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◆◇◆◇◆◇2016年12月30日◇◆◇◆◇◆























 2016年12月30日、15時。私は、札幌駅の北口側にある鐘の広場にやってきていました[①] [②]。カシオペア紀行は、ツアー客専用の団体列車として運転されるため、半定期的に運転されていたころとは、乗るために必要な手順が異なります。ふらっと駅にやってきて改札を通ればもう乗れる、というのではなく、鐘の広場に開設されるカウンターで、乗車のための手続きをとらなければなりません。

 この手続きにおいて、「カシオペア紀行乗車証」を受領しました[③]。ツアー客専用の団体列車ということで、通常の切符は交付されず、終点の上野まで、この乗車証が実質的に切符として機能することになります(有人改札でこれを見せれば出入りができる)。

 当サイトの旅日記をよくご覧になっている方はご存知かと思いますが、私は、2015年2月にカシオペアスイート(メゾネット)に乗車しています。そのときは、諸々の事情によって、晩御飯は懐石御膳でした。それならば、今回食べるべきは、当然フランス料理。そんなわけで、予約申し込みの際に、フランス料理のディナーをつけておきました。時間帯は18:30〜19:50の2回目です[④]

 カシオペア紀行では、全ての参加者に対して、乗車記念の水筒と台紙付き記念乗車証を配布します[⑤]。これらは乗車前の手続きをした際に受け取りました。記念乗車証には「憧れの寝台列車」と書かれていますが、登場から17年以上が経過してもなお、カシオペア号は、色褪せることなく「憧れ」であり続け、人々を吸引しています。私も、今回カシオペア号に誘(いざな)われた人間のひとりです。













































 15:30ごろに乗車の手続きを済ませたはいいものの、今回の上りカシオペア紀行は、札幌16:38発。発車まではまだまだ時間があります。往時の下りカシオペア号のように、発車の45分前には入線してくる・・・というような具合であってほしかったものですが、実際には、16:38という発車時刻に対して、入線は16:30。早めにホームに出る意味はほとんどありません。

 土産物屋での買い物などで適当に時間を潰した後、乗車証を見せて改札を通過。そして16:15、4番線用の発車標に、ついに我々が乗るべき列車の表示が現れました[①]。その名はカシオペア・・・ではなく、残念ながら、団体・TOUR GROUP[②]。ツアー客しか乗れないことを明確にするためにも、このような表示でなければならなかったのでしょうが、「カシオペア」と「団体」では、目にしたときの胸の踊りように大きな差があります。

 しかし、そのような中でも、この表示には、憎い演出がありました。それは行き先である「上野」の表示の仕方です[③]。札幌駅の発車標は、伝統的に、それが寝台特急である場合に限り、行き先の駅名を赤色で表示するようにしていましたが、所詮は団体列車であるにも関わらず、「上野」の色は、かつてのカシオペア号の表示を想起させる”赤い上野”。そこだけ見れば、まさに「寝台特急カシオペア号 上野行き」の復活です。

 となると、やはり「団体」という素っ気ない表示は、あまりにも残念です。「カシオペア」では誤乗を招くというのであれば、せめて「カシオペア紀行」とは表示できなかったものか。とはいえ、他の列車に交じって発車標に表示されると、その異彩は遺憾なく発揮されます[⑤]。赤色で主張する「上野」は、半定期的に運転されていたころと同じような存在感を持ち、この列車が特別な列車であることを誇示します[⑥]














































 カシオペア号は4番線にやってくるということで、4番線で列車の入線を待ちます[①]。上り便は4番線から発車するというのは、半定期的に運転される一般臨時列車として運転されていたころと変わりありません。既に普通に乗れる列車ではないため、乗車位置案内板も撤去されているのだろうと思っていましたが、各号車の扉に対応して吊り下げられる乗車位置案内板は、それぞれ今も残っていました[②]

 事前の案内では、カシオペア号は16:30頃に入線してくるとのことでしたが、この日は、豊幌駅で発生した車両の不具合により、ダイヤに乱れが生じていました。そのため、実際の入線は、4分遅れの16:34でした[③] [④]。先頭に立つのはJR貨物のDF200形で、五稜郭〜青森間を牽引するEH800形とともに、”北海道新幹線開業以降に運転される”カシオペア紀行の特別さを象徴する光景です。

 残念ながらヘッドマークはついていませんが、先頭に立って牽引する機関車ということで、やはりDF200形は大人気。機関車の付近には多くの人が集っています[⑤]。定期運転終了後の臨時北斗星号や、特別なトワイライトエクスプレスなどとは異なり、客車の編成はまるで変わっていないので、「カシオペア紀行」へ生まれ変わったことを感じるには、外観、即ち牽引する機関車の変化を目撃する必要があります。

 札幌駅の駅名標とE26系を見ると、その光景は、通常のカシオペア号として走っていたころと変わりがないように見えます[⑥]。これを見ていると、北海道新幹線が開業する以前の、カシオペア号が半定期的に走っていたころを思い出します。そのような意味では、カシオペア号が本当に北海道に来なくなった(”紀行”としても来ない)そのときになって、北海道新幹線の存在を初めて強く感じるようになるのかもしれません。

 列車は準備を整え、発車時刻の到来を待っています[⑦]。冬至をやや過ぎたあたりの、陽がかなり短い季節ということで、時刻はまだ16:30を過ぎたばかりですが、外はもう暗いです。まもなくカシオペア紀行での旅が始まりますが、これでは、道内での車窓の堪能は、望むべくもありません。下り列車であれば、冬は、まだ暗い道内〜日が昇る〜朝日と銀世界〜日中の北海道・・・といった流れが楽しめますが、冬の上り列車は・・・。



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