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◆◇◆◇◆◇2016年12月31日◇◆◇◆◇◆























 特に目覚ましなどをセットすることもなく眠りに就き、そして目覚めたとき、時刻は6:21で、外は既に明るくなり始めていました[①]。空には厚い雲が広がっていて、一見夜は明けていないように見えますが、昇り来る太陽を迎えて橙色に染まりつつある部分と、これからの爽やかな朝を予感させる青空が混ざろうとするたびに、夜は静かに消え去り、朝は確実にその姿を現してきます。

 ほどなくして、昨日の乗車後に約束を取り付けていたモーニングコーヒーが配達されました[②]。6:30に持ってきていただくように指定していたので、起床してから無駄に待つこともなく、そして寝坊して受け取れないこともなく、ちょうど良いタイミングでコーヒーを飲むことができました。日の出が遅い12月、流れゆく朝焼けを見ながら少しずつ啜るコーヒーは、豪華寝台特急での旅にふさわしい贅沢な行為です[③]

 仙台車両センターを挟んで分かれていた在来線と新幹線の線路が再度近づくと、列車はまもなく仙台に到着します[④]。一般の臨時列車として走っていたころは、仙台は4時台に通過していたので、そうそう降りる人がいそうでもなければ、到着時刻としてもやや早すぎましたが、これくらいの時間帯に仙台を通るならば、札幌→仙台といった区間での利用であっても、便利に使えそうです(かつての北斗星4号はそうでしたね)。

 そして列車は、新しい1日が始まった仙台駅に滑り込み[⑤]、6:51の定刻で仙台に到着しました[⑥]。冬至をちょっと過ぎたくらいのときではありますが、東日本なので、7時前にもなれば、辺りは既に明るさを取り戻しています。冬休み、そして早朝すぎない(7時台)ということもあってか、中学生くらいと思しき撮影者たちもいて、先頭にある機関車の付近は賑わっていたようです。











































 仙台では6分停車し、カシオペア号は6:57に仙台を発車しました。「まだ仙台」と考えるか、それとも「もう仙台」と考えるか、どちらも正しいように思われますが、論理的に導くならば、カシオペア紀行では、以前よりもゆったりとした所要時間の長いダイヤになっており、約14時間(札幌〜仙台の所要時間)もあれば、かつてならば、既に郡山まで達しています。そういう意味では「まだ仙台」が正しいと言えます。

 ちょうど7:00になったころ、豊かな光量と柔らかな色合いを持つ太陽が高く昇ってきたことで、窓越しに大きな朝陽が現れました[①]。その輝きは力強く、冬場の太陽といえども、もちろん直視することはできません。朝陽から放たれる光は、一直線に我がカシオペアデラックスにも差し込んできて、室内の一角を黄金色に染め上げました[②]。そして、その光を全身に浴びて目を覚ます。これもまた、豪華寝台特急の中でこそ成せる贅沢です。

 名取を通過した後、仙台空港アクセス線を行く列車を目撃しました[③]。空港に向かう列車ではなく、むしろ空港からやってきた列車でしたが、このような時間帯に仙台空港に到着する便はあるのでしょうか? もっとも、途中の杜せきのした、美田園は、住宅街やショッピングセンターの中に設置されているため、空港利用者ではなく、両駅の周辺に住む人たちのための列車ということかもしれません。

 札幌を発車してからというもの、道内はずっと天気が良くなく、雪が降っている区間もありましたが、このあたりは晴れているようです[④]。東北地方ではありますが、既に青森県内は脱していますし、これから先の区間では、”冬らしい”降雪や雪景色は、まず期待できないでしょう。











































 昨晩は、窓の広い範囲にシャーベット化した雪が張り付き、まさに「北国を行く列車」の風情が醸し出されていましたが、温暖な(宮城・福島ですが)場所にやってきたということもあってか、その大部分は溶け落ちてしまい、窓に残った雪は、ごく僅かなものとなりました[①]。晩のときは「車窓を見るのに邪魔だな」と思っていた雪も、今となっては、健気にしがみついているかのようで、「もう少し頑張れ」という思いで見つめたくなります。

 線路脇を見てみると、うっすらと白いものが見えます[②]。列車はちょうど宮城県から福島県に入ったあたりで、若干標高の高いところを走行していますが、平地の市街地では全く雪がなくとも、郊外の標高的に高いところに来れば、いくらかの残り雪はあるようです。とはいえ、北海道・青森で見てきた雪の量と比べれば、「あることにはある」という程度のもの[③]。こんな要素からも、「帰ってきているんだな」と感じさせられます。

 やや霞がかった街並みと、その霞の中に稜線を描く山々。そして、いよいよ高く昇ってきて、山も街も見下ろすようなところにまでやってきた太陽。大晦日だから特別だ、という時代でもありませんが、その景色は、どこか神々しさを持っています[④]。12月31日といえども、所詮は365日あるうちの1日にすぎませんが、それすらも特別な眺めに変えてしまうのが、カシオペア号が宿す不思議な魔力です。



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