◆キハ532に執着?◆
キハ532という車両がファンから人気がある、ということは私も知っている。この車両を追いかけている者ではないが、「せっかく竜ヶ崎線の沿線までやってきたのだから」と、入地駅から竜ヶ崎駅へ移動する道すがら、キハ532の列車が来るたびに撮影を試みてきた。・・・が、私には、非電化路線の単行列車を撮影する、という経験がなかった。それゆえ、撮影してみても、なかなか納得する仕上がりにならない。
「あと○○分待てばまた来る。止むを得ん、もう1回だ」「また失敗したか。仕方がない、もう1回」。特にキハ532形が好きというわけではなかったが、知らない間に、「なんとしてでも(自分なりに)納得できるものを撮りたい」と思うようになっていたらしい。竜ヶ崎駅へ向かって歩くのを中断してまで、キハ532形がやってくるのを待つ自分がいることに気が付いてしまった[-1-]。
背景がきれいでないことは承知しているし、車体の右側面が影になっていることも承知している。しかし、今日撮ったものの中では、構図などの面から考えて、1番良い仕上がりであった。車体の影は、後で修正を施せば問題ない。
そのキハ532形であるが、竜ヶ崎に15:00に到着する列車をもって、駅構内の車両基地へと入り、キハ2000形と入れ替わってしまった。キハ532形は運転日が限定されている車両であるが、それだけでなく、運転される時間帯も制限されている。竜ヶ崎15:08発の列車からは、”今風な”車両のキハ2000形で運転されていく[-2-]。
◆竜ヶ崎駅界隈◆
ようやく竜ヶ崎駅にたどり着いた[-3-]。竜ヶ崎駅は、竜ヶ崎線の3駅の中では最も利用者が多く、また同線の終点駅でもあるのだが、単式1面1線という構造は、それこそ入地駅と変わらない。しかし、ホームには、ほぼ全体にわたって屋根が設けられている。また、唯一の駅員終日配置駅であり、簡易的な車両基地もある[-4-]。竜ヶ崎線で最も充実した駅であることを示す要素は、たしかに持っている。
駅の脇にある小さな車両基地では、キハ532形への給油が行われていた[-5-]。竜ヶ崎9:11発の列車から佐貫14:52発の列車まで使われて、竜ヶ崎〜佐貫間をいったい何往復したのだろうか。次回の運転は第1土曜日(11月2日)。それまでの月〜金の平日はお休み期間である。1か月で4日しか運用されないキハ532形は、常総線を走るキハ100形(元・国鉄キハ35系、やはり運転日は限定的)とともに、今後も、関東鉄道の人気車両として君臨するのであろう。
ちなみに、竜ヶ崎駅の脇には、関東鉄道のバスの車庫である「関東鉄道竜ヶ崎営業所」がある。鉄道の車両基地とバスの車庫の両方が設けられている竜ヶ崎駅は、関東鉄道の旅客輸送サービスにおける拠点の1つとなっているようである。
|
|
◆レールブロック◆
コンクリートに溝を掘り、レール(金属板?)を入れたものを発見した[-7-]。いったい何なのであろうか。真っ先に想像できたものは、踏切の、車が走行する部分の渡り板であったが、それが正しいのかどうかは分からない。金属の錆び方からして、新しいものに取って代わられた「古い方」ではないかと予想するが、こんなところに積み上げておいて、この後はどうするつもりなのだろう。
◆一体感のある車両基地◆
キハ532形は、その車体の一部が屋根の中に入っていたが、一方、1両のキハ2000形が屋外に出ていた[-8-]。車両基地や留置線に停車している車両というのは、間近に近づけそうで近づけないものだが、竜ヶ崎駅に隣接する車両基地では、このキハ2000形にかなり近いところまで寄ることができた。それもそのはず、歩行者や車が通る道路と基地の敷地内は、アスファルトか砂利かという程度の差しかなく、仰々しい柵や門は存在していないのである[-9-]。周りの風景との一体感がなんとも強い車両基地である。
そして、錆びついたトタン製の簡易な屋根(6番の写真を参照)は、昭和の雰囲気を色濃く残した構造物であると言える。いつごろからあるものなのかは定かではないが、1962年に撮影されたという写真では、既にその存在が確認できる。頑丈な作りの建物ならともかく、板1枚かというようなトタン製の簡易な作りで、よくぞここまで(それこそ、あの大地震をも乗り越えて)使われ続けているものだ、と感心してしまう。
◆竜ヶ崎駅◆
入地駅のことを考えると、やはりその差は大きい。竜ヶ崎駅のことである[-10-]。まだ駅舎の中には入っていないが、並べられたベンチや改札口、駅員、そして窓口の存在などが確認できる。やはりこちらの方が”駅”らしい。
竜ヶ崎市の代表駅というのは、本当は佐貫駅ではなく、この竜ヶ崎駅なのだが(時刻表の路線図でもそう案内されている)、実質上は佐貫駅が代表駅として機能している。列車の本数などの利便性で水をあけられていることが理由の1つだが、何より、東京・水戸方面への輸送が完全に常磐線に一任されているからということが大きい。竜ヶ崎駅が最寄り駅だという人でも、佐貫駅まで自家用車で行きつけるという人は何人もいることであろう。
しかし、日中でも毎時2本という列車本数、そして常磐線の列車との接続を意識した時刻設定もあり、竜ヶ崎線は、それほど不便な路線とは言えない。通勤・通学でも、行楽でも、竜ヶ崎線⇔常磐線という連絡による移動は、十分に実用性のあるものとなっている。たとえ佐貫駅のサポート役であっても、竜ヶ崎駅の存在意義は大きい。 |