−16−
※各画像はクリックすると拡大します。













 追分という名を冠する駅は北海道にもあり、そのため、切符の券面などでは、秋田県の追分駅は「(奥)追分」と表されます。なお、北海道の追分駅は室蘭本線(石勝線と接続)の駅で、「(室)追分」と表されます。

 お恥ずかしいことに、約18年生きてきて、今まで知らなかったことだったのですが、「歩行者は基本的に右側通行」なのだそうですね。ただし、駅構内では左側通行の場合が多いとか。で、追分駅の跨線橋へと通じる階段では、「右側通行」というように指示が出ていました[②]。もっとも、私1人しか階段を利用する人がいない、というような状況では、どう上っても何の問題もありませんが。

 1つ意外だったのが、追分駅が自動改札機導入駅であったこと[③]。1日平均の乗車人員は約1850人で、たしかにこの辺りの駅としては多い方ですが、自動改札機があるとは思いませんでしたね。秋田近郊はSuica非導入地域なので、当然自動改札機にも、Suicaを触れるところがないのですが、これらの自動改札機は、Suica導入以前の首都圏などの駅で使用されていたもののお下がりだったりするのでしょうか?

 なお、秋田県内のJRの駅で、自動改札機が導入されている駅は7駅のみです。追分駅はそのうちの1つというわけですから、そういう点で言えば、秋田県内の駅としては、他の大多数の駅よりも一歩進んだ、先進的な駅だと言うことができます。

 秋田県内へとやってきましたが、それでも雪深いことに変わりはありません。追分駅もまた、雪の中にそびえていました[④]。立派すぎない、ほどほどの規模の駅舎は、雪がよく似合うように思います。札幌や秋田、盛岡、山形といった駅は駅舎が立派すぎて、どうしても都市的な面が垣間見えてくるので、あまり雪が合うようには思いません。

 追分駅には「追分Weロード」と名付けられた、駅の東西を結ぶ自由通路が架けられています[⑦]。そしてその通路からは、真下にある追分駅と伸びゆくその線路や、駅周辺の様子が見られます[⑧]。この写真は秋田方面を眺めてみたものですが、追分駅の周辺には、住宅が多いようですね。

 駅舎に貼り付けられている、モバイルSuicaとえきねっとの広告[⑨]。えきねっとに関しては、私は非常にお世話になっています。旅行で必要になる切符は、特急券や指定席券にしても、乗車券にしても、えきねっとで購入できるものは、基本的に何でもえきねっとで購入してしまいます。そうしておけば、みどりの窓口で口頭伝達や指定券申込用紙であれこれしなくても、ただ切符を指定席券売機やみどりの窓口で受け取るだけで済みますからね。

 えきねっとでは購入できないような複雑な経路の乗車券や寝台券はみどりの窓口で購入しますが、それでも、大量に必要となる特急券や指定席券、乗車券を、みどりの窓口で1枚1枚わざわざ発券してもらわなくても済むようになったので、当方もJRの駅員もお互いに、旅行で必要な切符の準備にあたっての負担が軽くなりました。

 これから乗るのは15:00ちょうど発の男鹿線・男鹿行きです[⑩]。リゾートしらかみ2号が遅れることなく(あるいは少々の遅れで)走っていれば、その1本前の13:42発の男鹿行きに乗っていたところなのですが・・・。まあ、本来よりも1本遅い15:00発の列車に乗ることにはなりましたが、それは大した問題にはなりません。男鹿線の途中駅・天王で降りてみようとしていたのですが、それができなくなるだけで、それ以上の問題は発生しません。













 15:00発の(実際には数分遅れ)男鹿線の普通列車に乗って[①]、男鹿線を進んでいきますが・・・、ところで、鉄道好きの人の中でも、男鹿線という路線が存在していることを知らない人は結構多いのではないかと思います。秋田から出ている路線ならまだしも、起点は秋田から離れた追分という駅で、路線距離も26.6qしかありません。また全列車が普通列車で、特急・急行はおろか、快速列車もなく、かなり地味な路線ではないかと思います。

 しかし、個人的には、九州にある後藤寺線(新飯塚〜田川後藤寺)こそが、JRの路線の中では最も地味な路線ではないかと思います。

 秋田県、いやもっと限定的には、男鹿市と言えばなまはげですね。大みそかに、鬼のような顔をした獣が家々に押し掛け、暴れるという、伝統的な民俗行事です。それにあやかって、男鹿線(と、直通運転する奥羽本線秋田〜追分)には、「男鹿なまはげライン」という愛称が付けられています。また、それだけではなく、男鹿線の各駅(起点の追分を除く)の駅名標は、なまはげの絵が入ったものになっています[②]

 天王を出ると、長い鉄橋を渡ります[③]。この鉄橋を渡り終えると、潟上市から男鹿市へと入ります。氷が水面に浮かんでいますが・・・、まあ、さすがに川面全体が凍結するまでには至りませんか。物凄くどうでも良いことですが、1回くらいは氷上でのワカサギ釣りというものを、ちょっとやってみたいものです。案外、私は色々なものに興味を持つ人間ですよ。他にも、今はサイクリングやバトミントンにも興味がありますし。

 普段、関東の鉄道に乗り慣れていますが、旅行でそれ以外のところへ行ったとき、関東では見られない、あるいはあまり馴染みのないものに出会うことがよくあります。乗降口のステップは、まさしくそのうちの1つです[④]。地方では、ホームの高さが低いままという場合も多く、車両もそれに合わせてステップを設けている場合が多いです(近頃の新しい車両では床面高さを下げて、ステップをなくしているとか)。

 ステップ付きの車両に乗り降りするときは、一応きちんとステップの存在を認識しておきますが、それでもまれに、ステップがない車両に乗り降りする感覚で足を運ぶときがあり、そうすると結構危険な目に遭います。

 リゾートしらかみ号では、他の乗客も「いかにも旅行者」というような具合でしたから、私も数ある旅行者のうちの1人、という感じでしたが、男鹿線の普通列車では、何せ他の乗客はと言えば、学生や地元の人ばかりだったので、私の存在はやや浮き気味だったかもしれません。傍目には「部外者」という感があったことでしょうが、むしろそれくらいの方がが、「遠出して、この地に”潜入”してきたのだ」という気分がしてきて、実は良かったりします。

 単線・非電化の男鹿線を進んで行き、列車は終点の男鹿駅に到着しました[⑤]。車両の塗装で、白色と共に使われているのは緑色。地表を覆う白い雪が融け去って、緑色の草たちが姿を現すまでには、まだもう少し時間がかかります。


















 突き出した屋根に、「JR男鹿駅」の看板[①]。ここは「ホームから駅舎への入り口」なのですが、「外から駅への入り口」だと錯覚してしまいそうです。もちろん、改札口が”入り口の扉”よりも手前にあるのはおかしいですし、「出口」と書かれたシールも貼られてはいますが・・・。

 さて、本来なら男鹿に14:20に到着して、15:17発の列車で発っていたのですが・・・、リゾートしらかみ2号が追分に遅れて到着し、男鹿に14:20に到着する男鹿線の列車に乗ることができず、その1本あとの列車に乗った関係上、男鹿に15:44(定刻なら15:40)に到着して15:56発の列車で発つことになり、男鹿駅での滞在時間が大幅に減少してしまいました。

 仮にも、男鹿駅は男鹿線という1つの路線の終着駅、線路が途切れる駅です。せっかくそういうところまでやってきたというのに、12分しかいられないというのは・・・。ああ、なんてせわしないことだか。

 駅入り口のすぐ右側に、なまはげの銅像が設置されています[④]。これら2体の銅像は、2012年10月の駅舎の改装に合わせて設置されました。なまはげはこれから先も、男鹿市とその周辺地域の象徴として、後の世代へと継承されていくことでしょう。

 そして2012年10月に一新されたばかりの駅舎がこちら[⑤]。壁の一部には地元の男鹿石が使用され、また、駅舎内の内装の一部に秋田杉が使用されています。この駅舎の改装と、男鹿線各駅へのなまはげの絵入りの駅名標の配備は、2013年10月から始まる、秋田デスティネーションキャンペーンに先駆けて行ったものですが、その実施が近づいてきたら、車両へのラッピングもされるのでしょうね。今はまだされていませんが。

 今回の旅の中で訪れてきた他の駅と同じように、男鹿駅にも、「あけましておめでとうございます・・・云々」などと書かれた挨拶文が掲出されていましたが、男鹿駅のものには、E6系のイラストが入っていました[⑥]。最高速度320q/hの性能を持つ、これほどの流線形をした車両が、単線の在来線を走るというのも・・・。田舎道にF1マシンを走らせるようなものかと(笑) E3系はまだ在来線を走っていても違和感はありませんが、E6系は・・・。

 さて、もう時間がありません。そろそろホームへ向かいましょう。これから15:56発の普通列車に乗って、秋田へと向かいます[⑦]。この時刻表にもあるように、男鹿駅から出る列車は全て奥羽本線に直通し、秋田まで行きます。また反対に、男鹿駅に到着する列車は、全て秋田駅から来ています。男鹿線の起点の追分を始終着とする、あるいは線内の途中駅を始終着とする列車の設定はされていません。

 当たり前と言えばそうですが、先ほどまで乗車していた列車で使われた編成が、そのまま秋田行きの上り列車に充当されます[⑨]。キハ40系が見つめる先には、2本の銀色の筋が伸びています[⑩]。枕木は雪に埋もれていますが、線路の頭だけが白い地表にその姿を見せています。



                  10  11  12  13  14  15  16  17  18

DISCOVER どこかのトップへ

66.7‰のトップへ