◆2月27日◆
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 翌朝。NHKのデータ放送で気象情報を閲覧したところ、上川町の気温が-18.5度と出ていました。「町中の方でその気温なら、層雲峡はもっと寒いに違いない」と思い、濡らしたタオルを振り回してみたところ、見事に凍り付きました[①]。極寒地でタオルを振ると凍る、というのは、知識としては知っていましたが、自らの手で起こすと、なんだか妙に感動してきます。

 部屋からの眺めは、ただの山であり、残念ながら、飛びぬけた絶景が見られるというものではありませんでした[②]。しかし、思えば、私が普段泊まるビジネスホテルは、おおかた市街地にあるわけですから、このような「自然に恵まれた環境で一夜を過ごす」ということは、滅多に体験できません。身に刺さる寒さ、耳を癒す自然の音。これはこれで良いですね。

 朝陽リゾートホテルでは、朝食もバイキングスタイルです。相も変わらず、己の欲望に任せて、食べたいものを盛った結果・・・、朝からラーメンと牛丼を同時に食べるという、なかなか重い献立になりました[③]。ちなみに、私は、ホテルでの朝食においては、飲み物は必ずオレンジジュースと決めていて、これが一種のしきたりと化しています。

 ホテルをチェックアウトして、外に出てみると・・・、なんと気持ちの良い青空でしょうか[⑥]。晴れは晴れでも、雲ひとつない、澄み切った素晴らしい快晴です。冬の北海道旅行で、これほどにもしっかりとした晴れに出会える日は、そう多くはないような気がします(過去の経験から言って)。いくらなんでも、この空で突然雪になることはないでしょう。

 層雲峡にあるセブンイレブン[⑦]。景観に配慮した地味な色合いになっていること以外は、特にどうということはない店舗に見えますが・・・、何を隠そう、ここが噂の「某スキージャンプ選手のご実家が経営されているコンビニ」です。もっとも、別に買いたいものがあったわけでもなかったので、ここの店舗にお邪魔して何かを買ったというわけではありませんが(笑)

 今日はよく晴れているので、その低い気温に対して、体感的にはそれなりに”暖かい”です[⑧]。というのも、積雪した雪国では、太陽からの光が雪に降り注ぎ、それが照り返してくるからです。晴れた日に雪国にいると、意外なまでに日焼けしてしまうのも、それが理由といえます。あと、結構きついのが「まぶしさ」。いや、本当にまぶしいもので・・・。

 層雲峡に来たからには、黒岳のロープウェイに乗らないわけにはいきません[⑨]。今日は最高の天気ですから、山腹からの眺めも、きっと素晴らしい状態であるに違いありません。これを今回の47都道府県全制覇の旅(のおまけ)の「ラスト観光」とし、家へ帰ります。

 今日の天気は晴れ、現在の気温は-15度、視界は良好[⑩]。条件は整っていますね。仮に大雪に見舞われたとしたも、「まあ、これはこれで北海道らしいかな」と強制的に解釈しますが、「北海道の大自然が織り成す絶景」こそが、真に「北海道らしい」ものであることは、疑う余地もありません。その絶景を見られるのは、お天道様が微笑んでくれている日です。

 ロープウェイに乗って五合目駅を目指します[⑫]。ゴンドラは徐々に高度を上げていき、麓にあった駅や建物は、どんどん小さくなっていきます[⑬]。さあ、この先に、いったいどのような景色が広がっているのでしょうか?



















 黒岳五合目からの眺め。それは、今回の旅の最終日を形作るのにふさわしいものでした[①]。360度どこを見回しても、その視界に広がるのは、北海道が育んだ秀麗な山脈です[②]。少し雲は増えてきましたが、それでも、この天気にケチをつけることなどできません。現在の天気の良さは、遠くまでの見通しが効いていることが証明してくれています。

 山肌は、降り積もった雪が白く染め上げ、層雲峡の凍てつく環境下を耐え抜く木々が、激しい風雪を浴びながらも鎮座しています[③]。今は枯れ木ばかりですが、新緑の季節になれば、瑞々しい緑が周囲を覆い尽くし、そして秋になれば、日本最速の紅葉が、この地を賑やかに染め上げます[④]。木々においては、この冬を耐え抜くことが、夏や秋の実りに繋がる力を生み出します。

 双眼鏡にスマートフォンを押し当ててみたら、意外と綺麗に写真が撮れました[⑥]。雪面に見える筋は、雪の下にある凹凸が織り成したものか、それとも動物が通った後か。スキー場にも登山道にもなっていないところでは、まさに「なすがまま」の自然が展開されています。

 稜線に雲がかかっています[⑦]。あの中は、どうなっているのでしょうか・・・。何でもない雲ならいいですが、もし雪雲だとしたら、あの雲の中に大雪に見舞われるのはたまりませんね。黒岳五合目は、標高約1,300mの地点にありますが、雲が間近に見えます。

 黒岳駅[⑧]。駅舎の屋上は展望台になっています。また、この先、五合目と七合目を結ぶリフトがありますが、今回は乗りませんでした。・・・ただ、今になって(2020年5月)思うと、当時なぜリフトに乗らなかったのか、その理由が分かりません。時間が足りなかったからなのか? スキーヤー専用だと思ったのか? そもそも冬期は運行していないと思ったのか? うーん・・・。

 戻りのロープウェイに乗り、地上に戻ってきました[⑩]。風の強さや寒さにおいて、やはり五合目とは差があります。晴れ渡った空から降り注ぐ陽光は、地面に積もった雪を照らし、氷の粒ひとつひとつに光を与えます。裸眼で直視するのは難しいくらいのまぶしさです[⑪]

 バス停の発着所にやってきました[⑫] [⑬]。本当は、昨日もここに来ていたはずなのですがね。11:25発の上川駅前行きに乗ります[⑭]。層雲峡〜上川間は、1日11往復が(2020年5月現在)運転されていますが、そのうちの7往復は、旭川〜層雲峡間を直通します。ただし、上川〜旭川間は1時間20分ほどがかかり、遅いです(鉄道は、特急で40分、特快で50分、普通列車でも1時間5分〜20分弱)。



















 上川に着きました[①]。駅舎は、暗色を中心にまとめられた、落ち着いた色合いの仕上がりです。上川町は、スキージャンプの勢藤優花と高梨沙羅の出身地であり、駅には、2人を応援するための幟が立てられています[②] [③]

 駅舎内[④]。次の旭川方面の列車は、13:01発の特別快速きたみ号で、網走方面の列車は、13:27発の特急大雪1号です。そして現在の時刻は12:00前ということで、駅には、利用客はまだ誰もいませんでした。この後旭川まで移動しますが、上川駅には、近距離切符の自動券売機がなく、いかなる切符でもみどりの窓口で購入することになるので、窓口で乗車券を購入します[⑤]

 運賃表[⑥]。上川から旭川までは、それなりの間隔で駅が設置されていますが、網走方面は、隣の駅が白滝で、その駅間距離は、驚異の37.3km。在来線では最長となるもので、隣の駅でありながら、運賃は、当時の値段で840円でした(現在は、値上げにより970円)。そして所要時間も、隣の駅であるにも関わらず、まず40分はかかります。

 当時は、もうまもなく3月のダイヤ改正が実施されるという頃合いでした[⑦]。北斗系統からキハ183系が引退し、全ての列車がスーパー北斗号になるというのが、このダイヤ改正の目玉でした。3日前に特急北斗号に乗り、そして昨日にキロハ182に乗ることができたので、この”おまけ”の中で、それらへの惜別乗車を果たすことができました。

 上川〜層雲峡間のバスの時刻表[⑧]。昨日は、本当は、上川18:00発のバスに乗る予定でした。その便は、旭川から層雲峡まで直通する便ですが、旭川発は16:35であり、発着時刻の関係上、16:48着のサロベツ4号から直接乗り継ぐことはできません。特急大雪3号は、旭川17:05発・上川17:44着であるため、そこでバスを追い抜く算段でした。

 臨時改札と思しき場所[⑨]。一応、秋の紅葉の時期には、層雲峡に多くの人が訪れますが、自家用車で行く人が大半でしょうし、この臨時改札口は、いつ使われるものなのでしょうか。これが必要なるほど混み合うときというのは、いったい・・・?

 上川駅では待ち時間があるので、駅近くの食堂で昼食をば[⑩]。お昼時ですし、それにきたみ号では、車両仕様上、食事は摂りにくそうなので。「喰い処あかし」という食堂に入りましたが、この食堂は、以前は上川駅の駅弁を調製していた業者でもあったようです。

 駅名標[⑪]。網走方面の隣の駅は「しらたき」ですが、これはシール貼りとされています。かつては、上川〜白滝間に、天幕・中越・上越・奥白滝・上白滝の合計5つの途中駅がありましたが、その全てが廃駅となってしまったため、駅間距離37.3kmという数値が生まれました。なお、上川〜白滝間は、僅かながら普通列車もあるので、特急券不要の特例区間とはなっていません。

 2・3番線ホームの屋根は、やたらとお洒落なコンクリートアーチによって造られています[⑬]。いま私がいる1番線は、普通の鉄骨でできているだけに、向こうの特異さが目立ちます。この付近には眼鏡橋があり、それを象っている・・・とかいうわけでもなさそうですし、なにゆえこのようなデザインにしたのでしょうか。もっとも、その佇まいは「麗しい」という感じで、私は好きです。

 すっかり日焼けしてしまったポスター[⑭]。なんか「落日の観光地」という印象を受けてしまうので、ぜひ綺麗なものに差し替えて・・・。


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