![]() ![]() この旅日記を読み始めるにあたって、多くの方々は、恐らく、このように思われたことでしょう。 「副題に”5年9か月の時を越えて”とあるが、それっていったい何のことなんだ」と。 2016年12月から起算して5年9か月前と言うと、それは2011年3月ですが、当サイトを見ても、このときに何があったのかは分からないはずです。 そのときに行った旅行の旅日記があるわけでもなければ、同年同月に撮影されたカシオペア号の写真を公開しているわけでもありません。 「5年9か月」と「2011年3月」と「カシオペア号」。これらを結びつけ、そして謎を解き明かすために、次の写真をご覧ください。 ![]() 低画質な写真で申し訳ないところですが(元画像は352×288で、それを無理やり拡大した)、これはカシオペア号の寝台券です。 発行は23-2-13、乗車日はその1か月後の3月13日、利用する寝台はカシオペアデラックスです。 そう。実は、私は、カシオペア号への記念すべき第1回目の乗車として、2011年3月13日発の下り列車に乗車している”はずでした”。 2011年初頭。誰もが1度は乗ってみたいと思う豪華寝台特急・カシオペア号に初めて乗るための北海道旅行の案件が上がってきました。 寝台選びにあたっては、「スイートよりも遥かに安い値段でありながら、設備やサービスはスイートと遜色ないお得な部屋」である一方、 「1部屋しかなく、ツアー商品のパンフレットに掲載されることもまずないため、知名度はあまりなく、買いやすそう」ということで、 「安価にスイート並みの旅をする」べく、3月13日発の下りカシオペア号のカシオペアデラックスの寝台券の購入を狙うこととしました。 とはいえ、カシオペア号は押しも押されもせぬ人気列車。知名度はなさそうと言っても、カシオペアデラックスはたった1部屋。 「1か月前に10時打ちをしてもらうからといって、そうまんまと取れはしないだろう」と思っていたら・・・、なんと、まんまと取れてしまいました。 念願のカシオペア号への乗車が叶ううえに、寝台は望み通りのデラックス。しかも、過去にカシオペア号の寝台券の購入を試みたことはなく、 これが同列車の寝台券の購入初挑戦でしたから、この寝台券が見事に取れたときの喜びは、それはもうひとしおでした。 (それゆえ、喜びが高じて、乗る前の時点で、ついつい寝台券を撮ってしまいました。↑に掲載している写真は、そのときのものです。) で、結局、私はこのときのカシオペアデラックスに乗ることはできたのでしょうか。もちろん、そんなわけはありませんでした。 乗車日は2011年3月13日。もはや言うまでもないですが、この2日前に、あの東日本大震災が発生し、カシオペア号は当分運休となりました。 震災当日は、「今日の分が運休するのは間違いないだろうけど、まあ13日の分は走ってくれるだろう」と思っていました。 発生当初は「大きな地震だったな」という程度の認識で、線路の点検さえ済めば何とかなるだろう、と事態を甘く見ていたのです。 しかし、当然、3月13日の分は運休。それどころか、カシオペア号の運休は長引き、運転が再開されたのは、5月20日のことでした。 こうして、夢にまで見ていたカシオペア号への初乗車&カシオペアデラックスへの乗車は、夢のまま潰えてしまいました。 その後、2012年1月にようやく初乗車を果たしましたが、カシオペアデラックスの寝台券は全く取れず、結局ツインで妥協。 2014年9月の2度目の乗車は、またしてもツイン。2015年2月の3度目は、遊び半分でアタックしたスイートが取れてしまい、スイートに乗車。 これまでに3度、カシオペア号に乗車してきたものの、デラックスへの乗車は、ずっと果たせていないままでした。 そして時は流れ、2016年秋。カシオペア号は同年3月に一般列車としての運転を終了し、団体専用のツアー列車になっていました。 「カシオペア紀行」や「カシオペアクルーズ」として東日本・北海道を駆けていましたが、各ツアーの価格はかなり高く、まさに戦慄モノ。 「まあ、最後にスイートに乗れたから別にいいか」と思っていると、「カシオペアの北海道乗り入れはじきに終わる」という噂がちらほらと・・・。 この話を聞きつけた、冬の北海道が大好きで、かつカシオペア号は北海道を走ってこそナンボという考えを持つ”連れ”は、 冬の北海道を走るカシオペア号にもう一度乗りたくなったらしく、上野〜札幌間・片道乗車のカシオペア紀行への乗車を提案してきました。 このとき、私は考えました。今そこに、カシオペア号へ乗れる、またとないチャンスがある。そして、北海道への乗り入れは間もなく終わる。 「ならば、今こそ”上野〜札幌間で”カシオペアデラックスに乗車し、あのとき果たせずに幻と化した”夢”を実現させようではないか」 最終的に、上りの札幌〜上野間とはなったものの、キャンセルによって開いた枠にありつくことができた我々は、 2016年12月30日札幌発のカシオペア紀行・カシオペアデラックスの予約枠を勝ち取ることができました。 起点:2011年3月→終点:2016年12月。今ここに、5年9か月の時を越えて、かつての夢が甦ろうとしています。 いつしか忘却の彼方へと消え去っていた夢が、この眼前で鮮やかに展開します。幻は夢に戻り、そして”あの”夢は”この”現実に―――。 1 2 3 4 5 6 7 8 9 10 11 12 13 14 15 16 17 DISCOVER どこかのトップへ 66.7‰のトップへ |