◆2月26日◆
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 翌朝、6時過ぎ。私は、”宗谷岬の日の出”を期待して、あの丘の上にやってきました[①]。晴れてこそいるものの、雲の量・・・とりわけ水平線付近の雲は厚く、昇ってくる朝日が見られるかどうかは、ちょっと微妙なところかもしれません。

 空はまだまだ暗く、「夜の空」の雰囲気が残っています。海は、それよりも一層暗く、そこには、海という言葉から連想されるような爽やかさは感じられません[②]。色合いは、オーシャンブルーというよりもネイビーです。

 この寒い空を、鳥たちが駆け抜けていきます[④] [⑤]。基本的には陸を移動する者と、基本的には空を移動する者という違いはありますが、私も彼らもさすらいの旅人です。その旅の幸運を願っておきましょう。

 日の出の時刻を迎えて、空が徐々に明るくなってきました[⑥]。私が散々「雪国の天気は変わりやすい」と言っているように、丘に来た直後は雲が厚くとも、そこから一気に雲が減り、最終的に素晴らしい朝日を拝むことができた・・・という展開を期待していましたが、実際には、ダメでした[⑦]。「こんなときに限って」という恨み節を言いたくなります。

 まだ6時台ですが、もう観光客が来ているようです[⑧]。この時間帯は、路線バスは動いていないので、必然的に車での来訪となります。レンタカーなのか、それとも自家用車なのかは分かりませんが、いずれにしても、この雪道を自ら運転してくるというのには感心してしまいます。

 視点を180度変えてみましょう。ここまでは、宗谷岬の側を眺めてきましたが、その反対側にも、素晴らしい景色が待っています[⑨]。一面の銀世界に、澄み切った青い空。雲はゆっくりと流れ、丘陵はなだらかにその線を描きます。風車を携えたオランダ風な建物(レストラン)が、この眺めをより一層異国的なものにしています[⑩]



















 旅館を出て、バスの待合室にやってきました[①]。出入り口の扉を見ると、右側の扉には雪が吹き付き、下の方には雪だまりができてしまっていました[②]。左側の扉は半開き状態で、とりあえず開閉することができましたが、こうして半開き状態にしたまま立ち去る人も多いということなのか、雪は待合室の内部にも吹き込んでいました[③]

 宗谷岬バス停の発車時刻表[⑤]。当時は、1日に7往復が運転されていて、バスによって宗谷岬を訪れる難易度は、特別に高いわけではありませんでしたが、その後減便改正がなされ、2020年5月現在では、1日4往復という本数になりました。需要が少ない以上は仕方がないことですが、観光客にとっては少々辛いところです。

 バスで稚内駅を目指します[⑥]。海に目をやってみると、普通の海面とはちょっと色が違う、なんだか白っぽいところがありますが、これは流氷が融けてしまったものでしょうか? そのほか、このような眺めも見られましたが、これはあくまでも陸に雪が積もっているものなのか、それとも接岸した流氷なのか?[⑦] なお、2月6日には、宗谷岬でも流氷が観測されていたそうです。

 安定的に風が吹いてくる地の利を生かして、宗谷丘陵では、風力発電が行われています[⑧]。夏には、丘陵地帯を走る道路も開放され(冬期は閉鎖)、風力発電機がいくつも連なる独特の風景を見ながらのドライブをすることもできます。

 総合スーパー「西條」[⑩]。主に道北地域に出店しているスーパーマーケットで、名寄にも店舗があります。というか、むしろ、名寄市に本社を構える企業です(7ページ目参照)。「赤色・橙色・黄色・緑色・青色でSAIJO×5」という、「いや、5回も言わなくても分かりますから」とでも言いたくなるような「押しの強さ」が特徴的。

 稚内駅に到着しました[⑪]。鉄道駅としては、ここが日本最北端であるわけですが、何せ列車ではなく、バスで訪れたものですから、「日本最北端の駅にやってきた」という感慨深さは皆無です。「最○端」の駅は、立地上、往々にして列車本数が少ないので、ついつい鉄道以外の手段で行くこともありますが、やはりその感動は、列車で訪れてこそ。

 稚内駅前ターミナルから次のバスに乗り換えて、ノシャップバス停にやってきました[⑫]。バスは、いわゆるノシャップ岬までは乗り入れず、その手前にあるバス停で折り返します。海の方は、これから魔王でも出てくるのかというような、かつてなくどす黒い空になっていますが[⑬]、街の方は、晴れた明るい空が広がっています[⑭]。同じ場所でありながら、見る方向を180度変えるだけでこの違い・・・。











 ノシャップ岬にやってきました。時計をつけたイルカの像が出迎えてくれます[①]。この場所は、当然、稚内駅よりも北側にある、海に突き出た岬なのですが、ここよりも宗谷岬の方が、より”突き出ている”ため、日本最北端の称号は、ノシャップ岬ではなく、宗谷岬が持っています。

 吹雪です[③]。ま、私は「最果ての地」に来ているわけですから、これくらいの方が、よりそれっぽい感じがありますかね。これまでに経由してきたどの場所よりも辛い、この凍てつく環境こそが、自分が北の果てにやってきたという実感を強めてくれます。

 そういった「いかにも特別な場所に来ている」という感を逆に薄めてくれるのが、このカラスです[④]。都市から田舎まで、南から北まで、日本全国どこでも遭遇できるこの鳥が視界に入れば、たちまち「日常」に戻ります。寒風吹きすさぶ中を繰り出してきたその勇気は褒めたたえますが、いくら夏毛と冬毛があるといえども、 この真冬の北の大地、鳥は寒くはないのでしょうか[⑤]

 吹雪はさらに続きます。あ、カメラレンズの前玉に雪が付着しましたね・・・[⑥]


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