるで何度も何度も丁寧にやすり掛けを施したかのようです。低い位置まで降りてきた太陽が、それらが各々持っている姿に影を与え、その形状的美しさを引き立ててくれます。

 高架の線路の先に大きな駅が見えると、まもなく終点の旭川です[⑬]。ひたすら120km/hで走り続ける回復運転に努めたことも功を奏し、列車は16:48の定刻に終点の旭川に着きました[⑭]



















 次に乗る列車は、17:05発の特急大雪3号です[②]。石北本線の特急列車の系統分離によって生まれた列車で、札幌まで行かず、旭川〜網走間のみを走ります。大雪3号は3番線からの発車となるため、ホームを移ります。

 先ほど乗車したサロベツ4号は、キハ261系4両編成での運転でした[③]。これが所定の編成ですが、繁忙期には、2両を増結した6両編成で運転されることもあります(このとき、天塩中川と豊富ではドアカットが起こる)。その右側に停車しているのは、サロベツ4号に接続する、札幌行きの特急ライラック36号であり、対面乗り換えができるように配慮されています。

 一方4番線には、これから乗車する大雪3号に接続する、札幌からの特急ライラック25号が到着しました[④]。これで特急型車両3本が並びましたね。キハ281系で「高運転台・貫通型」を採用して以来、JR北海道の特急型車両は、電車・気動車を問わず、789系1000番代(高運転台・非貫通)を除き、全てこの形を守り続けています。

 3・4番線ホームでは、ライラック25号からの乗客が降り、乗り換え先の大雪3号を待っていました[⑤]。同列車は、16:19着の大雪4号の折り返しであるため、大雪4号は、もうとっくのとうにここにいるべきはずなのですが、まだその姿がありません。

 大屋根によって守られている旭川駅ホームは、中の方にいれば、雨雪に晒されることはありません。とはいえ、厳寒の鉄路を走ってきた列車たちは、その足回りに、大量の雪を付着させています。その雪は、ホームに停車している間に、車両から離れ、下に落ちていきます。線路上に溜まった雪は、雪道を必死に駆け抜けてきたことの証です[⑥]

 17:06、ようやく大雪4号がやってきました[⑦]。定刻から47分遅れでの終点旭川到着です。その前面と後面の様子を見れば、まあ雪との激しい戦いがあったのであろうことは理解しますが、「今日は大雪3号に乗ればそれで終わり」という旅程”ではない”側からすれば(乗り継ぎがあるのです)、遅延の発生は辛いものがあります[⑧]

 「大雪」という列車名は、かつては、石北本線を走る急行列車の愛称名として親しまれていました。特急オホーツク号への格上げにより、その名は一度消滅しましたが、2017年3月のダイヤ改正で、見事特急列車として復活しました[⑨]。急行の名前が特急になるという事例は、常磐線の「ときわ」でも発生しました。

 実は、大雪3号もグリーン車なのですが、私は、「キロ182-9」の起用を期待していました。キハ183系のグリーン車としては、最後まで原形に近い姿(非ハイデッカー、非キロハ化)を保った車両で、晩年は予備車になっていました。して、結果は・・・、普通のキロハ182でした[⑩]。しかし、キロハ182も、この後北斗号のハイデッカーグリーン車に置き換えられたので、実は「キロ9でもキロハでもハズレではない」のでした。

 グリーン車部分と普通車部分の境目[⑫]。手前側のところは、以前は喫煙スペースとして運用されていたようですが、現在は使用されていません。単なるフリースペースとしても使わず、「業務用室」の名のもとに封鎖されています。

 キロハ182は、文字通りの合造車で、乗降口も車両の内寄りにあります[⑬]。ただし、合造化改造に合わせて移設したというわけではなく、全室グリーン車のキロ182の時代から、乗降口はこの位置にあります[⑭]。キロハ化以前は、現在の普通車の部分は、大きな車販準備室でした。










 懐かしいといえば懐かしい、キロハ182のグリーン車の座席[①]。というのも、この座席は、キハ281系の初代グリーン車座席と同じものなのです。本家キハ281系のグリーン車は、いわゆる「リニューアルグリーン車」の座席に取り換えられていて、もはやこの仕様の座席ではないのですが、キロハ182で生きていました。

 座席に座って発車を待ちます[②]。私は、大雪3号に、次の上川まで乗車します。所定では17:44着で、そこから18:00発の層雲峡行きのバスに乗り継ぐ予定となっています。時刻通りに行ってくれれば、何ら問題にはならないのですが、大雪4号の到着が大幅に遅れた時点で、既に大雪3号の発車の遅れが確定しています。大雪3号の遅延は、どれくらいのものになるか・・・。

 結局、列車は、12分遅れで旭川を出ました。「このままの遅れでまいりますと、次の上川には17:56・・・」との放送も入ったので、それを信じましょう。4分あれば、バスへの乗り換えは可能でしょう。

 夕陽もすっかり落ちてしまった北の大地を、大雪3号のグリーン車で進んでいきます。空は青く、大地は白く、そしてその狭間を、夕暮れ時にだけ姿を見せる刹那の橙色が埋めます[④]。空から地面にかけての、麗しき階調。「美しい」とはこのことか。


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