毎日、JR各社の公式サイトを見て、何か情報(新型車両の導入についてとかね)がないかどうか確認すること。これは、私の日課の一つです。
2011年10月27日。JR東日本の公式サイトをいつものように閲覧すると、「東北応援パス」なるトクトクきっぷを発売するとの情報が。

詳細を確認してみると、「12月の土曜・休日の連続した2日間、JR東日本線全線と北越急行などが乗り降り自由となる切符」とのこと。
ただ、乗車券としてしか有効とならないため、特急などに乗る場合は別に特急券を買う必要がある、という切符でした。

値段は9500円。かつて、特急なども乗り降り自由という、乗り鉄ご用達の「土・日きっぷ」の中高生用(9000円)で旅をした人間としては、
「特急券は別に買う必要があって9500円」などという切符を使う気には正直なところならなかったんですが、まぁ、それでも普通に乗車券と特急券を
買って旅行をするよりは一応安上がりにはなるし、こういう切符が発売されることはもうないかもしれんと考えて、この東北応援パスを使って、
冬の銀世界となった雪国をめぐる旅をすることにしました。

「東北応援パスとは言ったものの、”JR東日本線全線が乗り降り自由”で、東京とか房総でも使えるというのは違和感がある」
「東北応援パスというのは建前で、実際には東北新幹線全線開業1周年記念の”JR東日本フリーパス”という具合だろうな」

などと、いろいろ愚痴やツッコミをぼやきながら、旅行計画を作成、そして決行しました。



●12月24日●

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※各画像はクリックすると拡大します。


東北新幹線・上越新幹線4071C たにがわ71号 (200系)
上野(6:22)〜越後湯沢(7:29)

E5系のピクトグラム①

人影なき上野駅②

6:22発の臨時たにがわ号で③

200系での運転④

普通車の座席⑤

まだまだ暗い⑥

高崎でさえも通過⑦

辺りは真っ白!⑧

1時間弱でもう越後湯沢⑨

 上野駅へやってきました。新幹線を表すピクトグラムというと、未だに0系、ないしは200系というのが私の頭の中での印象なんですが、上野駅では、新幹線を表すピクトグラムは、最新型にしてJR東日本ご自慢のE5系になっていました[①]。うーん、これ、違和感がないと言えば嘘になります。

 クリスマス・イブの、早朝6時前の上野駅には、ほとんど人影はありません[②]。昼間の、人の往来が激しい上野駅を見慣れている私にとっては、ある意味新鮮な光景です。とても「同じ上野駅」とは思えないんです。

 上野から乗る、今回の旅の”最初の列車”は、6:22発のガーラ湯沢行きのたにがわ71号です[③]。これで越後湯沢へと向かいます。上越へ向かうという、いきなり、東北応援パスの名を無視した移動です。ちなみに、このたにがわ71号は定期列車ではなく、臨時列車です。

 このたにがわ71号、”たにがわ”という列車名を冠するものの、上野を発車してからの途中停車駅は大宮・越後湯沢しかありません。たにがわ号というと、各駅停車の列車という印象を持っている人が多いと思いますが(私もそのうちの1人)、たにがわ71号は通過する駅が設定されている、見ての通りの速達列車です。

 たぶん、利用者を越後湯沢やガーラ湯沢へのスキー客に絞るために、こういう停車駅になっている(実際、通過する駅があるたにがわ号は、冬季の臨時列車でしか存在しない)んでしょうね。

 6:22に上野を定刻で発車した列車は、しばらくすると地下から地上へ脱出しますが、辺りはまだまだ暗いです[⑥]。夏ならばもうとっくに明るくなっている時間帯ですが、1年で最も陽が短い12月なだけはあります。6:30前くらいではまだまだ闇の中。

 早朝の臨時列車ということもあってか、乗客はほとんど乗っておらず、ガラガラでした。ただ、その数少ない乗客のうちのほとんどが、いかにもこれからスキーやスノーボードをするよという格好をしていたのは、さすがにガーラ湯沢行きのスキー客向けの臨時列車というところですね。

 6:42発の大宮を出ると、次の停車駅は、下車駅の越後湯沢です。その間は無停車、47分で走り抜けます。たにがわ71号は群馬県随一の都市、高崎市のターミナル駅・高崎でさえも通過します[⑦]

 列車は北上を続けていき、越後湯沢へと向かって走りますが、意外にも、なかなか車窓に見える雪は増えませんでした。ところが、長い長い大清水トンネルを抜けて、もう間もなく越後湯沢というところへ来ると、一転、そこは銀世界でした[⑧]。しかも、かなり雪が降っているというおまけ付き。

 そして7:29、定刻で列車は越後湯沢駅に到着しました[⑨]。私はここでたにがわ71号を下車します。






越    後    湯    沢    駅
Echigo-Yuzawa Station

新幹線ホームの温泉①

屋根に守られる新幹線ホーム②

駅前の様子③

駅前の様子その2④

大雪の越後湯沢駅⑤

寒い土地ならではの構造⑥

反対側⑦

鋭利なつらら⑧

駐車場、消滅!⑨

雪下ろしの様子⑩

 越後湯沢駅の新幹線ホームの上には、このように温泉がありました[①]。当たり前といえば当たり前ですが、飲用ではないので、飲むことはできません。まぁ、せいぜい手にかけてちょっと温まるくらいしか使いようがない?

 大雪が降っている越後湯沢駅ですが、新幹線ホームは完全に屋根に覆われているため、ホームや線路の上には、一切雪がありません[②]。おかげで、ホームにいるときには絶対に雪を浴びたりしません。上越新幹線には、雪対策の一環として、線路脇に消雪用のスプリンクラーが設置されている区間がありますが、ホームを屋根で完全に覆ってしまうというのも、冬季の雪対策の1つでしょうね。

 改札口を出て駅前へと出てみると、当然、辺りは雪に覆われていました[③]。上野を出てからまだ1時間弱しか経っていないんですが、駅前の様子は全く違います。道路の脇では、除雪された雪がうずたかく積み上がっているところもありました[④]。紛れもない、”北国”です。

 それにしても、すごい大雪です。駅舎の写真を撮ってみても、雪の粒が写真一面のあちこちに写り込んでしまいます[⑤]。この旅行日当日、12月24日は、”クリスマス寒波”とかいうものが日本列島にやってきていることで、大雪になると天気予報で言われていました。まさにその通りの大雪というわけですが、こうなると、列車の遅れや運休が発生するのではないかと心配になりますよね・・・。

 駅舎内を通って、反対側へ行こうとしたとき、駅舎と外を仕切る自動扉が目につきました[⑥]。このように、扉によって駅舎内と外を仕切るというのは、寒い土地ならではのものですね。首都圏の駅では、こんなものはまず見られません。また、寒い土地の駅では、待合室にストーブが設置されているということもありますし、このような設備からは、その土地の冬の辛い寒さがしのばれます。

 駅舎内を通って、反対側へとやってきました[⑦]。駅舎内の床を基準として、こちら側へ出てくるときには、階段を下りる必要があったんですが、逆に、⑤番の方の駅前へと出るときは、階段を上がる必要がありました。どうやら、⑤番側と⑦番側では標高に違いがあるようですね。

 駅入り口からは、屋根付きの通路が延びていましたが、その屋根の淵には、鋭く尖ったつららが[⑧]。そして駐車場は雪に埋もれ[⑨]、屋根の上に上って、危険と隣り合わせな雪下ろしをする人の姿も見られました[⑩]

 ”外から来た”私は、見慣れぬ雪に心躍り、その寒さに別世界に来たような感動を覚え、つららの存在に驚き、駐車場を消し去るほどの量の雪を見て、はしゃぎたくもなってしまうんですが、こういった豪雪地帯で生活する人たちにとっては、基本的に、雪なんて邪魔なものでしかないんでしょうね。
 ・・・と、こういうことを考えたとき、あぁやっぱり俺は関東の人間なんだな、と思うわけです(笑)







上越線・ほくほく線・信越本線1002M 特急はくたか2号 (681系)
越後湯沢(8:20)〜直江津(9:05 ※実際は延着)

金沢行きはくたか2号①

この雪の中を進んでいく②

北越急行車とJR西日本車の混結③

JR西日本の681系④

辺り一面銀世界⑤

六日町も通過⑥

犀潟の手前で抑止⑦

京葉線の205系が⑧

直江津に到着⑨

 さて、次の目的地は直江津です。直江津へは、特急はくたか2号に乗車して向かいます[①]。東北応援パスは、JR東日本線だけでなく、北越急行ほくほく線も全線が乗り降り自由となっているので、これから先通る、ほくほく線の運賃は別に払う・・・、という必要はありません。

 1番線に降り立つと、既に列車は入線していました。雪が降り止む様子はなく、降り続ける雪は、ホームの屋根の上をはじめとして、架線柱や架線、信号機など、ありとあらゆる場所に積もっています。当然、線路上にも雪はたくさんあります。そんな厳しく、過酷な条件下をこれから突き進んでいこうとする、はくたか2号です[②]

 この日のはくたか2号は、北越急行681系とJR西日本681系の混結編成でした[③]。北越急行とJR西日本はどちらも681系・683系を所有していて、また、所有会社・形式に関わらず、どのような組み合わせでも併結が可能です。
 購入した特急券は自由席特急券なので、自由席に座ります。自由席は6号車・7号車の2両ですが、前者は北越急行681系、後者はJR西日本681系。良くも悪くも、所有会社が違ったところで内装に違いはなく、どちらもほとんど同じなので、より乗客が少ない7号車に乗車しました。

 8:20、列車は定刻で越後湯沢を発車。右も左も、そこも向こうも雪という一面の銀世界へと飛び込んでいきます[⑤]。窓を隔てて、あちらは地獄、こちらは暖房が利いた特急車の中で快適。たかが透明な窓ですが、その窓を境に全く違う環境が作り出されています。

 はくたか号の停車駅パターンにはいろいろと種類がありますが、はくたか2号は、越後湯沢を出ると次の停車駅は直江津で、この間は一切停まりません。また、直江津から先も、終点金沢までに停まるのは富山、高岡のみで、最も停車駅が絞られた、再速達型の停車パターンの列車です。ですから、上越線とほくほく線が分岐する六日町も通過してしまいます[⑥]

 六日町から先はほくほく線に入りますが、ほくほく線は無停車で走り抜けてしまいます。ほくほく線を経営する北越急行の車両を使っている特急列車だというのに、自社の駅には全く停まらないというのはヘンな感じもしますが・・・。

 ほくほく線はトンネルが非常に多く(全線の約7割を占める)、車窓はあまり見られません。また、同線内では在来線最速の160km/h運転も行いますが、なにせ160km/hを出すのは主にトンネル内なので、それだけの速度が出ていることはなかなか実感しにくいというのが実際のところです。

 リクライニングシートを身を任せてのんびりしていると、左手に、この先で合流する信越本線の線路が出現。もう間もなく信越本線と合流する犀潟というところまで来て・・・、突然その場で停車してしまいました[⑦]
 しばらくすると、「この先のポイントが雪で転換できない状態にあるので、しばらく停車する」との放送が入りました。

 それから2分ほどで、ポイントの除雪?作業が終了したようで、列車は犀潟駅へ向かってゆっくりと走り始めました。直江津駅の手前では、改造待ちと思われる、元京葉線の205系の姿が見られました[⑧]。温暖な京葉線を現役で走っていたときは、これほどの雪に見舞われたことなんてなかったでしょうね。屋根を雪で白くしながら、再起のときまで、しばし”冬眠”というところ?

結局、下車駅の直江津駅には、ポイント不転換以外の徐行運転や突発的な列車交換などにより、定刻より20分遅れた9:25に到着しました[⑨]



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