Page:8

※各画像はクリックすると拡大します。
























 五稜郭を発車して、カシオペア号は道南いさりび鉄道線を進んでいきます[①]。本州〜北海道で夜行列車に乗るのは、今回が14回目になるので、正直なところ、大方の車窓は「もう何度も見た」、「見飽きたかも」というところです。一方で、本州〜北海道を昼間に移動したことはあまりないため、この辺りの車窓などは、昼行列車において眺めれば、逆に「あまり見慣れていない」ものになるかもしれません。

 JR江差線から道南いさりび鉄道線になったと言っても、先ほど五稜郭駅で見たように、塗装がJR北海道時代から変わっていないままの車両も多いですし、明らかに変わった点はといえば、駅名標のデザインということになるのでしょうが、「暗い夜にサッと駅を通過する」場面では、新しくなった駅名標を確認するのも困難です[②]。「ただ通過するだけ」のカシオペア号では、運営会社の変化の実感はありません。

 E26系では、各寝台個室から噴火湾が眺められるように個室を配置しましたが、進行方向の都合上、道南いさりび鉄道線内では、個室は山側になってしまいます。ふと思い立って廊下に出ると、線路に並行する国道228号線を、1台の車がカシオペア号と並ぶように走っていました[③]。自動車では越えられない津軽海峡を、カシオペア号はそのまま通過し、東京・上野にまで至ります。

 道南いさりび鉄道線を走破して、列車は22:54に木古内に到着しました[④]。向こうにある高架橋は北海道新幹線のもので、列車はこの先、新幹線との供用区間に入ります。そうなると、当然、「北海道新幹線とのすれ違い」を期待しますが、下りの最終・はやぶさ33号が木古内を23:23頃に通過する(終点・新函館北斗に23:33に到着)一方、カシオペア紀行の木古内発車は23:36であり、このまま42分も停車します。

 はやぶさ33号が木古内を通過するのを待つのみならず、終点の新函館北斗に到着するのも待つとのことで、木古内23:36発車というのは、新幹線の運転が終了するのをわざわざ待っているようにも思われます。貨物列車は新幹線とのすれ違いを行っていますし、トランスイート四季島も新幹線とのすれ違いを行っているので、「カシオペア号が新幹線とすれ違うこと」に大きな不都合があるとは思えませんが、なぜ・・・。













































 長い長い運転停車を経て、列車は23:38に木古内を発ちました。ちょうどそのとき、JR北海道のロゴが入った除雪用モーターカーを作業員が点検している場面が見えましたが、これは北海道新幹線用の除雪車なのか、それとも在来線用の除雪車なのか[①]。可能性的には前者の方が高いと考えていますが、新幹線の全列車の運転が終了したこの後、稼働する予定があるということでしょうか。

 木古内を発車して、列車は徐々に速度を上げていきます。この先に新幹線との合流地点がありますが、それは木古内駅から2km弱ほど離れた地点にあるため、しばらくの間は、新幹線の高架橋を横目に進んでいきます[②]。「ふつうは」このまま分かれていくわけですが、実際にはむしろ近づき、そして最終的には線路がひとまとまりになってしまいます。

 列車はそのまま進み、ついに車窓に新幹線の標準軌が現れました[③]。そして、今走っている狭軌の線路(一応、海峡線ということになるのか?)と北海道新幹線の標準軌の線路は、スノーシェルター内にある分岐器で合流し、カシオペア号は三線軌条区間に入りました[④]。3本のレールが並んでいるという特異な光景そのものが、ここが三線軌条区間であることの何よりもの証明です。

 旧知内駅付近を通過し、進行方向右手にかすかな町灯りが見える区間は、北海道内最後の地上区間です[⑤]。この先に青函トンネルが控えていて、しばらくの間は、町灯りはおろか、空も木も道路も全くないという超無機質な空間が続き、そしてそれを抜けると、そこは本州・青森県内です。もはや”行き慣れた”地になってしまったとはいえ、北海道に別れを告げるこの車窓は、いつでも哀愁を誘います。

 そして23:50、カシオペア号は青函トンネルに突入しました[⑥]。永遠のトンネルが続くという車窓ももちろんですが。スーパーロングレール特有の、継ぎ目を通過するときの「ガタンゴトン」が全く聞こえないというその走行音だけでも、ここが青函トンネルであることを特定することができます。













































 車窓という点では、青函トンネル内を走行しているときは、極めて退屈です。同じような眺めが延々と続き、時に距離感を失いそうになりますが、青函トンネル内には、かつて駅として営業していた”避難用拠点”が2か所あり、それとの遭遇が、今列車がどのくらい進んでいるのかを示してくれます。そのひとつが、旧竜飛海底駅(現・竜飛定点)で、地上へと繋がる通路などが見られます[①]

 絶え間なく続いていた”こもったような走行音”がふと途切れると、そこは地上です[②]。配布資料では23:46頃突入・0:30頃脱出ということになっていたのが、実際には、23:50突入・0:27脱出で、だいぶ差異がありました。他の地点(駅)では明確な時刻を書いていたのに対し、青函トンネルの時刻だけは「頃」がついていたので、まあこんなものかもしれません。所要時間は約37分でした。

 まもなく奥津軽いまべつ駅というところで、列車は外側に分岐した線路に入りました[③]。奥の方に見えているやけに明々とした場所が、北海道新幹線の奥津軽いまべつ駅です。私としては、やはり「津軽今別」の方がカッコよく、なおかつすっきりしていて良いと思いますが・・・。

 カシオペア号が奥津軽いまべつ駅の脇を通過します[④]。どうせなら、新幹線駅の構内を通過すれば最高に面白い(しかも、上りは通過線がないため、ホームに接した線路を通る)と思いましたが、貨物列車などが使う待避線に入ってしまいました。後で分かったことですが、ここは新在共用区間内にあるものの、新幹線の奥津軽いまべつ駅の構内は標準軌のみが敷設されていて、そもそも在来線の列車は入線できないようです。

 奥津軽いまべつ駅を通過した後は、再び三線軌条に戻りましたが、同駅から約9km離れた地点で、新幹線と在来線はついに分離し、約82.1kmにも渡って続いた新在共用区間は、ついに終了しました[⑤]。新幹線は真新しい高架橋として新青森方面へ向かっていき、在来線は地上に降りて津軽線と合流し、青森方面へとそれぞれ向かっていきます。



                  10  11  12  13  14  15  16  17

DISCOVER どこかのトップへ

66.7‰のトップへ