五稜郭を発車して、カシオペア号は道南いさりび鉄道線を進んでいきます[①]。本州〜北海道で夜行列車に乗るのは、今回が14回目になるので、正直なところ、大方の車窓は「もう何度も見た」、「見飽きたかも」というところです。一方で、本州〜北海道を昼間に移動したことはあまりないため、この辺りの車窓などは、昼行列車において眺めれば、逆に「あまり見慣れていない」ものになるかもしれません。
JR江差線から道南いさりび鉄道線になったと言っても、先ほど五稜郭駅で見たように、塗装がJR北海道時代から変わっていないままの車両も多いですし、明らかに変わった点はといえば、駅名標のデザインということになるのでしょうが、「暗い夜にサッと駅を通過する」場面では、新しくなった駅名標を確認するのも困難です[②]。「ただ通過するだけ」のカシオペア号では、運営会社の変化の実感はありません。
E26系では、各寝台個室から噴火湾が眺められるように個室を配置しましたが、進行方向の都合上、道南いさりび鉄道線内では、個室は山側になってしまいます。ふと思い立って廊下に出ると、線路に並行する国道228号線を、1台の車がカシオペア号と並ぶように走っていました[③]。自動車では越えられない津軽海峡を、カシオペア号はそのまま通過し、東京・上野にまで至ります。
道南いさりび鉄道線を走破して、列車は22:54に木古内に到着しました[④]。向こうにある高架橋は北海道新幹線のもので、列車はこの先、新幹線との供用区間に入ります。そうなると、当然、「北海道新幹線とのすれ違い」を期待しますが、下りの最終・はやぶさ33号が木古内を23:23頃に通過する(終点・新函館北斗に23:33に到着)一方、カシオペア紀行の木古内発車は23:36であり、このまま42分も停車します。
はやぶさ33号が木古内を通過するのを待つのみならず、終点の新函館北斗に到着するのも待つとのことで、木古内23:36発車というのは、新幹線の運転が終了するのをわざわざ待っているようにも思われます。貨物列車は新幹線とのすれ違いを行っていますし、トランスイート四季島も新幹線とのすれ違いを行っているので、「カシオペア号が新幹線とすれ違うこと」に大きな不都合があるとは思えませんが、なぜ・・・。
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