●12月24日/25日●

−9−
※各画像はクリックすると拡大します。


北陸本線・信越本線・羽越本線・奥羽本線4001レ 寝台特急日本海号 (EF81形+24系)
富山(22:20)〜青森(8:45)

まだ仁賀保①

夜中の間に何があったのか②

喫煙室の座席③

空が明るみ始める④

もう予定通りにはいかない⑤

道川を通過⑥

荒天に⑦

約2時間遅れで秋田に到着⑧

お茶を買う⑨

吹雪の中を青森へ⑩

 カタン、コトン、カタン、コトン・・・。一定の周期で奏でられる走行音。外はまだ真っ暗で、しかし車窓に展開する雪は、その白さをもってはっきりと認識できます。4001レ・寝台特急日本海号は、闇の中を青森へ向けてひた走っています。12月25日、5:40。「東北応援パスで冬の雪国へ」の2日目です。

 「秋田到着(5:32)前には起きておきたい」と思っていたので、目覚ましなどを5:10ごろに鳴るように仕掛けておいたんですが、結局起きることができず、起床したのは5:40ごろでした。秋田は、5:32到着の5:36発車。「やってしまったか」とため息。

 そうしていると、列車は駅に到着しました。どこだ、と思いながら窓越しに見える駅名標を見てみると、「仁賀保」の3文字が[①]。おや。仁賀保ということは、羽越本線内ということですから、まだ秋田には達していないということになりますね・・・。どうやら、遅延が発生しているようですね。

 それにしても・・・、窓が大変なことになってしまっています。就寝前、直江津を発車した時点では、窓には水滴がついている程度だったんですが、今は全体的に雪がこびりつき、大きな氷柱まで貼り付いています[②]。いったい、夜中の間に何があったのかと言いたくなります。私が眠っている間に行われていた、真夜中の大雪と強風との苦闘がしのばれますね。どうりで列車も遅れるはずです。

 ちょっと携帯電話で電話をする必要があったので、ベッドから出て、客室から退出しますが、オロネ24では、デッキと客室内の間に喫煙室があり、ここで電話ができます。寒いデッキへ行く必要はありません。また、喫煙室といっても、それこそ”狭くて、人を隔離するような場所”という感じではなく、ある程度の広さはあり、(まぁ、デッキと客室との間にクッション的に存在しているものですしね)、また窓と座席もあります[③]

 この座席は、オロネ24の下段寝台を座席状態にしたもの(あるいは583系の座席状態と言っても良いかもしれない)とほぼ同等品で、座ってみると、結構快適でした。この座席に座りながら、しばし通話。

 6:00前、静粛な客室内にハイケンスのセレナーデのチャイムが流れ、おはよう放送が流されました。その放送によれば、日本海号は強風の影響により、1時間5分遅れで運転しているとのこと。だいぶ遅れていますね。

 また、同じころから空が徐々に徐々に明るみ始めました。6:50前には、もうこれくらいの明るさ[④]にはなりました。④番の写真を見ていただくとお分かりいただけるかと思いますが、青空も見えています。列車はたしかに大幅に遅れていますが、今現在の天気はそんなに悪くないようです。

 10分や15分の遅れならともかくとして、1時間5分も遅れているとなると、もう青森定着はありえないことで、今後の旅程に狂いが発生する可能性は否定できません。また、これから先は線形も良くない、単線のところをずっと走っていきます。それに、昔とは違い、今は寝台”特急”だからといって、普通列車を差し置いて先に行かせてくれるような、運行上の優先権があるわけでもないでしょう。

 そこで、遅延の拡大(少なくとも回復ができるとは全く思わなかった)を見越して、この時点で今後の旅程の変更を決定。持参してきた時刻表を取り出し、日本海号の車内で、これからの新しい旅程を練ることにしました[⑤]

 普段、私は旅行には時刻表は持ってこない(日本の鉄道の定時性を信頼しているし、また旅程通りいかないときは、その先は放棄して、携帯電話で乗換案内を見て、さっさと東京や上野に帰ることにしているから)んですが、今回は、旅行前からクリスマス寒波!大雪!荒れた天気!などといった言葉を天気予報やニュースで聞かされていたので、日本海号についても、最初から「定刻で走ることはまずない」と考えていました。
 そのため、今回の旅行では、旅行中の旅程変更は避けられないだろうと旅に出る間から見越していたので、例外的に時刻表を持ってきました。

 「青空も見えている」なんて思っていたら、いつの間にか、列車は吹雪の中を走っていました[⑦]。まさに荒天です。そんな状況下でも、列車はゆっくりとではありますが、着実に青森へ向けて北上し、7:30ごろに、秋田に約2時間遅れで到着しました[⑧]。おはよう放送が流れたときは1時間5分遅れでしたが、55分も遅れは広がっていたんですね・・・。

 「日本海号は定刻で走ることはまずない」と事前に考えていながら、私は痛恨の過ちを犯していました。自動販売機や車内販売がない日本海号に乗り、遅れが予想されるというのに、富山でろくに飲み物や食べ物を買っていなかったんです。買ったものは缶コーヒー1本、お菓子1つ、おにぎり1つ。いずれも就寝前に食べつくしました。

 この後停車する大館駅で、朝食として、例の鶏めし弁当とお茶を受け取る(事前に予約した)んですが、定刻なら大館には7:17に着くといっても、この遅れ方では、大館到着も2時間くらいは遅れてしまいそうです。私は今回、日本海号は間違いなく遅れると思っていながら、「7:17着の大館で弁当とお茶が手に入るから、そんなに食べ物を買うことはない」と考えていて、結果として、富山でろくな食料を買わないまま乗り込んでしまいました。

 リュックにあるお茶も残りわずか。そんなわけで、これはいかんと思ったので、とりあえず、秋田に停車している間に、ホーム上の自動販売機でお茶を買いました[⑨]。弁当やおにぎりを買えるだけの停車時間はなさそうと見たので、買ったものはこれだけ。これで大館まで耐え忍びましょう。

 秋田駅の天気はまあまあでしたが、秋田を出てから数分で、こんな具合の天候に[⑩]。嗚呼、しばれる雪国よ。








引  き  続  き  ・  ・  ・
北陸本線・信越本線・羽越本線・奥羽本線4001レ 寝台特急日本海号 (EF81形+24系)
富山(22:20)〜青森(8:45)

晴れたぞ!①

座席状態に転換②

大館に到着(※大雪)③

ようやく朝食④

鶏めし弁当⑤

吹雪の車窓を見ながら⑥

この天気でも例の撮影地には⑦

一応決定⑧

寝台内⑨

 どうも、天気というものはよく分かりません。青空が見えたかなと思ったら吹雪。秋田駅はまあまあの天気だったのに、秋田を出てから数分で再び大雪。あっ雪が止んで曇っているなーと思ったら、今度は太陽が照りつけてきました[①]。二転三転しますねえ・・・。

 気が付いたら、時刻は8:45になっていました。定刻で走っていたら、新青森〜青森の間を走っている最中です。そんな時間にもなると、今更ベッドに横になって眠ろうとは思わないので、”寝台解体”を行うことにしました。

 オロネ24の下段寝台は、解体して、このように座席状態にすることができます[②]。起きているのなら、ベッドの上で胡坐をかきながら過ごすより、進行方向向きにきちんと座れる、この座席状態の方が当然快適です。ここからは、終点の青森まで、この”座席”に座っていこうと思います。

 ちなみに、通路を挟んで反対側の下段寝台を利用していた親子の親御さんが、解体されて座席状態になった下段寝台を物珍しいと思ったのか、解体作業を終えた私に「座席の写真を撮らせてほしい」と言ってきました。もちろん、私は快諾しました。ただ、その親子2人は、結局終点の青森まで、自分の下段寝台を座席状態にはしなかったようでした。写真だけで満足だったんですかね。

 9:10、列車は大館に到着しました[③]。天気は再び悪化し、大雪となっていました。ここ大館で、旅行前に予約・注文しておいた、鶏めし弁当(とお茶)を受け取ります。大館に到着する前に、その受け渡し場所として指定した10号車A寝台車の乗降口に行っておき、列車が大館に停車して扉が開いたら、そこで代金1000円と引き換えに弁当とお茶を受け取ります。

 定刻なら大館には7:17に到着するので、約2時間遅れというところ。大館到着が遅れることは、すなわち弁当の受け取りが遅れることを意味し、朝食を食べる時間が遅くなることも意味します。本来なら約2時間前には朝食にありつけていたところを、それができずに、起床から今まで、ずっとお茶だけを飲んで耐え忍んできました。うーん、だいぶお腹が減ってきています。早速食べますか!

 オロネ24の下段寝台には、壁面に収納するタイプのテーブルがあります。それを使用しましょう。ビニール袋から弁当を取り出し[④]、ひもを解いて、早速開封[⑤]。窓越しに広がる、大雪と白銀の世界を眺めながら食していきます[⑥]。たった1つの窓を隔てて、外は雪が吹きすさぶ 北国の凍てつく世界。中は暖房も効いた、A寝台車の優雅で静かな世界。快適な座席を身を預け、ゆっくりと弁当をほおばっていく・・・。
 私は寝台列車の”非日常性”を、寝台列車に乗るたびに、こういった「窓を隔てて、外と中では存在する世界が全く違う」というところに感じます。

 白沢〜陣場。撮り鉄の人たちにはよく知られた、奥羽本線の下り列車の有名な撮影ポイントです。今回、日本海号に乗車した時点(2011年12月24日〜25日)で、既に日本海号の臨時化は発表されていたので、沿線で撮影する人も増えてきているんだろうと思っていましたが、大雪となった、こんな荒れた天気でも、例の白沢〜陣場の撮影ポイントには、三脚を立てて日本海号を狙う人たちがいました[⑦]
 この大雪では、思ったようには撮影できなかったかもしれませんが、それでも寒さに耐え忍びながら日本海号を撮影しようとする執念に拍手。

 日本海号が大幅に遅延しているため、この先、事前に練り上げた旅程通りにはならないことを察して、持参した時刻表を使って代替案を考えていましたが、ようやく決定。揺れる車内で代替案を考え、書いているので、殴り書きのような字になってしまっています[⑧]。とりあえずは、この紙に書いた通りに行動します。

 気が付くと、あと5分ほどで新青森に到着するというところまで来ていました今は天気が良く、日差しが寝台内に差し込んでいます[⑨]。しかし、列車は、つい4分前まで太陽なんてない大雪のところを走っていました。それが4分でこれです。いや、しかし本当に天気が二転三転しますねぇ・・・。

 日本海号は定刻通りなら、新青森または青森で、函館行きの特急スーパー白鳥95号へ乗り継ぐことができます。一応、日本海号は北海道連絡列車の1つなんですね。しかし今、列車は2時間近い遅れで走っていますから、日本海号からスーパー白鳥95号へは乗り継げません。

 そこで、スーパー白鳥95号へ乗り継ぐ予定だった人の便宜を図るためか、車掌はその次の函館行き特急、スーパー白鳥11号との接続を取ってくれるように、運行指令?にかけあったそうです。しかし、残念ながら接続を取ってほしい(スーパー白鳥11号に待ってもらう)というお願いは断られてしまい、新青森到着前の車内放送でも、そのことを詫びていました。
 スーパー白鳥11号は、”下りの東京発の定期はやて号の1番列車と接続する”という重責があるので、そっちを優先するのは仕方がないことですね。そのはやて号と接続しても、日本海号を待ったばかりに遅延が発生しては、ね・・・。








さ  ら  に  引  き  続  き  ・  ・  ・
北陸本線・信越本線・羽越本線・奥羽本線4001レ 寝台特急日本海号 (EF81形+24系)
富山(22:20)〜青森(8:45)

晴れの新青森①

東北新幹線の高架橋②

ついに終点青森③

あおもり④

さよなら日本海⑤

 10:36に新青森に到着しました[①]。1時間58分遅れでの到着です。2010年12月に、東北新幹線は新青森まで達し、全線開業を果たしましたが、その際、寝台特急あけぼの号・日本海号の停車駅に新青森が追加されました。なぜか、新幹線⇔昼行特急の乗り継ぎの場合と違い、新幹線⇔寝台特急だと、乗り継ぎ割引は適用されませんが・・・。なお、日本海号については、臨時列車化以降は、新青森は通過となるようです。

 新青森という駅は、国鉄最後のダイヤ改正となった1986年11月改正で開業した駅で、当初は1面1線(今でも在来線は1面2線に過ぎないですが)。特急はもちろん、普通列車でさえも一部は通過するという駅でした。当然ながら無人駅で、売店などもなし。

 それが今や、東北新幹線の高架橋[②]がそびえ立ち、駅員が置かれ、新幹線が乗り入れ、立派な駅舎を持ち、特急も停まり、売店・土産物屋、みどりの窓口、自動改札機などもある、開業当時とは全く異なる、立派で素晴らしい駅になりました。この変化には誰もが驚きでしょうね。

 新青森で5、6分ほど停車してから発車した日本海号。新青森の次は、ついに終点の青森です。青森で下車する人が各々支度をする音が聞こえる中、列車はゆっくりと青森の市街地の中を走ります。左に進行方向を大きく変えると、そこはもう青森駅構内。そして列車は青森駅ホームへ・・・[③]

 10:49、日本海号は、2時間4分遅れで終点の青森に到着しました[④]。たしかに大幅に遅れはしましたが、途中で打ち切りになったりせず、終点の青森まで運転されて本当に良かったです。富山から所要時間12時間29分、楽しく、思い出に残る日本海号への乗車でした。

 24系を牽引してきた先頭のEF81形のあたりには、撮影者が群がっていたので、「機関車は、もう少し落ち着いてから撮りに行こう」と思いました。しばらく経ってから、撮影者がだいぶ減っていることに気が付いたので、「ならそろそろ」と機関車のあたりへ向かう・・・、その途中、なんとEF81形は24系から切り離され、単機で奥の方へ行ってしまいました。なるほど、どうりで撤収する人が多くいたわけだ・・・。

 そこで、「仕方がないから電源車の顔でも」と思って、電源車の顔を撮影しようとカメラを構えると、それとほぼ同時に、今度は回送の24系がすーっと、ゆっくり青森車両センターの方へ滑り出していきました。この写真は[⑤]、既に動き出したところを何とか撮影したものです。まだ速度が出ていない動き出し始めに撮ったものなので、幸い、目立つほどのブレはありませんでした。

 既に動き出したところを慌てて撮ったものなので、良い写真とは言えないんですが、まぁ我慢します。しかし、EF81形を撮り損ねたのは痛かった。



                  10  11  12  13  14  15  16

DISCOVER どこかのトップへ

66.7‰のトップへ